この問題でおさえておきたいこと
自然環境や宗教の多様性を理解する!
インドの経済成長、南アジア各国のおもな輸出品目もおさえよう!
解答
問1 ② 問2 ① 問3 ⑥
問4 ② 問5 ③
解説
問1 インドはソフトウェア産業を中心としたICT産業を中心に経済発展をとげ、通信業などが成長をしています。中国は急速な工業化の進展により「世界の工場」と呼ばれるほどになっています。よって、鉱・工業の割合はインドより中国のほうが高いです。
よって、2000年から2017年に非常に増大したシが運輸・通信業であり、そのシが非常に増大したJがインドであると判断できます。サが農林水産業ということになりますが、中国よりもインドの農村人口はいまだにとても多く、農林水産業の割合は低下していてもかなり高いということとも合致します。
問2 「ポイントのまとめ」にあることと考えると、カラチはパキスタン・インド国境より西でBW、ムンバイはインド半島西岸でモンスーンの影響を受けるのでAm、チェンナイはAwとなります。
BWのカラチについて、降水量が少ないということでAのハイサーグラフとわかります。Amのムンバイについては、雨季に非常に多い降水量で乾季にはほとんど降水量がないという、雨季と乾季の違いがはっきりしているCのハイサーグラフとわかります。残ったBがAwのチェンナイのハイサーグラフですね。
問3 カの地図ではデカン高原付近、キの地図ではガンジス川河口などの地域、クの地図ではインダス川上流のパンジャブ地方を中心とした地域で生産がさかんであることが示されています。これより、「ポイントのまとめ」にあることから考えると、カが綿花、キが米、クが小麦の生産についての地図だとわかります。
問4 Fの上位品目の中に茶があることから、「ポイントのまとめ」にあるとおり、スリランカとわかります。そしてHの上位品目の中には米があるので、「ポイントのまとめ」にあるとおり、パキスタンが該当します。
そして残ったGに該当するのがバングラデシュです。これも「ポイントのまとめ」にあるとおり、バングラデシュは綿花を輸入して繊維品や衣類の生産業がさかんになっていることとも合致します。
問5 ①:ウルドゥー語と英語が使われていることとイスラム教徒が多いとありますから、「ポイントのまとめ」にあるとおり、これはパキスタンの説明です。
②:「シンハリ(シンハラ)」と「タミル」という語句や仏教徒が多いということから、「ポイントのまとめ」にあるとおり、スリランカの説明と判断できます。
③:ベンガリー(ベンガル)語が使われていることから、「ポイントのまとめ」にあるとおり、これがバングラデシュの説明と判断できます。もともとパキスタンから分離独立した国なので、この国もイスラム教が主に信仰されています。
④:これはネパールの説明をした文です。ネパールではインド=ヨーロッパ語族のネパール語が国語となっています。
ポイントのまとめ
・南アジアの地形
インド半島は安定陸塊である。
その半島に広がるデカン高原は溶岩台地で肥沃なレグール土が分布している。
ヒマラヤ山脈やチベット高原からインダス川やガンジス川が流れている。
ガンジス川の河口には大きなデルタ(三角州)が広がる。
・南アジアの気候
インド洋からの南西モンスーンを受けるインド半島西岸やベンガル湾から吹くアッサム丘陵はAmで、降水量が多く、雨季と乾季の区別がはっきりしている。
しかし、インド半島のほとんどはAwで北部にはCwも分布している。
また、インド西部やパキスタン・インド国境あたりより西側はBWやBSが分布している。
・南アジアの農業
ガンジス川流域のヒンドスタン平原では稲作がさかん。
また、河口部のデルタ(三角州)ではジュートが栽培されている。
一方、インダス川流域のパンジャブ地方では小麦の栽培がさかん。
肥沃なレグール土があるデカン高原では綿花が主に栽培され、ダージリン・アッサム丘陵・セイロン島では茶の生産が多い。
・南アジアの民族
アーリア系民族が西アジアから侵入してきたという歴史があるので、インドではインド=ヨーロッパ系の民族が北部に多く、ドラヴィダ系のタミル語を話す民族が南部に多い。
第二次世界大戦後、主に信仰されている宗教ごとに別々の国としてイギリスから独立した。(ヒンドゥー教が主に信仰されているインド、イスラム教が主に信仰されているパキスタン、など)
→住民の大半がイスラム教徒であるカシミール地方の領有をめぐってインドとパキスタンが対立している。
・南アジアの主な国々
1)インド
ヒンディー語や英語など憲法で22ほどの言語が公用語として認定されている。
インド半島西岸にある人口最大のムンバイ,ガンジス川のデルタ(三角州)にあるコルカタ,インド北部にある首都のデリーが3大都市。
国民の8割ほどがヒンドゥー教を信仰し、1割ほどがイスラム教を信仰している。
ヒンドゥー教の身分制度であるカースト制度による差別は憲法で禁止されているが、伝統的社会では今でもその差別が根強く残っている。
ムンバイやチェンナイでは綿工業,コルカタではジュート工業がさかんである。
また、政府によるダモダル川総合開発により、ダモダル炭田の石炭、シングブームの鉄鉱石を利用した鉄鋼業もさかんになっている。
1990年代からの改革開放政策により経済が飛躍的に発展し、公用語に英語がある・理数教育が充実しているなどの背景もあってソフトウェア工業の発達がめざましい。
アメリカの時差という条件もあり、バンガロールは「インドのシリコンバレー」とも呼ばれるほどである。
2)パキスタン
主にイスラム教が信仰されている。公用語はインド=ヨーロッパ語族のウルドゥー語と英語である。
人口最大の都市はカラチであるが、首都は計画都市であるイスラマバード。
小麦の栽培がさかんだが、西アジア向けの高級米を栽培しているため、輸出品目上位に米が入っている。
3)バングラデシュ
第二次世界大戦後にパキスタンがイギリスから独立し、パキスタンから後に分離独立してできた国である。公用語はインド=ヨーロッパ語族のベンガル語である。
国土のほとんどがガンジス川のデルタ(三角州)で平地なので、サイクロンによる高潮の被害を受けやすい。
ジュート工業がさかんであるが、最近は綿花を輸入して繊維品や衣料を豊富な安い労働力を活用した製造業がさかんになっている。
4)スリランカ
主に仏教が信仰されている。
多数派の仏教徒であるシンハリ(シンハラ)人と少数派のヒンドゥー教徒であるタミル人の間で対立が続いている。
茶の生産や輸出が多い。