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この問題でおさえておきたいこと

先進国と発展途上国それぞれでどのように工業を発達させたかを理解する!
工業立地はどこに工場を置けば輸送費と人件費が低くなるかを考える!

解答
問1 ③   問2 ④   問3 ⑥

解説

問1 注釈から考えると、日本企業にある直接投資とは、安価な労働力を求めての進出です。発展途上国は「ポイントのまとめ」にあるとおり、それを利用して、日本などの外国企業から投資などを受けて経済成長をしました。その経済成長をなしとげた時代順を参考に考えてみましょう。

はじめは、1980年代後半にはすでに比較的経済が発達していた(=工業立地を受け入れる基盤があった)アジアNIEsへの進出が中心と考えられます。そして、その次に経済発展をしているASEAN諸国への進出、そしてその次は中国を含むBRICSを中心に進出したと考えるのが自然でしょう。

よって、1980年代後半に投資額がすでに多かったチがアジアNIEs、1990年代にグラフが伸びてきているタがASEAN4、2000年代になるとグラフの伸びが最高になっているツが中国といえます。

問2 ①:アパレル製品やデザインは消費者の情報を早く入手しなければなりませんから、大きな消費地である大都市に事業所が立地されます。よって、この文は正しいです。

②:アルミニウム工業は臨海指向型の立地がされますが、ほかにも安価に電力が得られる地域に立地される傾向があります(アルミニウムはアルミナを電気分解して得られるので)。よって、この文も正しいです。

③:安価で大量に生産するには、多くの労働力が必要です。そうなると、工業立地としては労働力指向型となっていきますから、人件費をおさえるために先進国以外に工場がつくられていきます。なので、この文は正しいです。

④:「ポイントのまとめ」にあるとおり、ビール工業は工業立地が市場指向型となる典型の産業なので、消費地に立地される傾向にあります。よって、この文が誤りです。

問3 「ポイントのまとめ」にあるとおり、パルプ産業は原料指向型なので、原料である森林資源が豊富な地域である北アメリカ諸国やヨーロッパ諸国の割合が高いと考えられます。それがよく示されているのはイの地図といえます。

また、綿織物生産を含む繊維工業は「ポイントのまとめ」にあるとおり、労働力指向型なので、人件費が低くすむ中国やインドの割合が高くなると考えられますので、アが綿織物生産量を示しているといえます。

残ったウが工作機械生産額を示していることになります。工作機械は一般機械に比べて高い技術力が必要となるので、科学技術が発達している日本やドイツなどの割合が高くなります。

ポイントのまとめ

1.工業の発達の過程

1)先進国

蒸気機関の発明による産業革命イギリスで始まる
工場制手工業(マニュファクチュア)から工場制機械工業へと発達)

イギリスでの発達のあと、ドイツ、アメリカ、日本などに伝わる

2)発展途上国

当初は、鉱産資源などを先進国に輸出して、工業製品を輸入

工業製品を輸入に依存せずに自国で生産する輸入代替型工業を進める
→国際競争力がない製品しかできない(マーケットが小さい自国でしか売れない、高品質の先進国製のほうが売れる、など)

技術力の高い外国企業の工場を誘致して、国際競争力がある製品を生産する輸出志向型工業へと転換

多くの国で経済発展

2.工業立地

それぞれの産業で、どこにおけば輸送費や人件費が少なくすむかが異なる
→工場がおかれる場所も、その背景に応じて異なる

※日本では、九州地方の空港近くや、東北地方の高速道路沿いに半導体・IC(集積回路)工業の工場が多く立地しています。このため、九州はシリコンアイランドともよばれているわけです。