この問題でおさえておきたいこと
消費者問題は実際に起こった消費者被害と悪徳商法の手口、消費者問題に対する行政の対応がポイント!
法律については具体的な中身も要確認!
解答
問1 ① 問2 ④ 問3 ①
解説
問1 ①:「ポイントのまとめ」にある「キャッチセールス」の説明とほぼ一致しますので、この文は正しいです。ちなみに、キャッチセールスは特定商取引法でいう「訪問販売」に該当するので、クーリングオフができることが多いです。
②:この文はクーリングオフの説明ではなく、催眠商法(SF商法)についての説明です。クーリングオフは一定期間内では消費者は無条件で契約を解除できる制度のことです。
③:キノホルムは「ポイントのまとめ」にあるスモン病事件が契機となって問題視され、販売中止となりました。薬害エイズとは関係がありません。
④:食育基本法は安全・健全な食生活を営むことをめざす内容のもので、食肉の偽装などは関係ありません。また、食育基本法は2005年に成立しましたが、食肉偽装事件(ミートホープ事件など)は2007年に発覚したので、時系列的に考えても正しいとはいえません。
問2 ①:トレーサビリティとは、この文にあるとおり、食品等の流通経路を生産段階から追跡できることをいいます。これにより、その食品等が本当に安全なのかを自分で確認することがしやすくなります。
②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、正しいです。
③:「ポイントのまとめ」にあるとおり、正しいです。
④:国民生活センターは消費者保護の流れを受けて設立された、国が運営している機関です。現在もその役割を担っていますので、廃止されてはいません。よって、この文が誤りです。
問3 ①:「ポイントのまとめ」にあるとおり、製造物責任法(PL法)では、メーカーに過失がなくても損害賠償できる(無過失責任制)ことになっていますから、この文が誤りです。
②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、正しいです。
③:クレジットカードで支払いをすると、その金額をクレジットカード会社がいったん支払いをします。その後、クレジットカード会社から請求が来ます。つまり、クレジットカード会社から資金を借りているという形になるわけなので正しいです。クレジットカードでの支払いは計画的にするようにしましょう。
④:コンプライアンスは法令遵守とも呼ばれていて、企業が法令や企業倫理にしたがうことを意味しますので、この文は正しいです。企業倫理を問われるさまざまな問題が発生したことを背景にさかんに言われるようになりました。
ポイントのまとめ
・消費者の立場
消費者は立場が弱い
例:
- 依存効果…
企業の宣伝によって消費者の購買意欲がかりたてられる - デモンストレーション効果…
他人の影響(流行など)に影響されて自分の消費行動が変わる
↓
企業の販売した商品などによって消費者が損害や不利益を受ける(消費者問題)ことも
・消費者被害
1.食品被害
- 森永ヒ素ミルク事件…
ヒ素により多数の乳児がヒ素中毒に(死亡した乳児も存在) - カネミ油症事件…
カネミ油に含まれるPCBにより、皮膚などに障害
2.薬害
- スモン病事件…
整腸剤に含まれるキノホルムにより、下半身まひや視覚障害 - サリドマイド事件…
睡眠薬・つわり防止の薬に含まれたサリドマイドにより、肢体未発達の乳児が誕生 - 薬害エイズ訴訟…
非加熱の輸入血液製剤が原因 - 薬害肝炎訴訟
3.悪徳商法
- マルチ商法(連鎖販売取引)…
商品を販売する組織の会員にさせて商品を購入させ、新会員を集めて商品を販売すると紹介料やマージンがもらえるしくみ
違法ではないが、厳しく取り締まられている - キャッチセールス…
通行人などを呼び止め、言葉巧みに商品を購入させる - ネガティブオプション…
業者が一方的に商品を送りつけ、返送しなかったら断る意思がないとみなして金額を請求する - 特殊詐欺…
主に高齢者などをターゲットに、実の子どもなどをよそおって振り込みなどをさせたり、代理人を通して金品を受け取ったりする
(「振り込め詐欺」など)
4.クレジットカードやATMなどの発達にともなう多重債務や自己破産
これら消費者被害から消費者を守るために、消費者によって資源配分や生産のあり方が決められるという消費者主権の確立が必要に
※これを具体的にしたもののひとつとして、アメリカのケネディが提唱した消費者の4つの権利(安全である権利・知らされる権利・選ぶ権利・意見を反映させる権利)があります。
・消費者保護の機関
消費者への情報提供や商品テスト、消費者の相談を受け付ける機関として、国が国民生活センター、地方自治体が消費生活センターを運営している。
2009年には、消費者行政を一元化させるために消費者庁が設置された。
・消費者保護のための法律
- 消費者保護基本法…
消費者保護を目的に制定 - 消費者基本法…
消費者保護だけでは不十分という考えのもと、消費者保護基本法を改正して制定
消費者の自立支援を基本理念に、消費者の権利を明確化 - クーリングオフ制度…
訪問販売や電話勧誘などで商品を購入した場合、一定期間内で書面で通知すれば消費者は無条件で契約を解除できる制度 - 製造物責任法(PL法)…
製品によって被害を受けた場合、メーカーに過失がなくても損害賠償できる(無過失責任制) - 消費者契約法…
企業が事実と異なる説明をして消費者が商品を購入した場合、消費者はその契約を解除することができる - 預金者保護法…
キャッシュカードの偽造や盗難などによって預金を引き出された場合、金融機関はその被害を補償しなければならない