問題ページにもどる

この問題でおさえておきたいこと

〈of+抽象名詞〉は形容詞として訳し、同格のofは「すなわち~、~という」と訳す!
ofの前後でSVやVOの関係が成り立っていたら、「~が…すること」「~を…すること」と訳せる!

解答(例)

(1)医者が利用できる状態になる前に執り行われ、受けた手当ては、しばしば決定的に重要なものとなる。

(2)少し離れて他人と接するというこの社会的慣習のために、アメリカ合衆国の人々は、個人的な意思疎通をするうえで、目や耳といった、距離があっても役立つ感覚器官に大いに依存しなければならないのである。

(3)女性が完全に参加し女性に完全に権限を与えることが、平和な文化が発展するのに必要不可欠である。権力から女性を除外することにつながったのは、男性が戦役を独占したからである。

解説

(1)下線部の英文の構造を図示すると、このような形になります。

高校 英語 問題演習 名詞構文とofの訳出(1)の文の構造

The aid(手当て、援助)について、administeredとreceivedという2つの過去分詞が「~される」という意味で後ろから修飾している形になっています。その2つの過去分詞で言われていることがいつされるものかということがbefore a doctor is available(医者が利用できる状態になる前)というわけです。

その部分までがどういう手当てなのかをあらわす主語(S)というわけです。それ以降の部分で訳出しにくいのがof vital importanceでしょう。importanceは「重要性」という意味ですが、これは概念など形がなくて目に見えないものをあらわす名詞で抽象名詞とよばれるものに分類できます。

さて、of vital importanceのvitalを除くと、〈of+抽象名詞〉という形になりますが、〈of+抽象名詞〉は形容詞のはたらきをします。この文の場合、ofと「重要性」という意味のimportanceをいっしょにすることで「重要だ」「重要な」という意味になるわけです。つまり、importantという単語と同じ訳にしていいというわけですね。

間にはさまったvitalはimportanceを修飾してどれぐらい重要なのかということを示しています。〈of+抽象名詞〉の形を使う場合は、このようにofと抽象名詞の間にどれぐらいの程度かを示す単語をはさむことで、程度の大きさを示すことができます。

解答のチェックポイント

(2)下線部の英文の構造を図示すると、このような形になります。

高校 英語 問題演習 名詞構文とofの訳出(2)の文の構造

下線部の前にある英文については、人を少し遠ざけておくべきで身体の接触は避けるべきと北アメリカの文化の一部でされているということが要約です。それにつづくのが下線部の英文ですが、social convention of dealing ~の部分を「接することの社会的慣習」と訳しても、いまいち意味がわかりづらいですね?

「~の」と訳しては意味がわかりにくいときは、ofの前後の意味関係を考えてみましょう。この文の場合、下線部の前にある英文とあわせて考えると、convention(慣習)とは具体的にどういうことかを言いかえたもの(conventionの中身を説明したもの)と考えると意味が通ります。

このようなときに使われるofは「同格のof」とよばれ、前から「すなわち」、後ろから「~という」と訳すことができます。ちなみに、この近辺で出てきているbecause of ~は「~のために、~のせいで」、at a distanceは「少し離れて」という意味の熟語でどちらも覚えておきたい熟語です。

コンマ以降の部分について、reliance(依存)の後の部分が少しややこしいですが、rely on A for Bで「BのことでAに依存する」という表現があり、これの名詞形になったものだと考えれば訳しやすいでしょう。

そして、distance receptors(距離があっても役立つ感覚器官)を具体的に言いかえたものがeyes and ears(目や耳)ですから、間にあるコンマもさっきのofと同じ役割を持っています。これも「すなわち」「~という」と訳して問題ありません。

解答のチェックポイント

(3)下線部の英文の構造を図示すると、このような形になります。

高校 英語 問題演習 名詞構文とofの訳出(3)の文の構造

どこがSでどこがVかということとIt is ~ that …で「…なのは~だ」という意味の強調構文が使われていることがわかれば、さほど難しい文構造ではないと思います。問題は赤文字で示したとおり、ofが多くあり、これらをすべて「~の」と訳すと文意が少しぼやけたり不自然にかたい日本語になったりしてしまいます。

よく見ると、赤文字のofの前にある単語はほぼすべて「する」をつけるとそのまま動詞になります(empowermentだけ「こと」で終わる意味なので若干ちがいますが)。このように「する」「である」をつけるとそのまま動詞や形容詞になるという単語がofの前にあるときは、ofの前後で「~が…すること」(SVの関係)、「~に(を)…すること」(VOの関係)と訳せないか検討してみましょう

たとえば、この文の場合では、これらは「~が…すること」(SVの関係)と訳すことができます。

そして、これらは「~に(を)…すること」(VOの関係)と訳すことができます。

こう訳すことで「~の」を多用せずにすみますし、文意がより伝わりやすくなります。ちなみに、どういうときにSVの関係、どういうときにVOの関係になるかは、ofの後ろにあるのは、ofの前にある単語をする立場なのかされる立場なのかで考えるとヒントになります。

解答のチェックポイント

全文訳

(1)医者が利用できる状態になる前に執り行われたり受けたりした手当ては、しばしば決定的に重要なものとなる。応急処置はどの緊急事態においても「最初に」施さなければならない、健康にかかわる援助である。医者が事故現場にたどり着けないことはよくある。被害者が病院やほかの救急センターに運ばれるまで、熟練した医療手当を待たなければならなくなるかもしれないのである。

(2)人々は少し離れた距離を保つべきであり、そして最も親密な状況を除いてあらゆる状況でほかの人の体を触ることは避けるべきだというのは、北アメリカの文化の一部である。少し離れて他人と接するというこの社会的慣習のために、アメリカ合衆国の人々は、個人的な意思疎通をするうえで、目や耳といった、距離があっても役立つ感覚器官に大いに依存しなければならないのである。