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この問題でおさえておきたいこと

村落の特徴・成立過程・例をセットでおさえよう!
日本の村落ではどういった地名がどの村落にあたるのかもおさえよう!

解答
問1 ④   問2 ④   問3 ③

解説

問1 カの地図には「中央分離帯」という現代的な特徴のある道路があったり、「大規模な工場」とあるとおり、工業用地の開発がかなり進んだことが見られたりしますので、時期としてはかなり新しいときに形成されたと考えられます。

キの地図には碁盤目状の土地区画が見られたり、「九条町」という「条」をふくんだ地名がみられたりするので古代に形成されたと考えられます。そして、クには城下町の街並みを背景にした特徴がありますから、中世~近世あたりに形成されたと考えられます。

以上より、時代順に並べ替えると、キ→ク→カとなります。

問2 ①:「ポイントのまとめ」にあるとおり、砺波平野や出雲平野には散村が見られますから、正しいです。

②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、タウンシップ制でつくられたアメリカの農村も散村といえますので、正しいです。

③:「ポイントのまとめ」にあるとおり、丘上集落は防備を目的に形成された集落です。防備を目的にしていますから、家屋は密集するので集村といえますから、正しいです。ちなみに、丘上集落は中世までの地中海沿岸にみられた形態です。

④:教会を中心に、家屋などが同心円状に並んでいる村落は円村です。林地村は谷筋の道路沿いに家屋が並んだ路村なので、同心円状に家屋などは並んでいません。よって、この部分が誤りです。

問3 Aは格子状の地割りをした散村、Bは短冊状の地割りをした路村をあらわしています。

①:「ポイントのまとめ」にあるとおり、タウンシップ制は碁盤目状に土地を分割して入植させた制度ですから、正しい説明といえます。

②:「ポイントのまとめ」にあるとおり、屯田兵村は後期には散村の形をとっていました。これはタウンシップ制をまねてつくられたからです。この文も正しいといえます。

③:林地村は森林の開拓を目的に家屋を集めてつくられた集落です。ということは、自然発生的につくられた集落とはいえませんから、この文は誤りといえます。

④:「ポイントのまとめ」にあるとおり、新田集落は路村の形態をとっており、家屋の背後に短冊状の耕地があります。よって、この文は正しいです。

ポイントのまとめ

1.村落はどういうところにできるのか(立地条件)

2.日本の村落の発達

1)古代

 

村落

成立過程

多い地名

条里集落

班田収授法を実施するために土地区画を実施
→碁盤目状に区画

条、里、坪、反など
(奈良盆地や丹波地方(柏原付近)、湖東平野、讃岐平野などにみられる)

2)中世

 

村落

成立過程

多い地名

荘園集落

班田収授の崩壊で貴族や寺社などの私有地(荘園)内に成立

別所、京田、給田、領家など

名田百姓村

名主が地主となってその人を中心に開墾して成立

五郎丸、太郎丸、貞利、福富など

寺百姓村

寺社が地主となって開墾して成立

神戸(かんべ)

豪族屋敷村

地方豪族の屋敷を中心に農民などが集まって成立
→防衛のため土塁や堀をめぐらせたところが多い

堀の内、館、土居など

隠田百姓村

隔絶した山間部に、落ち武者や租税逃れした農民などが隠れ住んで形成

熊本県の五家荘、徳島県の祖谷、岐阜県の白川郷、富山県の五箇山、新潟県の三面など

3)近世

 

村落

成立過程

多い地名

新田集落

政治が安定し、人口も増加
→耕地拡大の必要性により、洪積台地や低湿地などで新田開発がすすむ

新田、開、新居など

4)近代以降

北海道の開拓と防衛を目的に屯田兵村が成立
「兵」のつく地名に多い

3.村落の形態

1)集村

住居が密集している村落を集村という

 

村落

特徴や成立過程

塊村

湧水などを中心に家屋が不規則にかたまった村落
→農地は分散

条里集落、環濠集落など

路村

道路があり、その道路に沿って家屋が並んだ村落

新田集落(短冊型の地割りをもつ)
初期の屯田兵村
ヨーロッパの林地村(森林の開拓を目的に家屋を集めてつくられた集落)

円村(環村)

広場や教会を囲んで家屋が円状に並んだ村落
→農地は家屋の背後に放射状に広がる

ドイツ・ポーランド(エルベ川以東)の開拓村

列村(連村)

家屋が不規則に列状に並んでいる村落(中心道路は不明確で、あとからつくられることが多い)

自然堤防上の村落、山麓の湧水線

2)散村

住居が分散している村落を散村という
開発が新しい地域で、水が豊富(=どこでも水が手に入る)で治安がよく、計画的な土地制度でつくられたという要因をもつ村落にみられる

例:日本の砺波平野出雲平野、黒部川扇状地、後期の屯田兵村
タウンシップ制でつくられたアメリカの農村など

※タウンシップ制とは、6マイル四方の土地を36分割し、その1つ1つをさらに4分割したところに農家1世帯を入植できるようにした制度です。