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この問題でおさえておきたいこと

古代日本人の自然観・宗教観・倫理観・世界観をつかもう!
古事記や日本書紀に書かれた神話の概略を理解しよう!

解答
問1 ③   問2 ①
問3 ①   問4 ②

解説

問1 「ポイントのまとめ」にあるとおり、古代日本人の思想としては唯一絶対の神は存在していませんでした。これは古事記や日本書紀においても同様です。よって、これを根拠に正解は③か④のどちらかということになります。

そして、資料文を読むと、「ガイアは、…ポントスをも、情愛なくして生んだ」とあり、ガイアからポントスが生まれたことがわかるので、③が正解とわかります。ウラノスについては「ウラノス(天)と結ばれ」としかなく、ポントスを生んだわけではないとわかります。

問2 ①:この文の内容は正しいです。

②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、神が世界をつくったという考えはありませんでしたので、アマテラスは「造物主」ではありません。また、アマテラスは裁きの神でもありません。

③:「ポイントのまとめ」にあるとおり、神からの祟りをするためにおこなわれたのが祭祀でした。神からの祟りに対して、祭祀によって鎮めることができるとされていたのです。

④:「ポイントのまとめ」にあるとおり、神々が住む世界である高天原は、人間が住む世界である葦原中国から隔絶されていたわけではなく、相互に往来可能と考えられていました。たとえば、ニニギノミコトはアマテラスの命によって葦原中国を統治するため派遣されていました。

問3 ①:この文の内容は正しいです。

②:スサノヲが犯した罪は反逆ではなく、稲田の畔を破壊するなど農耕社会への妨害でした。また、スサノヲがヤマタノヲロチの退治を命じられたのは高天原を追放された後のことです。

③:「ポイントのまとめ」にあるとおり、イザナミに会いに行ったのはスサノヲではなく、夫のイザナギです。

④:スサノヲが犯した罪は自然界を荒らしたことではなく、②の解説のとおり、農耕社会への妨害でした。また、「ポイントのまとめ」にあるとおり、償いとして「祟り」を引き受けたのではなく、罪に応じた物品を出すという「祓い」を求められ、高天原を追放されました。

問4 「ポイントのまとめ」にあるとおり、清き明き心(清明心)とは同じ共同体の人々に対して純粋で隠し立てをせず、きよらかな心のことで、①の「正直の心」、③の「私心を除く」、④の「至誠」はこれに合致します。②は現世は穢らわしいからあの世の極楽浄土に行きたいという浄土思想をあらわしたことばです。

ちなみに、①は明治天皇の「御即位ノ宣命」、②は源信の『往生要集』、③と④は吉田松陰の『講孟余話』にあることばです。

ポイントのまとめ

・古代日本人の思想

1)自然観

高山や巨木などの自然にあるもの、雨や雷などの自然現象、生き物など畏怖すべき存在を「神」(カミ)としておそれ敬う
人間だけでなく、動植物や無生物あらゆるものには魂が宿っているとみなして崇拝する思想(アニミズム)があった

2)宗教観

よい神から祟り神まで幅広くありとあらゆる神(八百万神)が存在する
神の怒りを鎮め、神からの恵みを共同体にもたらすための儀式として祭祀(祭り、祀り)をおこなう

古代日本には、唯一絶対の神は存在せず、祀るとともに祀られる神という認識であり、また、神が世界をつくったという考えもなかった

3)倫理観

(農耕社会における共同体に害を与える行為)を犯したり死や疫病と接触したりすることを穢れがつくと忌み嫌う
穢れがついたままだと共同体に災いがもたらされるので、それを取り除く祭祀上の行為が祓いである

同じ共同体の人々に対して純粋で隠し立てをせず、きよらかな心(清き明き心(清明心))をよしとした

4)世界観

神々が住む世界である高天原、人間が住む地上の世界である葦原中国があり、さらに死者が住む穢れた世界である黄泉国が存在すると考え、この3つの世界は相互に往来可能と考えていた

・古代日本の神話

古事記日本書紀に描かれている神話には、古代日本人がどのような考え・思想を持っていたのかがうかがえるものがある

1)日本の国の誕生

イザナギ(イザナキ)イザナミが結婚することで、日本の国土や神々が誕生していった

2)黄泉がえり

火の神を生んだイザナミは、その際のやけどが原因で死に、黄泉国の住人になる
イザナギはイザナミを救出しに黄泉国に行くが、穢れて醜悪な姿になったイザナミに驚き、現世に逃げ帰る

黄泉国から戻った後、をおこなうが、そこで身を清めているときにアマテラススサノヲが生まれていった

3)天岩戸

スサノヲが高天原でさまざまな悪事をはたらくため、アマテラスは怒って天岩戸のかげにこもってしまい、世界は夜しかなくなった
八百万神は外でどんちゃん騒ぎをし、気になったアマテラスが岩戸を開けたところを引っ張り出された

スサノヲは自分の悪事の祓いとして罪に応じた物品を求められ、高天原を追放される