この問題のポイント
教科書に登場する実験器具の名称や、液体を希釈する方法を確認しよう!
主な実験の手順を「なぜそうするのか」ということとあわせて理解しよう!
問1
液体を希釈するときは、まずホールピペットで希釈したい液体を標線のところまで吸い上げ、それをメスフラスコに注ぎます。これらの器具を使うのは、正確な体積のもとで正確な濃度に希釈するためです。
メスフラスコに注いだら、メスフラスコの液面の底面が標線のところにくるまで蒸留水を注ぐことで希釈できます。このとき、標線と目線は同じ高さで計測するようにします(上から標線を見たり下から標線を見たりすると、注ぐべき蒸留水の量に誤差が出ます)。
与えられた選択肢を見ると、希釈するときに用いるべき器具であるメスフラスコを使っているのは②しかありません。液体をビーカーやメスシリンダーに移して希釈しても体積の精度の正確性に劣るので、正確な濃度に希釈できません。
問2
a それぞれの実験器具の名称と主な用途は次のとおりです。
名称 |
用途など |
|
① |
駒込ピペット |
簡単に少量の液体を吸い取って計量や移動ができるが、正確な体積をはかりとるには適さない |
② |
ビュレット |
滴定のときに、滴下した液体の体積を計測する |
③ |
メスシリンダー |
液体の体積を計測できるが、精度は低い |
④ |
ホールピペット |
溶液を一定の体積だけはかりとるときに使う |
⑤ |
メスフラスコ |
液体を希釈するときなど、決まった体積にするために使う |
b ホールピペットとビュレットは中に入れる溶液で数回すすいでから使う(共洗い)のがふつうです。ホールピペットは溶液をはかりとってメスフラスコに入れる、ビュレットは滴定で溶液を滴下して使うものなので、もし水滴などがついてしまうと濃度が薄まってしまって正確な計測に影響が出るからです。(メスフラスコの場合は、結局標線まで水を入れるわけなので、水滴があってもよいから水洗いでOKです。)
また、問1の解説にあったように、純水を加えるときは、メスフラスコの液面の底面が標線のところにくるまで加える必要があります。以上のことから、BとDの組合せである④が正解とわかります。
ちなみに、メスフラスコ、ホールピペット、ビュレットは容積が正確な器具ですが、ガラスでつくられています。ガラス製品は熱すると容積が変わってしまうので、これらの器具を熱乾燥してはいけません。このことも理解しておきましょう。
問3
濃硫酸を希釈するときは、硫酸に純水を注ぐのではなく、多量の純水に硫酸を少しずつ加えていくという方法でしなければなりません。水と硫酸を混ぜることで多くの熱が発生するので、突沸が起きて硫酸が飛び散ることがあるからです。よって、④が誤りです。
ちなみに、ほかの選択肢に書かれていることついて、なぜそのようにしなければならないか説明できますか?それぞれ、このような理由です。
①…有毒な気体が発生しても、直接かいでしまう可能性を減らすため。
②…洗い流さずに放置すると熱傷を引き起こすため。
③…濃塩酸から発生する塩化水素のガスは毒性があるので直接吸う可能性を減らすため。
⑤…もし突沸してしまったときに、液体が人にかかるのを防ぐため。
答え.
問1 ②
問2 a ④ b ④
問3 ④