この問題のポイント
流体の密度をρ、重力加速度をg、物体の流体中の体積をV、水深をhとすると、
水圧 = ρhg
浮力 = ρVg = (流体の質量)×g
問1 底面積を$S$[m2]の物体を深さ$h$[m]のところに沈めると、その上には$hS$[m3]の流体があることになります。
密度は質量を体積で割ることで求められるんですから、質量は(密度)×(体積)で求まります。よって、流体の密度を$ρ$とすると、流体の質量は$ρhSg$[kg]とあらわせますね?($g$は重力加速度)
そして圧力は(質量)÷(面積)で求まるんですから、水圧を$p$[Pa]とすると、
\( \displaystyle p = \frac{ρhSg}{S} = ρhg \)
となります。この公式を利用すると、
水深100mでの水圧は\( 1.0×10^3×100×9.8 = 9.8×10^5 \)Pa
水深200mでの水圧は\( 1.0×10^3×200×9.8 = 2×9.8×10^5 \)Pa
よって、水圧の差は
\( 2×9.8×10^5-9.8×10^5 \)
\( = 9.8×10^5 \)Pa
問2 浮力というのは、水の中で物体を浮き上がらせようとする力のことです。ただ、水中では上下左右あらゆるところから力が加わりますので、浮力というのは言い換えると、下面からおさえられる力と上面からおさえられる力の差ということができます。下面からおさえられる力のほうが大きければ物体が浮くというわけですね。
物体を深さ$h$[m]のところに沈め、その物体の底面積を$S$、下面と上面の間の高さを$d$[m]とします。
その物体の上面からおさえられる水圧$ρhg$なので、かかる力は$ρhg×S$
下面からおさえられる水圧は$ρ(h+d)g$なので、かかる力は$ρ(h+d)g×S$とおけます。
当然、下面にかかる水圧のほうが大きいので、浮力を$F$[N]とおくと、
$F$
\( = ρ(h+d)g×S-ρhg×S \)
\( = \{ρ(h+d)g-ρhg\}S \)
\( = (ρhg+ρdg-ρhg)S \)
\( = ρdgS \)…A
ここで、物体の底面積が$S$で高さが$d$なのですから、この物体の体積を$V$[m3]とすると、\( V = dS \)とあらわせますよね?ということは、Aの式は
\( F = ρVg \)
とすることができます。
さらに、問1の解説でもふれたとおり、密度は質量は(密度)×(体積)で求まるんですから、
$F$ = (流体の質量)×$g$
と言い換えることもできます。つまり、浮力の大きさは、その物体がおしのけた流体の質量に等しいということになりますが、この原理をアルキメデスの原理といいます。
この公式を使うと、潜水艇全体が水中に沈んでいるわけなので、潜水艇にかかる浮力は$ρVg$となります。
一方、重力ですが、潜水艇だけの質量は$M$ですから、潜水艇本体だけにかかる重力は$Mg$です。しかし、バラストタンクの中に水が入っているかもしれませんから、その水の体積を$V'$とすると、その水にかかる重力は$ρV'g$となります。
浮力と重力がつりあっているんですから、浮力と、潜水艇とその中の水両方の重力が等しいわけなので、
\( ρVg = Mg+ρV'g \)
\( ρV'g = ρVg-Mg \)
\( ρV' = ρV-M \)
\( \displaystyle ∴V' = V-\frac{M}{ρ} \)
問3 潜水艇に浮力がはたらいていることは問2と同じなので、上向きの力として$ρVg$の浮力が潜水艇にかかっています。そして重力がかかっているのも問2と同じはずですから、下向きの力として$Mg$の重力が潜水艇にかかっています。
そして、この問題ではバラストタンクに水がありませんから、問2で考えたような水にかかる重力は考慮しなくていいのですが、問題文にあるとおり、浮上しているときに水から受ける抵抗力がかかっています。その力は問題文にあるとおり$bv$です。浮上するときの抵抗力なのですから、力の向きとしては重力と同じで下向きになりますね。
潜水艇の速さが一定になったということは、加速度が0になったということですから、重力と抵抗力の合計(つまり、潜水艇に下向きにはたらく力)と浮力(潜水艇に上向きにはたらく力)がつりあっているということですから、
\( ρVg = Mg+bv \)
\( bv = ρVg-Mg \)
\( bv = (ρV-M)g \)
\( \displaystyle ∴v = \frac{(ρV-M)g}{b} \)
答え.
問1 ⑤ 問2 ③ 問3 ②