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この問題でおさえておきたいこと

先人が人間をどう定義したか、性格をどう考えたかという議論を整理しよう!

解答
問1 ③   問2 ③   問3 ③

解説

問1 「ポイントのまとめ」の説明を参考にすると、アがBの記述に、イがDの記述に、ウがAの記述に、エがCの記述に対応していることがわかります。よって、③が正解とわかります。それぞれのことばが誰によって考案されたかも、確認してください。

問2 ①:リースマンは、著書である『孤独な群衆』にて、現代社会では他人指向型が支配的であると指摘しました。よって、「ほとんど見られなくなった」としているのは誤りです。

②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、クレッチマーは、細長型には分裂気質、肥満型には躁うつ気質が多いとしています。よって、後半部分に書かれている、体型と性格の関連が誤りとなっています。

③:「ポイントのまとめ」にあるとおり、シュプランガーは性格を6つに分類し、選択肢に書かれているとおりに分類しました。よって、この文の内容は正しいです。

④:「ポイントのまとめ」にあるとおり、オルポートは成熟した人格の特徴として6つを挙げていました。選択肢では5つのみとしていますから、それが誤りです。なお、ビッグファイブ理論は、オルポートの研究を受け継いでゴールドバーグらが提唱したものです。

問3 文章の内容を読み取らせる問題は国語の現代文のような問題ですが、このような形式はよく見られます。選択肢の内容について「本当にこのようなことを言っているか?」と疑い、正解の根拠を文章に見出すように心がけましょう。

①:文章中に、「これまでに知覚されなかったものは、必然的に予見不可能である」とありますから、選択肢にある「これまでに知覚したことのない事柄をも想起できるようになる」というのは誤りです。

②:文章では、予見とは「過去に知覚したものを未来に投影すること」とありますが、「これまでに知覚されなかったもの」は、「予見不可能」と書かれていましたから、選択肢にある「自らの未来を見通す」ことはできません。この選択肢も誤りです。

③:「人格は成熟している」こと、「各々の瞬間は新しいもの」であること、「生の一瞬一瞬は、芸術家として手がける創造のようなものである」こと、すべての内容が本文に述べられていましたから、この文の内容は正しいです。

④:この文章で述べられている「芸術家」とは、一瞬一瞬を生きる人間のあり方をたとえた比喩にすぎないので、実際に芸術作品を創造することを述べているわけではありませんから、この選択肢は誤りです。

ポイントのまとめ

・人間の定義

 
ことば 考案者 意味
人間は理性的動物 ソクラテス ほかの動物とちがって、人間は理性を持っている
人間はポリス的動物 アリストテレス 単なる個人ではなく、社会的存在(社会のなかで役割を分担して生きる動物)である
ホモ・サピエンス(英知人) リンネ ほかの動物とちがって、人間は考えることができる
ホモ・ファーベル(工作人) ベルクソン 人間は道具を製作・使用することができ、それにより文明を発達させた
ホモ・ルーデンス(遊戯人) ホイジンガ 人間は遊びをすることができ、それにより文化をうみだした
ホモ・レリギオースス エリアーデ 人間は宗教を信仰することができる
アニマル=シンボリウム カッシーラー 人間は言語などの象徴を使うことができ、それにより意思疎通ができる

・人格(パーソナリティ)について

人格(パーソナリティ)とは、心理学においては「ある人の本質」のことをあらわし、その本質とは、次の3つからなる

性格は、遺伝的要素と環境的要素がからみあって形成されるものであり、人間を型にあてはめることは、ステレオタイプの危険がある

また、オルポートは、「成熟した人格」の特徴として、①ひろく拡大された自意識、②温かい人間関係の構築、③情緒の安定と自己の受容、④現実的な外界の認知と思考、⑤社会への現実的な対応、⑥人生の確立の6つをあげている

・さまざまな性格の分類

クレッチマーは、体型と性格には関係があるとし、細長型には分裂気質、肥満型には躁うつ気質、闘士型にはてんかん気質が多いとした。

シュプランガーは、その人が追求する価値に応じて、理論型、経済型、審美(芸術)型、社会型、権力(政治)型、宗教型の6つに性格を分類した。