この問題のポイント
弦を伝わる横波の速さは、張力を線密度で割ったものの平方根で求まる!
(1)
(a)
波長とは波1個分の長さのことです。この長さを$λ$とおくと、腹が1個のときは半分だけの長さの波にしかならないので、その長さは\( \displaystyle \frac{1}{2}λ \)とおけます。ということは、腹が2個ならば\( \displaystyle \frac{2}{2}λ \),腹が3個ならば\( \displaystyle \frac{3}{2}λ \),…とおけることになります。
よって、腹が$n$個ならば、その長さは\( \displaystyle \frac{n}{2}λ \)となります。これが長さ$l$の弦にできているわけですから、
\( \displaystyle l = \frac{n}{2}λ \)
この式を変形すると、
\( nλ = 2l \)
\( \displaystyle λ = \frac{2l}{n} \)
(b)
振動数が最も小さい、すなわち波長が最も長い波を基本振動といいます。
(c)
弦を伝わる横波の速さは公式があります。
弦を伝わる横波の速さ
弦の張力を$T$[N],線密度(1mあたりの質量)を$ρ$[kg/m]とおくと、その弦を伝わる横波の速さ$v$[m/s]は次のように求まる。
\( \displaystyle v = \sqrt{\frac{T}{ρ}} \)
この公式を利用して答えればOKです。
(2)
線密度を求めるので、さっきの赤枠で囲まれた公式が使えそうですね?よって、波の速さと針金Aの張力を求めてみることを考えてみましょう。
針金Aには質量$m$のおもりが付いているので、おもりにかかる重力とつり合っていることになります。
よって、$T = mg$です。
また、波の速さを求める公式には$v = fλ$という公式もありました。さっきの(1)の問題で\( \displaystyle l = \frac{n}{2}λ \)と求めましたが、針金Aには3個の腹のある定常波ができたので、
\( \displaystyle l = \frac{3}{2}λ \)
\( \displaystyle λ = \frac{2}{3}l \)
振動数は$f$と問題文にあるので、波の速さは\( \displaystyle v = f・\frac{2}{3}l \)です。
これらを赤枠で囲まれた公式に代入すると、
\( \displaystyle f・\frac{2}{3}l = \sqrt{\frac{mg}{ρ}} \)
\( \displaystyle \frac{2fl}{3} = \sqrt{\frac{mg}{ρ}} \)
この式を変形すると、
\( \displaystyle \frac{4f^2l^2}{9} = \frac{mg}{ρ} \)…①
\( \displaystyle \frac{ρ}{mg} = \frac{9}{4f^2l^2} \)
\( \displaystyle ρ = \frac{9mg}{4f^2l^2} \)
(3)
新しいおもりの質量を$M$として、さっきの(2)と同じように考えると、針金Aの張力は$Mg$です。
そして、針金Aには1個の腹のある定常波ができたので、\( \displaystyle l = \frac{1}{2}λ \)となるので、\( λ = 2l \)
振動数は$f$のままなので、波の速さは\( v = f・2l \)
よって、\( \displaystyle f・2l = \sqrt{\frac{Mg}{ρ}} \)
\( \displaystyle 4f^2l^2 = \frac{Mg}{ρ} \)…②
②÷①を計算すると、\( \displaystyle \frac{M}{m} = 9 \)
\( M = 9m \)
よって、求めるおもりの質量は$9m$です。
答え.
(1)
(a) …\( \displaystyle \frac{2l}{n} \)
(b) …基本振動
(c) …\( \displaystyle \sqrt{\frac{T}{ρ}} \)
(2)
\( \displaystyle \frac{9mg}{4f^2l^2} \)
(3)
$9m$