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この問題でおさえておきたいこと

都市が発展していくことで、どういう地域がどんな機能を持つようになるかを確認しよう!

解答
問1 ⑥   問2 ②
問3 ②   問4 ⑥

解説

問1 Dは駅と市役所にはさまれ、細かい道路が非常に多いです。よって、開発の歴史が古い都心部だと考えられます。とくに地方都市にてあてはまりますが、郊外の人口が増えると都心部にあった百貨店や商店街などは衰退をむかえ、シャッター通りとなることがあります。これをあらわしている会話はスですね。

Eは都心部から離れていますが、幹線道路沿いにあり、道路も高密度になっています。田畑に囲まれた一帯が最近になって宅地開発された新興住宅街、つまり「ポイントのまとめ」にあったニュータウンだと考えることができます。シの会話がこのことをあらわしているでしょう。

Fは都心部から遠く離れていて道路も少ないので、郊外の農村部と判断できます。地方都市では乗用車がとても普及していることと広い土地を入手しやすいので、広い駐車場をもつロードサイド型のチェーン店が展開されていることがあります。まさにサの会話があらわしている光景だといえます。

問2 ①:都心部では通勤者によって昼間人口は多くなります。しかし、そこに住んでいる人は少ないので通勤者が帰宅した後の夜間人口は少ないです。よって、昼間人口と夜間人口の差は大きいので、この文は誤りです。

②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、住宅や商店、工場が混在している地区はインナーシティで、都心周辺にありましたね。この地域にかつて住んでいた人のうち高所得層は郊外に移住し、高齢者や低所得層は住み続けるので高齢化や老朽化が進んでしまうという問題があります。この文は正しいといえます。

③:「ポイントのまとめ」にあるとおり、「スプロール現象」とは都市開発によって虫食い状に住宅地や工場が広がることを意味します。なので、この選択肢の「鉄道に沿って」という部分が誤りということになります。

④:「ポイントのまとめ」にあるとおり、工場の用地としては広い土地が求められます。よって、臨海部など地価が比較的低い地域につくられます。「地区全体の地価が高い」という部分が誤りです。

問3 カは昼夜間人口比率が一番高いので、中心業務地区がある大都市圏の都心と考えることができ、A市に該当するとわかります。一方、クは昼夜間人口比率が100を下回っているので、昼は都心への通勤・通学をする人が多く住む郊外のニュータウンがある衛星都市と考えることができ、B市に該当するといえます。

キについては、残ったC市となります。農村部を含む郊外では、若年層が大都市圏に流出するため、老年人口の割合が高くなってしまいますが、このこととも合致します。

問4 サは都心からかなり離れた郊外の農村地帯で数値が高くなっているので、老年人口率と判断できます。都心部でも数値が高くなっていますが、「ポイントのまとめ」にもあるとおり、都心は定住人口が少ない地域です。その定住人口は一部の高齢な富裕層などに限定されます。

シは都心に近くなればなるほど数値が高くなっていることから、地価と判断できます。鉄道の路線に沿う形で数値が高い地域があることも、地価と判断できる根拠の一つになるでしょう。

よって、スは人口密度とわかります。おおまかに、市街地で数値が高く、周辺の農村地帯で低くなっていることから、人口密度と判断することもできます。都心部だけ数値が低くなっていますが、さっきの解説にもあったとおり、都心は定住人口が少ないことが理由です。

ポイントのまとめ

・都市の発展のモデル

地価、鉄道・道路などの交通網を背景に、都市では地域により機能が分化していく。都市の機能がどのように分化していくかということは、同心円モデル、扇形モデルなど、さまざまなモデルで説明されてきた。

・都市の地域ごとの機能

1)都心

官公庁や企業の本社などが集まる中心業務地区(CBD)であり、商業施設や娯楽施設などが立地する大商業地区でもある。
地価が高いので、高層ビルや地下施設が多いなど土地の高度利用がされている。
例:ニューヨークのマンハッタン,東京の銀座,大阪の梅田など

また、さまざまな所から通勤で入って来るので、昼間人口のほうが多く、夜間人口のほうが少ない(定住人口が少ない)

2)都心周辺部

都心に近い旧市街(インナーシティ)では人口密度が高い。昔に建てられた住宅や商店、工場などが混在している。
古い住宅などが多いため、都市インフラの老朽化が早く進み、スラムが発生しやすいという問題もある。

また、都心と郊外を結ぶ鉄道のターミナル周辺では、都心の機能の一部をになう副都心が形成される。
例:東京の池袋や渋谷,大阪の天王寺など

3)工場地区

広い土地と大量の水が必要であり、原料や製品の出荷・入荷に便利であることも必要
→海や河川沿いで地価が安い地域に工場が多くつくられる。主要交通路に近いことも大きな要素になる。

4)住宅地区

都心への通勤などへの利便性が求められる
→鉄道や主要な道路の沿線沿いに形成されることが多い。閑静で利便性が高いことも大きな要素になる。

5)郊外

都心や都心周辺部では地価が高いので、郊外で住宅をつくることが多くなる。その結果、人口増加率が高いという状態になり、都心の人口が減り、郊外の人口が増えるドーナツ化現象が発生する。

郊外で人口が増えると、ニュータウン(ベッドタウン)や中心都市の周辺で中心機能の一部を分担する衛星都市ができる。

一方で、民間会社による無秩序な開発によって、虫食い状に住宅地や工場が広がっていくというスプロール現象が問題になっている。

また、近年の人口減少をうけて、市街地など中心部に行政機能や商業施設、住宅などを集めて、生活しやすい規模の都市をつくろうというコンパクトシティの考えかたも生まれている。

・都市の拡大

メトロポリス
国や地方における、経済や文化の中心都市
例:東京,大阪,名古屋

メガロポリス
複数のメトロポリスがつらなった地域
例:日本の太平洋ベルト地域,アメリカ合衆国東北部

コナベーション
隣接している都市どうしが発展していくにつれて、やがて一つの大都市圏のような形になった地域
例:東京・川崎・横浜,大阪・京都・神戸

・日本の都市階層

中心地機能(どれほど中心業務地区としての機能を果たせるか、サービスを供給できるか)により、日本の都市を階層分類することができる。

国家的中心都市である三大都市が東京・大阪・名古屋である。それにつづくのが、それぞれの地方の中心的役割を果たす広域中心都市(地方中枢都市)である札幌・仙台・広島・福岡である。

さらに、高松(四国地方の中心的都市)・金沢(北陸地方の中心的都市)などの準広域中心都市がつづき、その下に各都道府県の県庁所在地がつづく。