この問題のポイント
温度一定のときは平衡定数の値は一定であり、公式で求まることをおさえよう!
aA+bB⇄cC+dD(大文字は気体)の反応で、モル濃度を[A]、[B]、[C]、[D]とすると、
K = [C]c[D]d÷[A]a[B]b
(1)化学反応は、時間が進んでいくと反応物がだんだんなくなって、逆に反応によってできた生成物が増えていっちゃうので、逆反応が起きてくるようになります。そうするうちに、正反応の速度と逆反応の速度が等しくなり、反応が見かけ上とまったように見えるようになります。この状態が平衡状態なわけです。
そして、逆反応の速度を正反応の速度で割ったのが平衡定数とよばれるものです。これを求める問題なので、必要になるのが、「この問題のポイント」にあるとおり、モル濃度と化学反応式の係数となります。
ただし、化学反応式の係数については、問題文にH2+I2−⇀↽−2HIとあるので、それを見ればわかります。なので、モル濃度を考えていかなければなりません。
「H2、I2を2.0mol/l入れたところ、平衡状態で0.50mol/lのI2が残った」という条件から、反応前後のモル濃度を考えると、このようになります。
H2 | + | I2 | ⇄ | 2HI | |
反応前 | 2.0 | 2.0 | 0 | ||
反応量 | -1.5 | -1.5 | +1.5×2 | ||
平衡時 | 0.50 | 0.50 | 3.0 |
I2は2.0mol/lから0.50mol/lになったんですから、反応で1.5mol/lなくなったということになります。化学反応式での係数が同じH2も同じ分だけなくなったことになり、それらのどちらともがHIになったわけだから、上のような関係になるわけですね。
これで平衡定数が求まります。「この問題のポイント」にある公式を分数の形にして計算すると、
K=[HI]2[H2][I2]
=(3.0)20.50×0.50
=90.25=36
(2)問題文にある条件で平衡定数を求めると、
[HI]2[H2][I2]
=(4.0)22.0×2.0=4.0
しかし、平衡定数は温度が変わらないのであれば一定のはずですから、(1)で求めた36でないといけないはずです。なので、36に近づくような反応が進むはずです。
36に近づくためには、さっきの分数の分子(=[HI]2)が大きく、分母(=[H2][I2])が小さくなればいいですね。ということは、HIがたくさんできるような反応が進むはずですから、それを生成する向き、つまり「→」に反応は進みます。
次に、モル濃度を求めましょう。平衡定数を使った計算では、パターンがあります。そのパターンを使って考えていきましょう。まず、反応量をxなどで表して、(1)でやったように平衡時の量をxなどを使って表すことを考えます。H2の反応量をxとすると、
H2 | + | I2 | ⇄ | 2HI | |
反応前 | 2.0 | 2.0 | 4.0 | ||
反応量 | −x | −x | +2x | ||
平衡時 | 2.0−x | 2.0−x | 4.0+2x |
次に、その平衡時の量を平衡定数を求める公式に代入して、方程式をつくります。平衡定数は36なんですから、
(4.0+2x)2(2.0−x)2=36
4.0+2x2.0−x=6
これを解くと、x=1.0です。求めるのは、「平衡時」のモル濃度ですから、
[H2] = [I2] = 2.0-1.0 = 1.0mol/l
[HI] = 4.0+2×1.0 = 6.0mol/l
答え.
(1)
36
(2)
反応の向き…右
H2…1.0mol/l
I2…1.0mol/l
HI…6.0mol/l