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この問題でおさえておきたいこと

それぞれの環境問題の原因・影響・対策を整理しよう!
主な国際会議や条約としてどのようなものがあるかもおさえよう!

解答
問1
(あ)…C   (い)…B   (う)…A
(え)…E   (お)…D
問2
A
問3
C
問4
   イ   …かけがえのない地球
   オ   …持続可能な開発
問5
熊本県,新潟県
問6
循環型社会

解説

問1 推測できそうなところからうめていきましょう。まず、(い)について、化石燃料の使用による炭酸ガス(つまり二酸化炭素など)が原因で起こっていることから「地球温暖化」と推測でき、(う)については硫黄酸化物や窒素酸化物が原因で起こっていることから「酸性雨」と推測できます。

また、(お)については焼畑移動や耕作が原因という形になっており、これらの行為では木々が燃やされたり伐採されたりしますから、「熱帯林の減少」をあらわしていると考えられます。

「ポイントのまとめ」にあるとおり、熱帯林が減少すると、野生生物種が減少・消失しますから、(お)から発生する問題である(え)にあたるのは「野生生物種の減少」と判断できます。

よって、残った(あ)が「海洋汚染」と判断できます。このように、地球環境問題の因果関係は相互に関連しあっている形になっているのです。

問2 「ポイントのまとめ」にあるとおり、砂漠化が進行しているのは主にサヘル、中国内陸部、アメリカのグレートプレーンズ、オーストラリア中部であり、アマゾン盆地についてはほとんど砂漠化は起きていません。よって、Aが誤りといえます。

問3 「ポイントのまとめ」より、   ア   はストックホルム、   エ   はリオデジャネイロ、   カ   はヨハネスブルグなので、これだけでも正解の選択肢はCと判断できます。ちなみに、   ウ   で問われている国連環境計画(UNEP)の本部がある都市はケニアのナイロビです。

問4 「ポイントのまとめ」を参照してください。

問5 熊本県水俣湾で発生した水俣病と新潟県阿賀野川流域で発生した新潟水俣病(第二水俣病)のことを指しています。水俣病と同じ症状が出るということで「新潟水俣病(第二水俣病)」と呼ばれるようになったわけなので、熊本県での発生が先です。

水俣病も新潟水俣病(第二水俣病)も四大公害病とされています。四大公害病はほかに、富山県神通川流域で発生したイタイイタイ病、三重県四日市市で発生した四日市ぜんそくがあります。

問6 1963年にバックミンスター・フラーは地球を「宇宙船地球号」にたとえ、資源の有限性などを根拠に、包括的・総合的視点から地球を理解することが重要だと論じました。また、1972年の「成長の限界」という報告書で、人口増加と環境破壊が進めば人類の成長は限界に達すると報告されました。

これらの認識をもとに「地球環境保全」「持続可能な開発」などが考えられるようになり、その方法のひとつが循環型社会の確立というわけです。省エネルギーや、脱化石燃料への転換もその方法といえるでしょう。

ポイントのまとめ

・さまざまな地球環境問題

地球温暖化

     

原因

二酸化炭素(石炭・石油など化石燃料を燃焼させると発生)やメタンなどの温室効果ガスが地表面からの熱を吸収し、一部を地表に放射するので、地表面の温度が上昇

影響

インド洋のモルディブ、ガンジス川の三角州に位置するバングラデシュオランダの干拓地(ポルダー)で海面上昇による浸水被害

気候変動による砂漠化

生態系の破壊

蚊の生息域拡大による伝染病拡大

対策

1992年、リオデジャネイロで国連環境開発会議(地球サミット)を開催、気候変動枠組条約を締結

1997年、京都議定書を採択し、先進国全体で温室効果ガス排出削減の目標を設定(2001年にアメリカが離脱)

2015年、パリ協定を採択し、すべての国に温室効果ガス排出削減の目標を設定(2019年にアメリカが離脱)

砂漠化

     

原因

干ばつなどの気候変動

人口増加にともなう過耕作(食料生産を増やすために土地を休ませることなく同じ作物を栽培しつづけ、結果土地の生産力が低下)

過放牧(家畜を増やしすぎてしまい、その家畜が草をどんどん食べてしまう)

燃料用の薪炭材の過伐採

不適切な灌漑による土壌の塩性化

影響

サハラ砂漠南縁のサヘルで食料不足が深刻化し難民も発生、ほかに中国内陸部、アメリカのグレートプレーンズ、オーストラリア中部でも砂漠化が進行

対策

1994年、砂漠化対処条約が採択

熱帯林の破壊

     

原因

人口増加にともなう焼畑農業の拡大

人口増加にともなう薪炭材の過伐採

先進国に向けた貿易のための伐採(例:エビの養殖を目的にマングローブ林を伐採、プランテーション農園の開発、輸出用木材のための伐採、など)

影響

降雨による土壌流出

保水力低下による洪水の増加

野生生物種、とくに未知の「遺伝子資源」の消失

光合成量が減少し、二酸化炭素の濃度が上昇→地球温暖化の促進

対策

1986年、生産国と消費国で持続可能な開発の取り組みを目的に、国際熱帯木材機関(ITTO)設立

1992年、「森林原則声明」採択

※熱帯林の破壊はとくに、ブラジルのアマゾン川流域や東南アジア地域で深刻です。

酸性雨

     

原因

化石燃料の燃焼で発生する硫黄酸化物窒素酸化物が大気中の水蒸気と反応して亜硫酸や硝酸となり、それが雨などに混じって降る

影響

ヨーロッパでの森林の枯死(シュヴァルツバルトの人工林の枯死など)、湖の酸性化による魚の死滅、歴史的建造物の腐食などが発生

対策

1979年、長距離越境大気汚染条約(ジュネーブ条約)締結

オゾン層の破壊

     

原因

合成ガスのフロンが成層圏にあるオゾン層を破壊

影響

有害な紫外線の増加により、皮膚がんや白内障などの健康被害が増える危険性

北極や南極上空では、オゾンの少ないオゾンホールが拡大

対策

1985年、ウィーン条約を採択し、オゾン層保護の国際的取り組みを採択

1987年、モントリオール議定書を採択し、破壊物質の生産を禁止

海洋汚染

     

原因

陸上からの汚染物質、生活排水の流入

海底地下資源の開発

影響

海洋生物への影響

対策

1975年、ロンドン条約を採択

・地球環境問題に関するその他の主な国際会議や条約

1971年 ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)採択

1972年 国連人間環境会議
開催地:ストックホルム
スローガン:かけがえのない地球(Only One Earth)

この会議の成果:
人間環境宣言(ストックホルム宣言)の採択
②環境国際行動計画の採択→実行するため、国連環境計画(UNEP)を設立

1973年 ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)採択

1989年 バーゼル条約(有害廃棄物の越境移動及びその処分の規制に関する条約)採択

1992年 国連環境開発会議(地球サミット)
開催地:リオデジャネイロ
基本理念:持続可能な開発

この会議の成果:
リオ宣言の採択
②リオ宣言の行動計画であるアジェンダ21の合意
気候変動枠組条約生物多様性条約の提起→京都議定書につながる

2002年 環境開発サミット
開催地:ヨハネスブルグ

この会議の成果:ヨハネスブルグ宣言の採択