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この問題でおさえておきたいこと

生まれ方の問題・死の判定の問題・死に方や治療法の問題に分けて整理しよう!
その問題について自分の意見も持つと、小論文で有利!

解答
問1 ①   問2 ②

解説

問1 2009年の臓器移植法改正により、家族の同意のみでも臓器移植が可能になったので、①は誤りといえます。

問2 ②はインフォームド=コンセントについての説明です。リビング・ウィルは、延命措置の拒否や臓器提供などの意思を示した書面のことです。

また、④に示されているような、ホスピスにおける緩和ケアのことをターミナル・ケアといいます。

ポイントのまとめ

・生まれ方の問題

生殖技術の飛躍的な進歩
人工授精…医師が精子を人工的に卵子に注入して授精させる
体外受精…母体から卵子を取り出して体外で受精させ、受精卵をまた母体に戻して出産させる

メリット:
子どもに恵まれない夫婦の間でも子どもをつくることができる

デメリット:
女性が妊娠できない場合でも他の女性に妊娠・出産させることが可能(=代理母出産
→子どもの親権が誰になるのかの問題

遺伝子に関する技術の発達
出生前診断…出生前に胎児の障がいや遺伝病の有無などを調べる
→命の選別につながる可能性
クローン技術…同じ遺伝形質をもつ個体や細胞などを複製する技術
すでにヒツジで成功(イギリスのヒツジのドリー)

※クローン技術

人間に応用されると、個人情報の保護がしづらくなる
また、「無限の命」が達成されるが、それが本当にいいことなのかという問題もある

日本ではヒトクローン技術規制法で人間についてクローン技術を適用することを禁止(欧米でも法律によって禁止)
ただし、再生医療を目的にした細胞レベルの研究はOK
例:
ES細胞受精卵の初期胚から作る)→受精卵使用のため倫理的問題あり。日本では原則使用禁止。
iPS細胞(体細胞から作る)

・死の判定の問題

心臓停止、呼吸停止、瞳孔拡散の3つが死の条件とされていたが、臓器移植法により、脳死(すべての脳の機能が失われ、二度と回復する可能性がなくなった状態)も人間の死と認めるように
(これにより生きた心臓も移植可能に)

2009年 臓器移植法が改正

改正点:
臓器提供意思表示カード(ドナーカード)など書面による本人の意思表示がないと臓器移植は不可能だったが、家族の同意のみでも臓器移植が可能に
・15歳未満でも臓器提供が可能に。その際、親族への優先提供も可能に

ただし、臓器移植によって死の基準が2つあることへの疑問や宗教上の観点から議論は絶えない
また、死者を穢れたものとする日本人独特の死生観により、臓器移植もなかなか進まないことも問題点としてある

・死に方や治療法の問題

従来は生命の尊厳(SOL、Sanctity Of Life)を重視した立場だったため、生命を守ることや維持することが最優先された

最近では、生命の質(QOL、Quality Of Life)を重視する立場もあらわれ、残りの人生を充実した形で終わらせて死にたいという立場もできた
尊厳死…回復の見込みがない病気に関して、苦痛にしかならない延命措置を停止すること
安楽死…苦痛を避けるために、薬物を投与してもらうなどして人為的に死なせること

※自分が末期状態になったときを想定し、医師に延命措置をしないよう依頼したり、脳死になった場合に臓器提供の意思を示したりした書面をリビング・ウィルという

医療のありかたについても変化
インフォームド=コンセント…医師が患者やその家族に、治療の目的や方法、副作用などについて十分に説明し、同意のうえで治療をすること。
ホスピス…治療の見込みのない末期患者について、苦痛や不安を取り除き、安らかな死を迎えさせるための施設

・その他

1.ヒトゲノム(人間が生きる上で必要となるレベルの染色体の一組に含まれる全遺伝子情報)の解読が完了(2003年)

遺伝情報が解明されたことになるので、遺伝子治療も可能になるが、遺伝の情報は究極の個人情報なので、その管理をどうするのかの問題もある

2.遺伝子組み換え作物の誕生
(日本では、表示義務あり)