この問題のポイント
アルキンの問題ではアセチレンが頻出!
とくにアセチレンの実験室での製法と5つの付加反応をおさえる!
問1 アルキンとは、2つの炭素原子が三重結合で結ばれ、$\ce{C_{$ n $}H_{$ 2n-2 $}}$の形の分子式で表せるもののことです。その中でも重要なアセチレンは、実験室で生成しようとなった際は、炭化カルシウム(カーバイド)に水を加えるという方法がとられます。この化学反応は、次のように考えると、非常にわかりやすいでしょう。
炭化カルシウムは$\ce{CaC2}$ですから、水と反応させると、水分子中の水素原子をもとにアセチレンが、酸素原子をもとに酸化カルシウムがまず生成されます。
$\ce{CaC2 + H2O -> C2H2 + CaO}$…①
しかし、この酸化カルシウムは水にすぐに溶けてしまい、水酸化カルシウムを生成してしまいます。
$\ce{CaO + H2O -> Ca(OH)2}$…②
①と②より、結局生成されるものは、アセチレンと水酸化カルシウムということになります。よって、①と②の反応式を組み合わせると、このようになります。重要な化学反応式なので、ぜひ覚えましょう。
$\ce{CaC2 + 2H2O -> C2H2 + Ca(OH)2}$
問2 アセチレンは三重結合を含んでいますが、その三重結合が解けて別の物質が作られることがあります。三重結合が解けるわけなので、この反応は付加反応となりますが、その付加反応で覚えるべき反応が5つあります。
1.二原子分子(水素($\ce{H2}$)やハロゲンなど)との付加反応
アセチレンと二原子分子では、次のような付加反応を起こします。
$\ce{HC#CH + X2 -> CHX=CHX}$…③
$\ce{HC#CH + 2X2 -> CHX2-CHX2}$…④
つまり、二原子分子のモル数によって、最終的にできる物質が違ってくるわけです。(④の反応は③を経てから進みます)
なので、水素と反応させた場合は、③の反応より、$\ce{CH2=CH2}$(エチレン)が、④の反応より、$\ce{CH3-CH3}$(エタン)が生成されます。
また、ここではこの付加反応もあわせてふれておきましょう。
2.アセチレン3分子による付加重合
アセチレンの分子3つで、下の図のような反応が起こり、ベンゼンが形成されます。
問3 アセチレンによる付加反応には、$\ce{CH2=CH-(ビニル基)}$を含む物質が生成される反応があります。構造式で書くと右の図です。その付加反応もおさえておきましょう。
3.水との反応
水が反応するときは、$\underline{\ce{-H}}$と$\underline{\ce{-OH}}$に分かれてからアセチレンと反応するので、$\ce{CH2=CH-OH}$となります。これはビニルアルコールという物質です。ところが、これは不安定な物質で、$\ce{OH}$のうちの$\ce{H}$が移動をして、$\ce{CH3-CHO}$という物質になります。これはアセトアルデヒドといいます。
ですから、反応をまとめるとこのようになります。
$\ce{HC#CH + H2O -> CH3-CHO}$
よって、 A に入るのはビニルアルコール、 B に入るのはアセトアルデヒドとなります。他に、ビニル基を含む物質が生成される付加反応として、このようなものがあります。
4.塩化水素($\ce{HCl}$)との反応
$\underline{\ce{-H}}$と$\underline{\ce{-Cl}}$に分かれてからアセチレンと反応するので、塩化ビニルができます。反応式はこのようになります。
$\ce{HC#CH + HCl -> CH2=CHCl}$
5.酢酸($\ce{CH3COOH}$)との反応
$\underline{\ce{-H}}$と$\underline{\ce{-CH3COO}}$に分かれてからアセチレンと反応するので、酢酸ビニルができます。反応式はこのようになります。
$\ce{HC#CH + CH3COOH -> CH2=CHOCOCH3 + H2O}$$\ce{HC#CH + CH3COOH \\ -> CH2=CHOCOCH3 + H2O}$
答え.
問1
$\ce{CaC2 + 2H2O -> C2H2 + Ca(OH)2}$
問2
ア …付加
イ …エチレン
ウ …エタン
問3
A …ビニルアルコール
B …アセトアルデヒド
(構造式は下の図)