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この問題でおさえておきたいこと

各文の主語やよく使われる単語から、その段落の話題やその話題に対する意見をつかもう!

解答
1.a   2.b   3.d   4.a

解説

内容の重要点を簡潔にまとめたものである主旨や要旨をつかむには、各段落のはじめの文、あるいは段落内の各文の主語を見て何の話題をしているのかをまず把握することが必要です。それをもとに、よく使われる単語やそれに関係する単語などをもとに、その話題に対してどういう意見・評価・論評をしているのかを考えるようにしましょう。

1.それぞれの選択肢の意味は、
a.白昼夢はかつて、人の有効性や毎日の問題に対処する能力のじゃまをすると考えられていた。
b.白昼夢は人間の生活に肯定的な影響をもたらすと長い間考えられてきた。
c.ほとんどの心理学者は今では白昼夢は学生や大人がうまくいくのを妨げる子供じみた週刊だとみなしている。
d.白昼夢は現実から逃避しようという試みにすぎず、現実生活における人の有効性を低減させがちである。

段落(1)の各文を見ると、主語が「心理学者」をあらわすものが多く、considerやregard、thinkなど「みなす」という意味あいをもつ単語が多く使われていますから、白昼夢について心理学者がどう考えているかを述べている段落だと見当がつきます。

心理学者がどう考えているかを見てみると、a waste of time(時間の無駄づかい)、an attempt to escape from reality(現実から逃避しようという試み)、a childish habit(子供じみた習慣)など否定的な印象の語句がかなりあります。

よって、白昼夢が否定的なとらえかたをされていることがよくあらわれているaが正解となります。dもそのことがあらわれていますが、現在形で書かれています。段落(1)の各文は過去形で書かれているので、そのようなとらえかたをされたのは「過去」のことなので、この点で不適となるわけです。

2.それぞれの選択肢の意味は、
a.過度な白昼夢は害になることがあるから、現実に対処するために、だれも空想の生活を楽しもうとはしない。
b.過度な白昼夢は害になることがあるが、実際には心の健康が損なわれるほど人々は白昼夢にふけることはほとんどない。
c.過度な白昼夢は現実世界における活動の報酬を得ることを難しくさせる。
d.過度に白昼夢にふけることで私たちは現実世界における活動の報酬を得られる。

段落(2)でSome(何人か)という主語の文と、Most people(ほとんどの人々)という主語の文があり、対比関係になっています。Someが主語の文とその次の文では白昼夢について否定的な内容となっている一方、Most peopleが主語の文では「白昼夢が不足している」と、それまでと一転した主張をしています。

なぜこのような転換があるかというと、その間にButからはじまる文があり、these situations are rare(これらの状況はまれだ)とあるからです。つまり、白昼夢について否定的な書き方をした内容のことはめったにないというわけです。このことについてふれている選択肢はbしかありません。

3.それぞれの選択肢の意味は、
a.夢に関する実験で、再び夢を見ることを許されると、被験者は情緒障害を表すことが示された。
b.夢に関する実験で、夜に見る夢が一定時間ごとにさえぎられると、被験者の情緒障害が消えることが示された。
c.夜に見る夢はかつて通常の睡眠のじゃまをすると考えられており、夢に関する実験で、情緒障害に至らせる傾向にあることも示された。
d.夜に見る夢はかつて通常の睡眠のじゃまをすると考えられたが、実験によって、睡眠における通常の一部分として心の健康に必要だとわかった。

段落(3)での各文の主語は、experimentやsubject、Dr.(~博士)のような、実験に関係する単語が多く、段落内でもexperimentやsubjectが多く見られますから、どのような実験がされ、どういうことがわかったのかが要旨の内容になりそうだと考えることができます。

どういうことがわかったのかは3番目の文に示されていて、夢は「睡眠における通常の一部分」で「心の健康に必要」とあります。

そして、そのことを示した実験の内容が4番目以降に書かれていて、夢を一定時間ごとにさえぎられると情緒障害をあらわすが、再び夢を見るとその情緒障害が消えるという内容になっています。以上のことを端的に書いている選択肢はdですね。

4.それぞれの選択肢の意味は、
a.白昼夢は現実に対する一時的な防御物の役割をし、リフレッシュする助けをしてくれることがある。
b.白昼夢は身体を風や雪から守る家にしばしばたとえられている。
c.近年では、みんなが生存競争でストレスのある人生をおくっている。
d.白昼夢と苛酷な現実との関係は、家と幸福との関係と同じである。

段落(5)の各文の主語を見てもあまり話題が何かつかめません。ただ、この段落ではshield、protect、escape、withdrawalのような、防御や逃避に関係する単語が多く使われています。

そこから、この段落が自分たちにとって防御や逃避の役割を果たしてくれているという白昼夢の役割を述べていると考えることができます。aの選択肢がまさに白昼夢の役割を述べているので、これが正解といえます。

ちなみに、bも白昼夢の防御や逃避の役割にふれてはいますが、「家にたとえられている」というのは単なる事実を伝えているだけで、内容の重要点をあらわしたものである主旨とはいえないので不適となります。


全文訳

 (1)白昼夢は時間の無駄づかいであるとかつてみなされていた。心理学者はそれを不適応の証拠、つまり現実から逃避しようという試みだとみなしていた。彼らは、習慣的な白昼夢は現実生活における人の有効性を低減し、問題に対処する能力を制限することがあると警告した。より寛大な心理学者でさえ、白昼夢を、学生に悪い成績をとらせ、大人に仕事で失敗をさせる子供じみた習慣だとみなしていた。

 (2)どんなものでも過度に押し進められた場合と同様に、白昼夢は害になることがある。空想の生活を現実世界における活動の報酬の代わりにする人もいる。そして人がもはや現実に対処できなくなると、その人の心の健康は損なわれる。でも、これらの状況はまれである。ほとんどの人々は白昼夢の不足に苦しんでいるのである。

 (3)白昼夢に対する私たちの態度は、睡眠中の夢に対する態度とかなり似ている。夜に見る夢はかつて通常の睡眠のじゃまをする、つまり私たちから必要な休息を奪うと考えられていた。しかし、実験により夢は睡眠における通常の一部分であり、毎晩夢を見ることは心の健康に必要だということが示された。ウィリアム・デメント博士は、ニューヨークのマウントシナイ病院にて夢を見ることの重要性について実験をしており、一定時間ごとに夢をさえぎられた被験者は、過度の緊張、不安、いらいらしやすさ、注意集中障害のような情緒障害を示すと報告している。しかし、被験者が再び夢を見ることを許されるとすぐに、すべての心理障害はなくなったのだ。

 (4)白昼夢が長きにわたって不足すると、不安や緊張が増すという結果に至ることにもなる。そして、白昼夢を奪われた多くの人々は、最終的にはその必要性がもはや抑えきれなくなるということに気づくこととなる。白昼夢が自然に起こってくるからである。

 (5)ストレスを抱えている間は、家を建てることで私たちの身体を風や雪から守るということとほとんど同じように、白昼夢は現実に対する一時的な防御物を立ててくれる。両方とも現実逃避の方法とみなされるかもしれないが、人生を終わりのない生存競争の中で過ごしたいという人はだれもいない。私たちは自分の力を再構成するために、ときおり意図をもって撤退する権利を持っているのだ。