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この問題のポイント

物質の分離・精製の方法それぞれについて、具体例とどんな性質を利用しているのかをおさえよう!
ろ過と蒸留については、実験器具の注意点もおさえる!

問1 まず、物質の分離や精製には、どのような方法があるのかをおさえましょう。

ろ過
粒子の大きさのちがいを利用して、液体とその液体に解けない固体を分離させる方法
例:水とその中に入っている砂利を分ける

蒸留
沸点のちがいを利用して、液体どうしを分離させる方法
例:海水から水を取り出す、ワインからアルコール分を取り出す

分留
液体の混合物を適当な温度範囲で区切って蒸留する方法
例:原油から灯油、軽油、重油を分けて取り出す

再結晶
溶解度のちがいを利用して、固体どうしを分離させる方法
例:食塩と硝酸カリウムが溶けた水の温度を下げて、硝酸カリウムのみを取り出す

昇華
熱すると液体にならず直接気体になる物質をいったん気体にさせて、それを冷やして分離させる方法
例:ナフタレンからヨウ素を取り出す

抽出
溶媒への溶けやすさのちがいを利用して、目的の成分を分離させる方法
例:ヨウ素と水の混合物とヘキサンを混ぜて、ヨウ素のみヘキサンに抽出させる

クロマトグラフィー
吸着力のちがいを利用して、成分を分離させる方法
例:水性の黒インクをつけたろ紙をヘキサンに浸けて、各成分を分離させる

①:この文は正しいです。再結晶のことかと間違えそうになるかもしれないですが、「特定の物質を溶媒に溶かして分離する」とあるので、抽出のことを述べていると判断できます。

②:これは蒸留の説明です。

③:これはろ過の説明です。

④:これは再結晶の説明です。

⑤:これは昇華法(昇華)の説明です。

問2 ①:ヨウ素は固体の状態から熱すると液体にならずに直接気体になります。よって、昇華を利用することができます。熱するとヨウ素だけ気体になり、ヨウ化カリウムは気体になりません。その気体を冷却すれば、ヨウ素だけを取り出すことができます。

②:食塩水を電気分解すると、陽極からは$\ce{NaCl}$からできる塩素が、陰極からは$\ce{H2O}$からできる水素が発生します。よって、食塩水を電気分解しても塩化ナトリウムは得られません。塩化ナトリウムを得るには、食塩水を熱して水のみを蒸発させる方法などを使えばよいでしょう。

③:酸素と窒素は沸点がちがいます。よって、液体の状態である空気を分留させることで、酸素と窒素それぞれを取り出すことができます。

④:問1の解説にある赤枠の「クロマトグラフィー」の説明にあるとおりです。よって、この文は正しいです。

⑤:油脂はヘキサンに溶けやすいので、その性質を利用すれば、抽出の方法によって油脂を取り出すことができます。よって、この文も正しいです。

問3 蒸留を実際にやるときは、うまく目的の分離ができるように、以下のことに注意してされなければなりません。

  • 沸騰石を入れておく
    (突然の沸騰を防ぐため)

  • 温度計の最下端は枝付きフラスコの枝元の位置に合わせる
    (出てくる気体の温度を正確に測ることができ、求める気体の沸点と一致していれば留出液が目的のものだと判断できるため)

  • 液量はフラスコ内の2分の1以下にする
    (あまり液が多いと沸騰するとき、枝のほうへ原液が流れ出る可能性があるため)

  • 冷却器の中に冷却水を流すとき、冷却水は下から上へ流れるようにする
    (上から下へ流すと冷却水がたまりにくくなり、冷却効果が落ちるため)

  • 液を受けるほうの容器は密閉しない
    (圧力が増す状態となって破損する可能性があるため)

この説明から考えると、〔部分A〕についてはア、〔部分B〕についてはオ、〔部分C〕についてはキが正しいとなりますので、④が正解となります。

ちなみに、ろ過についてもうまく目的の分離ができるように注意しなければならないことがあります。あわせて確認しましょう。

  • 液体はガラス棒を伝わらせて静かにそそぐ
    (ろ過する液体が飛び跳ねないようにするため)

  • ろ過する液体で少量ろ紙をぬらしてろうとに密着させる
    (ろ過する液体を流しやすくするため)

  • ろ過する液体はろ紙の8分目以上入れない
    (入れすぎると固体がつまってろ過が遅くなるため)

  • ろうとのとがっている先端をビーカーの内壁につけておく
    (液体が絶え間なく流れ落ちる速度が大きくなるため)

よって、試験管イ内では特に反応は起こりませんので、均一な溶液のままとなります。つまり、正解は⑤といえます。

答え.
問1 ①   問2 ②   問3 ④