この問題でおさえておきたいこと
南北問題の主な原因はモノカルチャー経済!
南北問題の解決にどういう取り組みがされたか、現在はどのような問題が新たに出たかを確認しよう!
解答
問1 1 問2 3 問3 5
問4 後発発展途上国 問5 ドイモイ 問6 2
問7 新国際経済秩序 問8 2
問9 (例)農林水産物や鉱産資源など、加工度が低い産出品である一次産品の輸出に依存している経済。(42字)
解説
問1 ある地域を植民地にし、そこを統治していた国を宗主国といいます。発展途上国の多くは、先進国から政治的に服属させられただけでなく、原料の供給地・製品の市場として経済的にも組み込まれていたという歴史があります。
問2 ラテンアメリカ諸国は、これまで輸入していた工業製品を自国で生産するという輸入代替型工業化をめざす一方で、アジアNIEsなどは、外資系企業を自国に誘致し、自国で生産したものを輸出するという輸出志向型工業化をめざしました。
問3 「ポイントのまとめ」にあるとおり、多国籍企業から実際に決定権を奪い返した事例が第一次石油危機として起こったことです。
問4 発展途上国のなかでも、特に経済発展が遅れていて貧困状態にある国を後発発展途上国といいます。後発発展途上国の約7割がアフリカに集中しています。
問5 中国では社会主義市場経済が導入され、ベトナムではドイモイが導入されました。
問6 「ポイントのまとめ」を参照してください。
問7 「ポイントのまとめ」を参照してください。
問8 ラテンアメリカ諸国は輸入代替型工業化をしていくなかで、先進国などから債務を受けました。
しかし、そのための資本は一次産品の輸出に頼らざるをえません。さらに製品もどんどん高度化していくので、国際競争力では不利になるうえ、生産するうえでの資材なども輸入に頼る必要があります。これらの問題点などで輸入代替型工業化での経済発展はうまくいかず、債務だけがかさんでいったというわけです。
問9 「一次産品の輸出に依存している」という点は、絶対にはずせないポイントでしょう。その説明に加えて、「一次産品」とはどういうものかの説明を加えると、字数としてちょうどよいぐらいにおさまります。
もしくは、なぜその経済体制が発展途上国では多くあるのか(もともと先進国の植民地でその経済圏として組み込まれていたから)という説明を簡潔に加えるという記述でもよいでしょう。
解答のチェックポイント
- 一次産品の輸出に依存している経済体制だという説明がされているか
- 「一次産品」とは何かを説明しているか、もしくはなぜそのような経済体制となったかという歴史的背景を説明しているか
ポイントのまとめ
・南北問題とは
南北問題とは、北半球に多くある先進国と南半球に多くある発展途上国との間にある経済格差の問題のことである。
南北問題のおもな原因は、発展途上国の経済がモノカルチャー経済になっていることにある。
モノカルチャー経済とは、少数の、加工を経ていない、または加工度が低い産出品(一次産品)の輸出に依存している経済体制のことである。
なぜ、モノカルチャー経済では豊かになれないのか
→自然条件の影響を受けやすいなどの理由で一次産品は価格が不安定なうえ、工業製品と比べて交易条件が悪化しやすいため、貧困からの脱却を難しくしている。
・南北問題解決への取り組み
発展途上国が経済格差の解決に向けた要求を伝える場としてUNCTAD(国連貿易開発会議)が設立された。
第1回の会議では、事務局長が提出したプレビッシュ報告書が発表され、「援助よりも貿易を」というスローガンのもと、次の3つが求められた。
- 一次産品の価格の安定化
- 一般特恵関税の発展途上国への付与…
発展途上国からの輸入の関税については特別に引き下げたり、関税をなくしたりする
(世界貿易機関(WTO)が掲げる自由貿易の原則からの特例としても認められている) - 先進国からの経済協力の推進…
先進国からのODAはGNIの0.7%が国際的な目標
↓
発展途上国のなかで、資源ナショナリズム(自国にある天然資源がもたらす利益を自国の経済発展に利用しようとする考え)が芽生える
例:中東戦争で、OPEC(石油輸出国機構)は、先進国の巨大石油会社(メジャー)から石油に関する決定権などを奪い返し、石油の価格を引き上げた(第一次石油危機)。
↓
自国が所有する天然資源が、先進国との貿易において大きな武器になることに気づく。
1974年の国連資源特別総会にて、NIEO(新国際経済秩序)宣言が提唱され、次の3つが掲げられた(=先進国との対等な貿易の要求)。
- 一次産品の価格の安定化
- 天然資源に対する保有国の恒久主権…
天然資源に対する決定権は、その天然資源を保有している国に永久に認められる - 多国籍企業の活動に対する監視、規制
・発展途上国にみられる新たな問題
1.累積債務問題…
1980年代にラテンアメリカの国々で、先進国からの債務の返済困難が表面化
先進国側はリスケジューリング(返済期限の引き延ばし)などで対応
2.南南問題…
資源のある国や工業化に成功した国が経済発展をとげる一方、そうでない国では経済発展をとげられず、かつての発展途上国間で経済格差が発生
経済発展をとげた発展途上国…アジアNIEs(台湾・韓国・香港・シンガポール)、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)