この問題でおさえておきたいこと
それぞれの風の成因、特徴、気候や人びとの生活への影響を理解しよう!
解答
問1
〔ア〕…気候要素
〔イ〕…気候因子
〔ウ〕…偏西風
〔エ〕…貿易風
〔オ〕…季節風(モンスーン)
〔カ〕…地方風(局地風)
〔キ〕…台風
問2
(a)…3 (b)…1 (c)…3
(d)…2 (e)…1 (f)…4
解説
問1 「ポイントのまとめ」を参考にすると、ほとんどの空所をうめることができるでしょう。ここでは、「ポイントのまとめ」にも取り上げられていない気候要素と気候因子について説明をします。
過去の問題の解説でもふれていますが、気候要素とは気候を構成する大気現象のことで、気温、降水量、風、湿度、日照量、蒸発量などが具体例となります。その気候要素に影響を与えるもの(緯度、高度、地形など)が気候因子とよばれます。
問2 この問題も「ポイントのまとめ」を参考にすると解くことができるものがほとんどです。局地風(地方風)や熱帯低気圧は地域によって名称などで異なる特色があります。
この問題で取り上げられているチヌークは、ロッキー山脈を西から東にこえて吹く風です。山脈をこえて吹くので、この風もフェーン現象により乾燥した熱い風となっています。また、オーストラリアでは熱帯低気圧をウィリーウィリーと呼んでいます。
ポイントのまとめ
・風が吹くしくみ
風は気圧が高いほうから低いほうへと吹く。
(坂道で高さが高いところから低いところへ物が転がるのと同じ)
また、地球規模でみると、高気圧や低気圧が帯状に分布している部分がある。これを気圧帯という。気圧帯の間でも気圧が高いほうから低いほうへと風が吹いている。
・気圧帯
1.赤道低圧帯
地球の赤道付近は、地球上で最も太陽によって暖められているので気温が高く、地面も暖められる。
→上昇気流が発生しやすく、空気が地面を押す圧力と逆向きの気流ができる。これにより、赤道付近はまわりと比べて気圧が低い(=低気圧)地域となる。
2.亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)
南北回帰線~緯度30度付近では、赤道低圧帯での上昇した空気が下降してくる。
→下降気流が発生しやすく、空気が地面を押す圧力をさらに強める。これにより、まわりと比べて気圧が高い(=高気圧)地域となる。
3.極高圧帯
北極・南極付近は、最も太陽によって暖められにくいので地面が暖められにくい。
→上昇気流が発生しにくく、下降気流が発達しやすい。これにより、まわりと比べて気圧が高い(=高気圧)地域となる。
4.亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯)
北緯50~60度・南緯50~60度付近は、下降気流が発達しやすい地域にはさまれている。
→上昇気流が発生しやすく、これにより、まわりと比べて気圧が低い(=低気圧)地域となる。
・恒常風
風は気圧が高いほうから低いほうへ吹くので、高圧帯から低圧帯へとつねに同じ向きに吹いている。このような風を恒常風という。
1.貿易風
亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)から赤道低圧帯に向かって吹く風
地球が西から東に自転しているため、西向きの力がはたらくため、北半球では北東から、南半球では南東から吹いてくる。
2.偏西風
亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)から亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯)に向かって吹く風
北半球では南西から、南半球では北西から吹いてくる。
偏西風と暖流の影響で西ヨーロッパは高緯度にもかかわらず温暖な気候となる
3.極東風(極偏東風)
極高圧帯から亜寒帯低圧帯(高緯度低圧帯)に向かって吹く冷たい風
北半球では北東から、南半球では南東から吹いてくる。
・季節風(モンスーン)
季節によって吹く方向が変わる風を季節風(モンスーン)という。
夏は陸地は温まりやすく海は温まりにくいので、陸地のほうで上昇気流が発生しやすい
→夏は陸地のほうが気圧が低くなるので、夏は海から陸地へ季節風が吹く。
冬は陸地は冷めやすく海は冷めにくいので、海のほうで上昇気流が発生しやすい
→冬は海のほうが気圧が低くなるので、冬は陸地から海へ季節風が吹く。
この季節風により、夏は海からの水蒸気が陸地にもたらされ、南アジアや東南アジアに雨季をもたらし、稲作に利用される。
冬は大陸の乾燥した空気が南アジアや東南アジアに流れ込むので乾季となる。
・局地風(地方風)
世界の中でも特定の地方に吹いている風を局地風(地方風)という。
1.シロッコ
サハラ砂漠からイタリア南部に向かって吹く熱風
地中海で水分を蓄えるため、湿った風として吹く。
2.フェーン
アルプス山脈をこえてふく南風
山脈をこえているときに乾燥し、高温の風となってドイツやスイスなど風下の地域に吹く(フェーン現象)。
3.ボラ
アドリア海に吹き下ろす乾燥した冷風
4.ミストラル
フランスのローヌ川沿いに、地中海に向かって吹く冷風
5.やませ
東北地方の太平洋側に吹き込んでくる冷風
冷害の原因となる。
・熱帯低気圧
発生する場所で呼び名が異なる。
北西太平洋(日本周辺など)で発生…台風
インド洋やアラビア海、南半球で発生…サイクロン
大西洋やカリブ海、北東太平洋で発生…ハリケーン