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この問題でおさえておきたいこと

日本国憲法第9条についての矛盾をめぐる政府見解や司法の判断を確認しよう!

解答
問1
   ア   …平和主義
   イ   …議会制民主主義(間接民主制でもOK)
   ウ   …永久の権利
   エ   …戦争(の)放棄
   オ   …戦力
   カ   …自衛隊

問2 ④
問3
(例)自分の国が武力攻撃を受けていなくても、同盟国など密接な関係にある国が攻撃を受けたとき、その国とともに反撃をすることができる権利のことで、集団的自衛権という。(78字)

解説

問1
   イ    人数が多いと運営が大変になるので、代表者を選挙で選び、その選ばれた人に決定をしてもらうというシステムを間接民主制といいます。
一方、代表者を選ばず、国民全員で決定をしていくシステムを直接民主制といいます。

   ウ    このように、条文の一部を答えさせる問題もありますから、重要な条文や授業で取り上げられた条文については、その中のキーワードをきちんと確認するようにしましょう。

問2 百里基地訴訟は、茨城県の航空自衛隊基地建設をめぐる、国と土地所有者との売買について、基地反対派が起こした訴訟です(この裁判では、土地売買は私的行為として、自衛隊の合憲・違憲は無関係とされました)。
よって、自衛隊と直接関係がない裁判は、米軍基地の合憲性が争われた砂川事件のみといえます。

問3 解答のチェックポイント

ポイントのまとめ

・日本国憲法にある平和主義の規定

1.前文

2.第9条

・憲法と自衛隊

第二次世界大戦での日本の敗北、アメリカによる日本の間接統治

徹底した平和主義の日本国憲法の制定
←完全武装解除を要求するアメリカの意向

冷戦の激化
中国・北ベトナムの共産化、朝鮮戦争勃発

アメリカの方針転換=日本にも再軍備を要求
これにより、自衛隊の前身組織である警察予備隊が設置

1952年 保安隊に改組
1954年 MSA協定により自衛隊に改組
→憲法9条と自衛隊の並存という矛盾

・憲法第9条をめぐる政府見解

① 自衛隊は、憲法が保持を禁じている「戦力」にあたらない

「戦力」とは、自衛のための必要最小限度をこえる実力をいう
自衛隊は、自衛のための必要最小限度の実力であり、「戦力」ではないから合憲である

② 自衛権の行使について

集団的自衛権について、所持しているが、憲法上、行使できないというのが長年の政府見解
→2014年に安倍内閣が見解を見直し、集団的自衛権の行使は可能とされた

※集団的自衛権

主権国家には2つの自衛権が認められています。

個別的自衛権
…自国が外部から武力攻撃を受けたときに、単独で防衛・反撃できる権利
この権利のみ行使は可能というのが従来の政府見解

集団的自衛権
…密接な関係にある国が外部から武力攻撃を受けたときに、その国といっしょに防衛・反撃できる権利
(例:友好国が武力攻撃を受けたので、自国の軍隊をその国に派遣して攻撃を排除する)

・憲法第9条をめぐる司法判断

砂川事件:米軍立川基地反対派が柵を壊して侵入した事件で米軍基地の合憲性が争われる

(地裁)駐留米軍は「戦力」にあたり違憲
(最高裁)駐留米軍は外国の軍隊なので「戦力」にはあたらない。日米安保条約については統治行為論により判断回避

恵庭事件:自衛隊演習場の騒音で住民が通信回線をカットした事件

(地裁)事件を無罪とし、自衛隊についての違憲判断も不要とした

長沼ナイキ基地訴訟:保安林の解除をしてナイキミサイル基地建設をすることについての訴訟

(地裁)自衛隊は「戦力」にあたり違憲
(高裁・最高裁)統治行為論により判断回避

※統治行為論とは、高度の政治性をもつ問題については、裁判所の司法審査になじまないので判断は控えるべきという考え方のことをいいます。