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この問題でおさえておきたいこと

大日本帝国憲法の特徴を日本国憲法と比較しておさえよう!

解答
問1
   A   …ア      B   …キ      C   …サ
   D   …コ      E   …イ      F   …セ
問2
ア…b   イ…b   ウ…b   エ…a
問3

問4

問5

問6
ア…b   イ…a   ウ…b   エ…a

解説

問1    F   以外は「ポイントのまとめ」にて説明があります。   F   の空欄になっている緊急事態条項ですが、これは大災害など国家的な緊急事態が発生したときに、憲法を一時停止して内閣に権限を集中させるという条項です。個人の権利が制限されることもあるので、その新設について議論がなされています。

問2 ア:日米和親条約では、下田と函館の開港や、アメリカ船が求めた際の食料や燃料の補給が約束されました。つまり、貿易に関係することの取り決めをしただけなので、国会の開設や憲法の制定については約束していません。

イ:伊藤博文は司法卿に任命されたことはありません。ちなみに、司法卿というのは、1885年(明治18年)以前の太政官制下での司法省長官のことです。

ウ:「五箇条の誓文」では、国会の開設や憲法制定は宣言されていません。

問3 ア:明治憲法では、内閣総理大臣についての規定がありませんでした。元老などの有力者が天皇に推薦し、天皇がその人を内閣総理大臣に任命し、組閣を命じるという形が一般でした。よって、帝国議会の指名に基づくことはありませんでした。

イ:国務大臣は天皇を輔弼(助言・補佐)する役割なので、国務大臣が承認をして天皇が国事行為をするというわけではありません。また、天皇大権で認められたことがらについては、国務大臣の助言や承認を受けることはありません。

ウ:「ポイントのまとめ」にあるとおり、正しいです。

エ:「ポイントのまとめ」にあるとおり、条約を締結する権利は天皇大権として認められたものなので、枢密院が条約を締結することはありません。

問4 ア:国民主権の概念を正しく説明した文なので、これが正しいものとなります。現行憲法の前文にも、これに近い内容のことが書かれています。

イ:前文だけでなく、第1条にも国民主権の概念が記述されています。

ウ:たとえば、イギリスでは立憲君主制がとられており、王室がありながらも国民主権の体制となっています。

エ:現在の民主主義体制の国では、間接民主制がとられているのがほとんどです。また、国政すべてのことに国民投票をすることが義務付けられているとも限りません。

問5 「ポイントのまとめ」の説明にあるとおりです。

問6 ア:明治憲法は天皇の勅令によって廃止されたわけではありません。明治憲法に規定された改正の手続きにしたがって現行憲法が制定・公布されました。

ウ:憲法改正の原案を提出するのは内閣ではなく国会議員(衆議院議員100人以上または参議院議員50人以上)です。また、「衆参両院」ではなく「衆参それぞれの」総議員の3分の2以上の賛成が必要です。

ポイントのまとめ

・大日本帝国憲法の成立

明治維新後、選挙や国会開設、憲法制定の要求が高まる

明治政府がプロイセン(ドイツ)の憲法を模範にして憲法草案を作成

1889年に大日本帝国憲法として発布

・大日本帝国憲法の特徴と日本国憲法とのちがい

1.憲法が成立した形

大日本帝国憲法は、君主が国民に授ける形の欽定憲法として成立
日本国憲法は、国民がみずから制定した形の民定憲法として成立

2.主権者

大日本帝国憲法での主権者は天皇であり、天皇は元首として統治権を総攬した
天皇は天皇大権とよばれる権限も持っていて、陸海軍の統帥権(=陸海軍の指揮権)や緊急勅令を発令する権利、条約の締結権を持っていた

日本国憲法での主権者は国民であり、天皇は日本国の象徴

3.議会(立法)

大日本帝国憲法での議会(帝国議会)は天皇に対する協賛機関(天皇に協力・賛同する機関)
選挙で選ばれた議員からなる衆議院と、皇族や華族、勅任議員からなる貴族院で構成

日本国憲法での議会(国会)は国民の代表者で、国権の最高機関

4.国務大臣(行政)

大日本帝国憲法下では、天皇を輔弼する(助言・補佐する)役割
天皇に対してのみ責任を負い、内閣総理大臣は同輩中の首席

日本国憲法下では、内閣は国会に対して責任を負う(議院内閣制)
内閣総理大臣は内閣の首長

5.裁判所(司法)

大日本帝国憲法下では、裁判所は天皇の名において判決をくだす
特別裁判所(行政裁判所や軍法会議など)も存在

日本国憲法下では、裁判所は国会や内閣から独立(司法権の独立)し、国会や内閣から干渉されない
特別裁判所は存在しない

6.基本的人権

大日本帝国憲法下では、「臣民の権利」として保障し、法律の範囲内のみで認められた(=法律の留保
日本国憲法下では、基本的人権の尊重が基本原理となっていて、公共の福祉のために利用

7.その他

大日本帝国憲法下では、天皇の最高諮問機関である枢密院が存在し、国政に関与した
日本国憲法下では、枢密院は存在しない