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この問題のポイント

電流や磁界、力の向きを求めるときは、レンツの法則、右ねじの法則、フレミングの法則を使って考えよう!

A

問1 まず、誘導電流の向きから考えましょう。誘導電流の流れについては、レンツの法則を使って考えることができます。「コイルの磁束に変化があると、その変化を妨げる方向に磁束を生じさせる誘導電流が流れる」というものです。

この問題では、磁石のN極が近づいているので、リング内には右向きの磁束が強まっていることになります。ということは、誘導電流は左向きの磁束を生じさせるように流れるはずです。

高校 物理 問題演習 右ねじの法則の図

さて、この問題では磁界とそれによる電流を考えることになるのですが、この2つだけを手がかりに考えるときには、中学理科で習った右ねじの法則が使えますね?右の図のような形で電流と磁界が流れているというものです。

この法則を使って考えると、誘導電流はAの方向に流れることになります。そして、誘導電流は、磁石を速く動かすほど、磁石の磁力が強いほど、コイルの巻き数が多いほど、流れる誘導電流も大きくなります。(「物理基礎」ではなく「物理」の範囲になりますが、これをファラデーの電磁誘導の法則といいます。)

よって、この問題の答えは①です。

問2 N極が上にされているのですから、1円玉にはもともと上向きの磁場ができていたことになります。磁石を上向きに動かすと1円玉から磁石は遠ざかり、上向きの磁場は弱まります。

ということは、レンツの法則により、弱まるのを妨げるために上向きの磁場を生じさせるように誘導電流は流れるはずです。なので、右ねじの法則により、電流はAの向きに流れることになります。そして、上向きの磁場ができているということは、N極が上になっている磁石と同じはたらきをしていることになります。

そして、もともと1円玉の真上にあった磁石はN極が上にされていましたから、1円玉と向かい合っていたのはS極ということになります。ということは、1円玉は今、N極が上になっている磁石と同じ磁界を持っていますから、そのS極に引かれて上向きの力を受けることになります。以上より、この問題の答えは②です。

問3 電流が流れていて磁場もかかっている状況での力の向きを考えるには、フレミングの左手の法則を使って求めることができます。どんな法則なのかは、次のとおりです。

高校 物理 問題演習 フレミングの左手の法則の図

磁界の中では、電流は力を受ける。
電流、磁界、力の3つの向きは、ちょうど左手の中指が電流、人差し指が磁界、親指が力の向きをあらわすようになっている。


この法則を利用して考えると、磁場は下から上へと流れているわけなので、力の向きは①とわかります。

問4 コイルを貫く磁束が変化するのは、それぞれの領域の境界を通過する間のタイミングです。

領域Ⅰから領域Ⅱに入ると、裏から表に向かう磁場が強まります。ということは、レンツの法則により、誘導電流は表から裏への磁束を生じさせるように流れるはずです。なので、右ねじの法則により、電流は右回り(時計回り)に、つまり負の向きに流れることになります。

そして、領域Ⅱから領域Ⅲに入ると、裏から表に向かう磁場が弱まります。よって、レンツの法則により、弱まるのを妨げるために裏から表への磁束を生じさせるように誘導電流は流れるはずです。右ねじの法則により、電流は左回り(反時計回り)に、つまり正の向きに流れることになります。

以上より、最初に負の向き、次に正の向きへとグラフが変化している④が正解といえます。

答え.
問1 ①   問2 ②
問3 ①   問4 ④