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この問題でおさえておきたいこと

北半球と南半球それぞれの海流の向きを理解する!
地域の気候や気象、地形に影響を及ぼす海流は名前もおさえておく!

解答
問1
A…②   
B…②
問2
A…ペルー海流(フンボルト海流でもOK)   
B…ベンゲラ海流
問3
アンチョビー(かたくちいわし)
問4
エルニーニョ現象
問5
景観の名称は海岸砂漠
説明(例)…
海水温がまわりと比べて低いため水蒸気量が少なく冷たい寒流上の空気が、陸地に達したときに陸上の暖かい空気の下にもぐりこむ。すると上昇気流は発生しにくいため雨雲が発生しにくくなり、砂漠が形成されてゆく。(99字)

解説

問1 海流の流れは「ポイントのまとめ」のとおり、北半球では時計回り、南半球では反時計回りに海洋をまわります。よって、南半球では、大陸の西側は高緯度から低緯度へと流れ、東側はその逆で低緯度から高緯度へと流れます。

問2 ペルー海流(フンボルト海流)もベンゲラ海流も、水深が深いところの海水が海面へ湧き上がる流れとなっています。このような海水の流れを湧昇流といいます。

問3 問2の解説のとおり、ペルー海流(フンボルト海流)は湧昇流で、水深が深いところから海水が流れています。そのため、深いところの栄養塩類がもたらされ、プランクトンが豊富になるので、魚が増えて好漁場となっています。アンチョビー(かたくちいわし)はフィッシュミール(魚粉)の原料となります。

問4 「ポイントのまとめ」にあるとおり、この現象はエルニーニョ現象です。スペイン語で「神の男の子」という意味をもちます。クリスマス頃から春にかけて、海面水温が高くなることで沿岸地域に恵みの雨をもたらしてくれることから、この名前がつきました。

問5 「ポイントのまとめ」にあるとおり、沿岸には海岸砂漠が形成されます。海流がどうかかわって海岸砂漠ができるのかというと、次のような流れがあります。

海流(寒流)上の空気は水蒸気量が少なくて冷たい→陸地に運ばれても暖気の下に入り込み安定してしまう→空気の状態が安定してしまい上昇気流ができない→雨がなかなか降らない

この流れをまとめて説明するとよいでしょう。とくに寒流上の空気の性質と、上昇気流ができないこと、雨がそれによって降らないことは確実に盛り込むべきポイントといえます。

解答のチェックポイント

ポイントのまとめ

・海流とは何か

一定の方向に流れている海水の流れを海流という。海流には次の2種類がある。

・海流が流れる向き

北半球では赤道付近で貿易風が東から吹くので、それに流されて海流は赤道付近では東から西に流れる。

大陸にぶつかると北上する。ある程度北上すると、西から吹く偏西風の影響を受けて東に流される。

大陸にぶつかると南下し、赤道付近に戻っていく。

つまり、北半球では海流は時計回りに流れている。

南半球では赤道付近で貿易風が東から吹くので、それに流されて海流は赤道付近では東から西に流れる。

大陸にぶつかると南下する。ある程度南下すると、西から吹く偏西風の影響を受けて東に流される。

大陸にぶつかると北上し、赤道付近に戻っていく。

つまり、北半球では海流は反時計回りに流れている。

・おもな海流

・エルニーニョ現象とラニーニャ現象

なんらかの原因で貿易風が弱まり、温かい海水が西に運ばれなくなると、南アメリカ大陸のペルー沖の海水温が例年よりも異常に高くなる。この現象をエルニーニョ現象という。
反対に、なんらかの原因で貿易風が強まり、温かい海水が西に運ばれやすくなって、ペルー沖の海水温が例年よりも異常に低くなる現象をラニーニャ現象という。

エルニーニョ現象もラニーニャ現象も、ペルー沖におけるアンチョビー(かたくちいわし)の漁獲量に影響をおよぼし、世界的には異常気象の要因となる。

・海流の要因

貿易風や偏西風などのような風が吹く力によって生じる海流を表層流(吹走流)といい、表層流による海流の循環を風成循環という。

ほかに、高緯度地域では低温や海氷により海水の密度が大きくなり、濃度も高い海水が海の深くまで沈み、それによって押された海水は水温が高くて密度も小さい低緯度地域で上昇流となっていく流れがある。この海深くの流れを深層流といい、深層流による循環を熱塩循環という。