この問題でおさえておきたいこと
おかしな構造があったら〈S+be動詞〉の省略を考えるか、前の部分と比較して省略されている語句を考える!
解答(例)
(1)イギリスでは、多くの新聞の日曜版があって、その多くが、同じ編集者や職員によって運営されているわけではないけれども同系の「日刊新聞」とつながりがある。
(2)彼らは、たった一つの価値、つまりxと呼ぶことのできるたった一つの永遠のものがあり、真実とは科学者によってそれに与えられた名前であり、美とは芸術家によってそれに与えられた名前であると言う。
(全文訳は最後に載せています)
解説
(1)この英文の構造を図示すると、このような形になります。
最初の部分で「多くの新聞の日曜版がある」ということが書かれていています。その部分の後にコンマがあり、そしてwhichというのがありますが、「どれ」「どちら」と訳すとつながらないのでこれは関係代名詞です。コンマと関係代名詞があれば、日本語訳は前からしていけばいいですね。
この関係代名詞のwhichが指しているのは、この部分より前にあるものしかありませんからSunday newspapers(新聞の日曜版)しか考えられません。daily(日常の)というのは「新聞の日曜版」との対比となる新聞なので「日刊新聞」のことです。よって、新聞の日曜版が日刊新聞とつながりがあることを述べています。
though(~だけれども)以降の文ですが、少し形がおかしいですね?この部分の後は〈S+V〉の形になっておらず、いきなりnot runと書かれています。しかも、新聞の話をしているのに「走る」というのも文脈に合いません。
not runの直後にbyがあるのがヒントになります。これがあるということは受動態のはずですから、runは過去分詞です。「走られる」というのはおかしいですが、runには「~を運営する、~を経営する」という意味があるので「運営される」とすれば意味は通じますね。
そして、受動態でしたら〈be動詞+過去分詞〉という形がふつうです。接続詞のあとでは〈S+be動詞〉が省略されていることがあります。今回もそれと同じだと考えて、さっきの図の赤字のように補ってみると、うまくつながりますね(theyは「新聞の日曜版の多く」を指しています)。
解答のチェックポイント
- まず「新聞の日曜版が多くある」ということを訳しているか
- 関係代名詞が使われているが、日本語訳は前から行っているか
- 関係代名詞whichが受けているのは「新聞の日曜版」なので、後半の部分の主語は「新聞の日曜版の多く」として訳しているか
- though not runの間は省略がされており、もともとは受動態であったことがわかるように訳されているか
- ここでのrunは「運営する」「経営する」という意味で使われていることをつかんでいるか
(2)下線部の英文の構造を図示すると、このような形になります。
このように、この文ではThey(ここでは哲学者たちを指しています)が言った内容は2つあります。
言っている内容①の中にコンマがありますが、これはコンマの直前の部分と直後の部分は同格であること、つまり言い換えをしていることを示しているサインです。前後にあるものを「つまり」「すなわち」でつなげればいいでしょう。
そして、言っている内容②では、はじめに「真実とは名前である」と述べていて、given(与えられた)からscientistまでの部分がどんな名前かを説明しているわけですが、問題は次の部分です。and以降の部分の構造が少し違和感がありますね。
the nameとかgiven to itとかがあり、言っている内容②前半部分となんか似ていますから、前半部分と後半部分を比較してみましょう。すると、後半部分ではisという動詞部分が抜けているのがわかります。そこで、さっきの図の赤字のように補うと、前半部分と同じ要領で訳していけばいいことがわかりますね。
〈S+be動詞〉が省略されているわけではなさそうなら、このように前の部分を見て比較していくことで省略されているものを補っていくことを考えましょう。
解答のチェックポイント
- 哲学者の言っている内容が2つあることがわかるように訳されているか
- one valueとone eternal thingが同格であることがわかるように訳されているか
- which we can call xの部分がone eternal thingを修飾しているように訳しているか
- given以降の部分がnameを修飾しているように訳しているか
- beautyとthe nameの間はisが省略されているだけなので、truthからscientistまでの部分とbeautyからartistまでの部分は同じ形で訳しているか
全文訳
(2)科学者の関心は真実であり、芸術家の関心は美である。今、哲学者のなかには、私たちに美と真実は同じものであると言う人がいる。彼らは、たった一つの価値、つまりxと呼ぶことのできるたった一つの永遠のものがあり、真実とは科学者によってそれに与えられた名前であり、美とは芸術家によってそれに与えられた名前であると言う。