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この問題のポイント

同位体どうしでは何が同じで何が異なっているかに注意!
原子量の計算や年代測定の計算にも慣れよう!

問1 まず同位体というものが何かということからつかんでいきましょう。

原子番号が同じだが質量数が異なる原子どうしを同位体(アイソトープ)という。

原子番号は陽子の数と等しく、質量数とは陽子と中性子の合計と等しいので、次のようなことがいえる。

同位体どうしで同じもの

同位体どうしで異なるもの

元素記号
原子番号
陽子の数

質量数
中性子の数

不安定な原子核を持ち、放射線を出す同位体を特に放射性同位体といいます。放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線の3つがありますが、高校化学ではベータ線を放出する原子核の壊変または崩壊について知っておきたいところです。

ベータ線は原子核の中の中性子が陽子に変化するときに出る電子のことです。ということは、ベータ線を放出したということは、陽子が1個増えたということになり、原子番号も1個増えたということになります。中性子が陽子に変わっただけなので質量数に変化はありません。

$\ce{H}$は原子番号が1ですが、これの原子番号が1個増えたので原子番号2である$\ce{He}$に変化したことになります。質量数は変わらないので、次のような変化が起こっていたということになります。
$\ce{^{3}_{1}H -> ^{3}_{2}He + e-}$

問2 「水兵リーベ…」の語呂合わせを思い出せば、炭素($\ce{C}$)は6番目に出てきますから、炭素の原子番号は6です。原子番号は陽子の数と同じなんですから、$\ce{^{13}C}$の陽子数は6です。

そして、$\ce{^{13}C}$の質量数は13と示されていますが、質量数は陽子と中性子の合計でしたね?陽子数は6とわかったんですから、中性子数は13-6 = 7です。

問3 表1より、$\ce{^{12}C}$は98.9%,$\ce{^{13}C}$は1.1%存在しているとわかります。原子量は、それぞれの同位体について(質量)×(存在比)を計算することで求めることができました。この問題の場合は、($\ce{^{12}C}$の質量)×($\ce{^{12}C}$の存在比)+($\ce{^{13}C}$の質量)×($\ce{^{13}C}$の存在比)を計算します。

$\ce{^{12}C}$の質量数は12,$\ce{^{13}C}$の質量数は13ですから、
\( \displaystyle 12×\frac{98.9}{100}+13×\frac{1.1}{100} \)
これを計算すると12.011となりますが、有効数字4桁まで求めればいいので、12.01が答えとなります。

問4 $\ce{^{14}C}$の半減期、つまり半分になるのが5700年と問題文にありますが、木片の$\ce{^{14}C}$の存在量は1/4なんですから、$\ce{^{14}C}$は半分の半分になったわけです。ということは、5700年かかった後に、さらに5700年の年月が経過したということになりますね。このように、$\ce{^{14}C}$を使った年代測定では半分にするのが何回重なるのかを考えるという解きかたをします

よって、その木が存在していたのは5700+5700 = 11400年前と推定することができます。これを有効数字2桁にすると、11400を四捨五入して11000とおけるので、\( 1.1×10^4 \)と変換することができます。

答え.
問1 $\ce{^{3}He}$
問2 陽子数…6   中性子数…7
問3 \( \displaystyle 12×\frac{98.9}{100}+13×\frac{1.1}{100} ≒ 12.01 \)
問4 \( 1.1×10^4 \)年前