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この問題のポイント

ケイ素は共有結合・半導体、二酸化ケイ素はフッ化水素との反応や石英として存在することがポイント!
二酸化ケイ素からシリカゲルをつくる過程も重要事項!

〔1〕ケイ素$\ce{Si}$の性質として、重要なことがらは次の4点です。

  1. 単体は天然に存在せず、つくるにはケイ砂($\ce{SiO2}$)をコークス($\ce{C}$)で還元する

  2. ダイヤモンドと同じく、正四面体構造の共有結合の結晶である

  3. 非金属だが、金属光沢をもつ

  4. 半導体であり、集積回路(IC)などに利用される
    (もともとは電気を通さないが、温度が上昇すると電気を通すようになる)

これを参考にして、問題文を読むと、   あ   には「共有」、   い   には「半導体」が入ることがわかります。

〔2〕二酸化ケイ素$\ce{SiO2}$の性質として、重要なことがらは次の4点です。

  1. 天然には石英として存在し、より大きくて透明な結晶は水晶、砂状のものはケイ砂とよばれる

  2. ケイ素と同じく、共有結合の結晶である

  3. 非金属の酸化物なので酸性酸化物である

  4. 水には溶けないが、フッ化水素($\ce{HF}$)には反応して溶ける(=ガラスの主成分は二酸化ケイ素なので、フッ化水素はガラス瓶では保存できない)

3番目にある記述より、   う   に入るのは「酸性」と判断できます。

〔3〕ケイ素の色については、少し深い知識が必要とされたと思います。ケイ素は結晶としては暗青灰色、そうではなく無定形のものは褐色をしています。問題文ではケイ素の結晶について問われていますから、選択肢の中では「灰色」が一番近い解答となるでしょう。

そして、   B   については「白色」が正解となります。このくわしい説明は〔6〕の解説を読んでください。

〔4〕〔2〕の解説にてふれたとおり、二酸化ケイ素はフッ化水素に反応して溶けます。ヘキサフルオロケイ酸の化学式は$\ce{H2SiF6}$です。そこで、いったん化学反応式をこう書きます。
$\ce{SiO2 + HF -> H2SiF6}$

フッ素原子の数を矢印の左側と右側で合わせると、
$\ce{SiO2 + 6HF -> H2SiF6}$

すると、矢印の左側にある水素原子や酸素原子に余りが発生してしまいます。そこから考えると、ヘキサフルオロケイ酸だけでなく、水($\ce{H2O}$)も発生することが推測できます。

よって、求める化学反応式は、
$\ce{SiO2 + 6HF -> H2SiF6 + 2H2O}$
これは重要な化学反応式なので、化学反応式ごとチェックしましょう。

〔5〕二酸化ケイ素は酸性ですから、塩基と反応をすることがあります。炭酸ナトリウムは塩基性で$\ce{Na2CO3}$です。そして、ケイ酸ナトリウムは$\ce{Na2SiO3}$ですので、炭酸ナトリウムと二酸化ケイ素の反応を化学反応式であらわすと、

$\ce{SiO2 + Na2CO3 -> Na2SiO3 + CO2}$

よって、発生する気体は二酸化炭素です。そして、炭酸ナトリウムは1molで23×2+12+16×3 = 106gですから、21.2gの炭酸ナトリウムは21.2÷106 = 0.2molです。

先ほどの化学反応式では、炭酸ナトリウムの係数と二酸化炭素の係数は同じでしたから、発生する二酸化炭素も0.2molです。標準状態では気体は1molでは22.4Lなので、発生する気体は、
22.4×0.2 = 4.48 ≒ 4.5L

〔6〕ケイ素の化合物についてまとめると、次のようになります。

二酸化ケイ素を塩化ナトリウム($\ce{NaOH}$)と加熱融解させると、ケイ酸ナトリウム($\ce{Na2SiO3}$)を得る
$\ce{SiO2 + 2NaOH -> Na2SiO3 + H2O}$

ケイ酸ナトリウムを水と加熱すると水ガラスを得る

水ガラスの水溶液に塩酸($\ce{HCl}$)を加えると、白色ゲル状ケイ酸($\ce{H2SiO3}$)を得る
$\ce{Na2SiO3 + 2HCl -> 2NaCl + H2SiO3}$

ケイ酸を加熱・脱水すると、乾燥剤などに使われるシリカゲルを得る

これを参考にすると、   ア   には「水ガラス」、   イ   には「シリカゲル」が入ることがわかります。

〔7〕$\ce{SiO2}$の分子量は28+16×2 = 60、$\ce{H2O}$の分子量は1×2+16 = 18なので、$\ce{SiO2・{$ n $}H2O}$は1molで$(60+18n)$gあることになります。そして、ケイ素($\ce{Si}$)は1molで28gあります。よって、\( \displaystyle \frac{28}{60+18n} \)の値が0.359になればいいということになります。

\( \displaystyle \frac{28}{60+18n} = 0.359 \)を解くと、
\( 0.359(60+18n) = 28 \)
\( 21.54+6.462n = 28 \)
\( 6.462n = 6.46 \)

$n$の値は整数で求めればいいので、\( n ≒ 1 \)です。

答え.
〔1〕   あ   …②      い   …⑩
〔2〕①
〔3〕   A   …③      B   …①
〔4〕$\ce{SiO2 + 6HF -> H2SiF6 + 2H2O}$
〔5〕気体名…二酸化炭素   体積…4.5L
〔6〕   ア   …水ガラス      イ   …シリカゲル
〔7〕1