この問題のポイント
原子の構造を通して原子番号や質量数などの概念を理解しよう!
放射線はどのような種類があるかを中心におさえる!
問1 ①:原子番号や質量数などの用語は、原子の構造を利用すると理解しやすいです。
原子は原子核と、マイナスの電気を帯びた電子がそのまわりをまわっている形で構成
さらに原子核は、プラスの電気をもった陽子と、電気を帯びていない中性子で構成
原子番号…
原子核に含まれる陽子の個数。原子の種類によって陽子の個数は決まっている。下で示した赤字のように元素記号の左下に書く。
質量数…
原子核に含まれる陽子と中性子の個数の合計。下で示した青字のように元素記号の左上に書く。
例: | 10 5 | B(原子番号5、質量数10のホウ素) |
この説明から考えると、「中性子」の部分が「陽子」の誤りだとわかりますね。
②:放射線の種類はこのようなものがあります。
$α$線…
原子核が陽子を2個、中性子2個を放出する($α$崩壊)ことでできる。
陽子2個、中性子2個(=原子番号2、質量数4)の放出なので、実態はヘリウム原子核であり、紙1枚ぐらいで遮ることができる。
$β$線…
中性子が陽子に変わるために電子を放出する($β$崩壊)ことでできる。
よって、実態は電子であり、アルミニウム版で遮ることができる。
$γ$線…
原子核が高エネルギーの状態を安定化させるために余分なエネルギーを電磁波として放出する($γ$崩壊)ことでできる。
よって、実態は電磁波であり、鉛や鉄の厚い板でなければ遮ることができない。
X線…
電子が自分のもつエネルギーの一部を電磁波として放出することでできる。
よって、実態は電磁波であり、透過作用が高いのでX線撮影などで利用される。
この説明から考えると、透過力について「ほぼ等しい」というのは誤りとわかります。
③:放射線はさまざまなところから発生しており、私たちはその放射線を浴びながら生活しています。よって、この文は正しいです。
④:X線撮影はX線の透過作用を利用したものなので、X線の波の性質を利用したものではありません。また、X線は進行方向に対して垂直に振動する横波なので、「縦波」の部分も誤りです。
⑤:原子力発電では、ウランなどの核分裂の連鎖反応を継続させなければ、連続的にエネルギーを取り出すことができません。よって、「核分裂の連鎖反応が継続しないように」制御させては原子力発電が成り立たなくなるので、この部分が誤りです。
ちなみに、この問題を解くうえで直接関係はしませんが、放射能の単位についてもあわせてチェックしましょう。
ベクレル(Bq)…
放射性物質がどれだけ放射線を出すかの能力をあらわす
(1秒間に何個の原子核が崩壊したかを示す)
グレイ(Gy)…
放射線のエネルギーが物質や人体の組織にどれだけ吸収されたかをあらわす
(1キログラムの物質がどれほどの放射線のエネルギーを受けたかを示す)
シーベルト(Sv)…
放射線が人体にどれだけの影響を与えたかをあらわす
問2 問1の①の解説で示したことから、 ウ には「陽子」、 エ には「中性子」が入ることがわかります。
また、問題文にあるとおり、陽子と中性子のことを「核子」と呼ぶわけですから、「核子の個数」というのは「陽子と中性子の個数」を意味します。よって、 オ に入るのは「質量数」ということになります。
答え.
問1 ③ 問2 ①