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この問題のポイント

デンプンとセルロースの特徴・加水分解ではたらく酵素とできるものを比較しながらおさえよう!
デンプンの構造も重要なポイント!

問1

(1)代表的な多糖類としてデンプンやセルロースがあります。まず、デンプンが加水分解されるとどうなるかが問われていますが、デンプンとセルロースの加水分解反応についておさえましょう。加水分解反応には酵素もはたらきますので、矢印の横に、反応にはたらく酵素を示します。

デンプンの加水分解

デンプン
アミラーゼ
デキストリン(多糖類)
アミラーゼ
マルトース(二糖類)
マルターゼ
グルコース(単糖類)

セルロースの加水分解

セルロース
セルラーゼ
セロビオース(二糖類)
セロビアーゼ
グルコース(単糖類)

これで   2      5      11      12   に入る語句がわかります。次にデンプンの構造などが問われていますが、デンプンとセルロースの構造はこのようになっています。

デンプンの構造

アミロースアミロペクチンの混合物となっている

アミロースとアミロペクチンの比較

 

アミロース

アミロペクチン

構成している糖

$α$-グルコース

$α$-グルコース

立体構造

直鎖状のらせん構造

枝分かれのらせん構造

結合

1位と4位のヒドロキシ基($\ce{-OH}$)の間

1位と4位および1位と6位のヒドロキシ基($\ce{-OH}$)の間

分子量

小さめ($10^4$~$10^5$程度)

大きめ($10^5$~$10^6$程度)

水溶性

熱水に溶ける

熱水に溶けない

セルロースの構造

$β$-グルコース直鎖状に結合してできている

デンプンとセルロースの比較

   

デンプン

セルロース

化学式

$\ce{(C6H10O5)_{$ n $}}$

$\ce{(C6H10O5)_{$ n $}}$

主な存在場所

米やいも

植物の細胞壁

構成している糖

$α$-グルコース

$β$-グルコース

立体構造

らせん構造

直鎖構造

溶解性

アミロースは熱水に溶ける
アミロペクチンは熱水にも溶けない

溶けないが、シュバイツァー試薬には溶ける

ヨウ素デンプン反応

する

しない

   1      6      10   に入る語句はこれを参考に理解できるでしょう。

(2)アミロースやアミロペクチンにヨウ素液(ヨウ素ヨウ化カリウム溶液)を加えるとらせん構造の「環」の中にヨウ素分子が入り込んで呈色します。この反応をヨウ素デンプン反応といいます。

よって、アミロースやアミロペクチンをもつデンプンや、アミロペクチンに似た構造をしたグリコーゲンでは呈色します。一方、単糖類でらせん構造をしていないグルコースや、直鎖構造をしているセルロースでは呈色しません。

そして、糖の鎖式構造の中にアルデヒド基($\ce{-CHO}$)があると、その水溶液は還元性を示します。この還元反応をフェーリング反応といいますが、フェーリング液が呈色すると、その還元性があると判断できるわけです。

グルコースの分子の末端にはそのアルデヒド基があるため、その水溶液は還元性を示しフェーリング液は呈色します。しかし、デンプンやグリコーゲン、セルロースといった多糖類では、末端にアルデヒド基がありますが、分子全体でみるとアルデヒド基の比率があまりに小さいので還元性がほとんど示されません。よって、この3つではフェーリング液は呈色しません。

問2

フェーリング液はもともと青色をしています。これは銅(Ⅱ)イオン($\ce{Cu^2+}$)が溶けているからです。アルデヒド基によって還元されると、酸化銅(Ⅰ)($\ce{Cu2O}$)が生成されます。酸化銅(Ⅰ)は赤褐色をしており、フェーリング液はそのように変化します。以上の説明を簡潔にまとめるとよいでしょう。

解答のチェックポイント

問3

(1)デンプンを加水分解させてグルコースを生成したときの化学反応式は
$\ce{(C6H10O5)_{$ n $} + {$ n $}H2O -> {$ n $}C6H12O6}$
より、デンプン1molにつきグルコースは$n$mol生成されます。

デンプンの分子量は\( (12×6+1×10+16×5)×n = 162n \)より、デンプン500gは\( \displaystyle \frac{500}{162n} \)molです。

よって、グルコースは\( \displaystyle \frac{500}{162n}×n = \frac{500}{162} \)mol生成され、グルコースの分子量は12×6+1×12+16×6 = 180より、生成される質量は
\( \displaystyle \frac{500}{162}×180 ≒ 5.6×10^2 \)g

(2)グルコースを発酵させたときの化学反応式は
$\ce{C6H12O6 -> 2C2H5OH + 2CO2}$
より、生成される物質はエタノールと二酸化炭素で、グルコース1molにつき、エタノールと二酸化炭素それぞれ2mol生成されるとわかります。

(1)にてグルコースは\( \displaystyle \frac{500}{162} \)mol生成されるので、エタノールと二酸化炭素の物質量は\( \displaystyle \frac{500}{162}×2 = \frac{500}{81} \)mol

エタノールの分子量は12×2+1×5+16+1 = 46より、生成される質量は
\( \displaystyle \frac{500}{81}×46 ≒ 2.8×10^2 \)g

二酸化炭素の分子量は12+16×2 = 44より、生成される質量は
\( \displaystyle \frac{500}{81}×44 ≒ 2.7×10^2 \)g

答え.
問1
(1)
   1   …$\ce{(C6H10O5)_{$ n $}}$      2   …アミラーゼ
   3   …デキストリン      4   …マルトース
   5   …マルターゼ      6   …アミロース
   7   …アミロペクチン      8   …らせん
   9   …枝分かれ      10   …$β$-グルコース
   11   …セルラーゼ      12   …セロビオース
(2)
13…(ア)   14…(ア)   15…(イ)   16…(イ)
17…(イ)   18…(イ)   19…(イ)   20…(ア)
問2(例)
フェーリング液の青色が薄まり赤褐色の沈殿が生じる。これは液中の銅(Ⅱ)イオンが還元されて酸化銅(Ⅰ)が生じるためである。(60字)
問3
(1)
\( 5.6×10^2 \)g
(2)
2つの物質名はエタノールと二酸化炭素
それぞれの質量は、エタノールは\( 2.8×10^2 \)g,二酸化炭素は\( 2.7×10^2 \)g