この問題のポイント
イオン化傾向の大きい金属板は電子を放出(酸化反応)する負極に
イオン化傾向の小さい金属板は電子を獲得(還元反応)して水素を放出する正極に
なるということに注意!
問1 酸化還元反応によって放出されるエネルギーを電気エネルギーに変える装置を電池といいます。
電池では、イオン化傾向が異なる金属板を電解質水溶液に浸して、その金属板を導線でつなぐことでつくられます。それぞれの金属板での反応はこのようになりますね。
イオン化傾向の大きい金属板…
金属がイオンとなって溶けだし、同時に電子を放出する(=酸化される)
(電子は-の電気を持っているので、溶けだすイオンは陽イオン)
放出された電子は、導線を通ってイオン化傾向の小さい金属板へ向かう
イオン化傾向の小さい金属板…
導線を通ってやってきた電子を受け取る(=還元される)
受け取った電子は水溶液中の水素イオンとくっつき、水素を発生させる
この導線のところに豆電球などをつなぐと電球がつくということですね。そして、電子はイオン化傾向の大きい金属板から小さい金属板へと流れているんですから、電流はその逆でイオン化傾向の小さい金属板から大きい金属板へと流れているということになりますね(中学理科で習ったとおり、電流の向きと電子の流れの向きは逆です)。
電流は正極(+極)から負極(-極)へと流れるんですから、イオン化傾向の小さい金属板が正極、イオン化傾向の大きい金属板が負極ということになります。
以上のことから、この問題の正解は⑥となります。
問2 問1の解説より、Aの文については、空所に入るのは「正」となります。Bの文についてですが、還元反応が起こるのはイオン化傾向の小さい金属板のほうで、これは正極になるんですから、Bの文についても空所に入るのは「正」です。そして、Cの文についても、問1の解説より、空所に入るのは「正」ですから、正解は①です。
ちなみに、この問題にも書かれていますが、電池から電流をとり出すことを放電といいます。それに関連することとして、外部の電源に接続して逆向きに電流を流すことで各極の反応を逆戻りさせてまた電池として使えるようにすることを充電といいます。セットで覚えておくといいでしょう。
問3 ①:問1の解説にあるとおり、導線から電子を受け取るのはイオン化傾向の小さい金属板なので、正極です。よって、この文は正しいです。
②:イオン化傾向の大きい金属板では、どんどん陽イオンができて電子が過剰状態になっています。一方、イオン化傾向の小さい金属板では、陽イオンになりにくいので電子が不足気味になります。これによって生じる電位差を起電力といいます。よって、この文も正しいといえます。
③:一度放電すると電池の能力がもどらない電池を一次電池、充電すれば電池の能力がもどってまた使うことのできる電池を二次電池といいます。よって、この文も正しいです。
④:亜鉛と銅では、銅のほうがイオン化傾向が小さいので、銅は正極になります。なので、「負極になる」と記述しているこの文は誤りです。
⑤:代表的な電池のそれぞれの極はこのようになります。
- ボルタ電池…希硫酸水溶液を使用。正極が銅、負極が亜鉛
- ダニエル電池…正極が銅、負極が亜鉛。正極に硫酸銅水溶液、負極に硫酸亜鉛水溶液を使用
- 鉛蓄電池…希硫酸水溶液を使用。正極が酸化鉛(Ⅳ)、負極が鉛
よって、この文は正しいといえます。
答え.
問1 ⑥ 問2 ① 問3 ④