この問題のポイント
静電誘導で+のものが近づくと自由電子は引き寄せられ、マイナスに帯電
-のものが近づくと自由電子は離れ、プラスに帯電
箔検電器は静電誘導という現象を目で確認できる装置の1つです。静電誘導がどういう現象なのかを見ていきましょう。
金属のように電気を通す物質を導体といいますが、導体に電気を帯びた物体(帯電体)を近づけます。すると、導体内の自由に動ける電子(自由電子)が移動して導体の表面の電荷にかたよりができてしまいます。これが静電誘導です。
たとえば導体にプラスの帯電体を近づけたとします。自由電子はマイナスの電気を帯びていますが、プラスとマイナスの電気の間には引き合う力がはたらくので、自由電子は帯電体がある側にかたよってしまいます。すると、帯電体に近い側がマイナスに、反対側がプラスに帯電するようになります。
反対に、導体にマイナスの帯電体を近づけると、プラスとプラス、マイナスとマイナスの電気の間では反発しあう力がはたらくので、自由電子は帯電体のない側にかたより、帯電体に近い側がプラスに、反対側がマイナスに帯電します。このような電気間の引き合う力、反発しあう力をもとに考えるのがポイントです。
問1 自由電子はマイナスの電気を帯びていますから、正、つまりプラスの電気を近づけるとプラスとマイナスの電気の間のことになりますから、 ア に入るのはbです。
自由電子は引き寄せられ、金属板に集中するようになるので、下側にある箔のほうでは自由電子が少なくなり、プラスに帯電します。プラスの電荷が残っている状態になるわけなので、プラスの電気どうしの間の力がはたらくと考えればいいことになるので、 ウ に入るのはaといえます。
よって、残ったcが イ に入ります。どこかから電気を充電されたりしたなどがあったわけではなく、あくまで自由電子が移動しただけであって、箔検電器全体で見たら電気量は一定しています。このような、全体の電気量は一定であることを電気量保存の法則といいます。
問2 電荷$Q$がプラスなのかマイナスなのかがわかりませんから、プラスの場合だったらどうなのか、マイナスの場合だったらどうなのかと場合分けして考えます。
[1]電荷$Q$がプラスの場合
金属板も箔もプラスの電気のほうが多いことになります。そこにマイナスの電気を帯びたものが近づくと、金属板にあった少ない自由電子はマイナスどうしの電気になるわけなので、ますます金属板から離れて箔のほうに移動します。
すると、箔のほうではもともとプラスの電気だったところにマイナスの電気が加わることになるので、プラスとマイナスの電気の間の力で引き合うことになり、箔の開きはどんどん小さくなっていきます。
[2]電荷$Q$がマイナスの場合
金属板も箔もマイナスの電気のほうが多いことになります。そこにマイナスの電気を帯びたものが近づくと、金属板に多くあった自由電子は、金属板から離れて箔のほうに移動します。
すると、もともとマイナスの電気を帯びていた箔に、さらにマイナスの電気が加わることになるので、マイナスとマイナスの電気の間の力で反発しあうことになり、箔の開きはどんどん大きくなっていきます。
以上の説明より、問題の状況と合っているのは[1]ということになるので、$Q$はプラスです。そして[1]の説明より、金属板では自由電子がさらに減るわけなので、$Q'$もプラスとわかります。よって、\( Q>0 \),\( Q'>0 \)です。
問3 さらにマイナスの電気を帯びたものが近づくわけなので、自由電子はもっと箔のほうに移動します。するとマイナスの電気がどんどん加わることになり、マイナスとマイナスの電気の間にできる反発しあう力がはたらき、箔が再び開くようになります。よって、箔の部分にある電荷はマイナス(=負)です。
そして指を触れると、その指を通してマイナスの電気が逃げていきます。そうなると、さっきまで多くあったマイナスの電気が少なくなることになるので、マイナスとマイナスの電気の間にできる反発しあう力も弱くなります。そうなると、箔の開きは小さくなります。
答え.
問1 ④ 問2 ① 問3 ⑥