この問題のポイント
等加速度運動と相対速度の公式を覚えよう!
vを速度(m/s)、v0を初速度(m/s)、a を加速度(m/s2)、t を時間(秒)、xを進んだ距離(m) とし、
速度の公式… v = v0+at
距離の公式… x = v0t+ at2/2
Aから見たBの相対速度は
(Bの速度)-(Aの速度)
(a)時速を秒速になおす計算は小学校の算数でもやりましたね。秒速何「m」と質問されてますから、108kmを108000mに変えて、
108000÷3600 = 30
で秒速30mです。
(b)ブレーキをかけてから停止するまでの間は、6m/s2で減速していました。このような、速度が1秒あたりに増減する量を加速度といいます。そして、加速度が一定の運動を等加速度運動といいます。
等加速度運動では、上に書かれていた速度と移動距離の公式がとても重要になります。必ず覚えてしまいましょう!
どちらも$t$秒後の速度と移動距離を表していますから、速度も移動距離も時間と密接な関係にあることがよくわかると思います。
さて、この問題では、停止するまでにかかった時間を求めるわけですが、移動距離も求めないといけないわけですから、速度のほうの公式、つまり、この公式のほうが使えそうですね。
\( v = v_0+at \)
停止しているということは速度は0ということです。そして、6m/s2での「減速」なんですから、加速度は-6m/s2ということになります。
(a)で求めたとおり、秒速30mで運転していたんですから、公式を使って、こんな方程式ができます。
\( 0 = 30-6t \)
これを解くと、\( t = 5 \)
よって、停止するまでの時間は5秒です。
制動距離も、公式を使って求めることができます。上の公式を使うと、
\( \displaystyle 30×5+\frac{1}{2}×(-6)×5^2 \)
これを計算すると、150-75 = 75mです。
(c)追突するということは、自動車$B$は、(自動車$A$がブレーキをかけてから進んだ距離)+(車間距離である27m)進んでしまったということです。自動車$A$の制動距離は(b)で求めたのと同じ要領で求めることができますから、求める時間を$t_0$とすると、こういう方程式が成り立ちます。
\( \displaystyle 30t_0 = 30t_0+\frac{1}{2}×(-6)×{t_0}^2+27 \)
なぜ、自動車$B$の進んだ距離が$30t_0$で表されるかというと、自動車$B$はいっさい減速していませんから、(速さ)×(時間)で距離を求めることができるからです。
この方程式を解くと、
\( 30t_0 = 30t_0-3{t_0}^2+27 \)
\( 3{t_0}^2 = 27 \)
\( t_0 = 3 \)
つまり、自動車$B$は3秒後に追突します。
(d)自動車$A$は減速している最中ですが、この時点では自動車$B$ではまだ減速はいっさいしていません。よって、まず自動車$B$から考えると、1秒間に進んだ距離は30×1 = 30mです。
一方、自動車$A$は、減速しているわけですから、距離を考えるときは等加速度運動の公式を使わないといけません。それを使って考えると、自動車$A$が1秒間に進んだ距離は、
\( \displaystyle 30×1+\frac{1}{2}×(-6)×1^2 \)
= 30-3
= 27m
つまり、1秒間で自動車$A$は27m進んで自動車$B$は30m進んだんですから、3mだけ車間距離が縮まったことになりますね。もともとの車間距離は27mだったんですから、求める車間距離は、
27-3 = 24mとなります。
次に、相対速度を求めるわけですが、相対速度を求めるには、自動車$A$と自動車$B$のそれぞれの速度がわからないといけませんから、1つずつ求めていきましょう。
まず、さっきも書いたとおり、自動車$B$は減速はしていないんですから、こちらの速度は30m/sです。
自動車$A$のほうは、等加速度運動の公式を使って考えると、
30-6×1 = 24m/s
そして、求めるのは、自動車$A$の自動車$B$に対する相対速度なんですから、(自動車$B$の速度)-(自動車$A$の速度)で計算します。それで計算すると、
30-24 = 6m/s
つまり、自動車$A$の進行方向に秒速6mだということです。
(e)自動車$A$がブレーキをかけ始めてからの時間を$m$秒とします。自動車$A$が進んだ距離は、公式を使って考えると、
\( \displaystyle 30m+\frac{1}{2}×(-6)×m^2 = 30m-3m^2 \)とおけます。
一方、自動車$B$のほうは、1秒ずれてブレーキをかけたんですから、ブレーキをかけ始める前(\( 0<m<1 \))とかけた後(\( m≧1 \))とで場合分けして考えないといけません。
まず、ブレーキをかけ始める前についてですが、このときは減速していませんから、進んだ距離は、(c)の解説にもあったとおり、(速さ)×(時間)で求まりますから、30mとおけます。
そして、かけた後ですが、これは自動車$A$で考えたのと同じ要領で考えればいいですね。加速度も自動車$A$と等しいので、公式を使って、
\( \displaystyle \small{30m+\frac{1}{2}×(-6)×(m-1)^2 = 30m-3m^2+6m-3} \)
これで、それぞれの自動車が進んだ距離が求まりました。ただし、もともとは2つの自動車の間は27mあったのですから、(d)で考えたようにして車間距離を考えましょう。
\( 0<m<1 \)のときは、車間距離は
\( 27-\{30m-(30m-3m^2)\} = 27-3m^2 \)
\( m≧1 \)のときは、車間距離は
\( 27-\{30m-3m^2+6m-3-(30m-3m^2)\} \)
\( = 27-(6m-3) \)
\( = 30-6m \)
そして、\( 30-6m \)という式ですが、$m$は時間をあらわしています。ということは、この式は引き算なんですから、この計算結果が0になるときがあるはずです。
\( 30-6m = 0 \)を解くと、\( m = 5 \)
すなわち、この2つの自動車は5秒後に追突することになります。このことも解答に明記しましょう。
解答のチェックポイント
- 自動車$A$がブレーキをかけ始めてから1秒後までのときとそれ以後の場合分けができているか
- 等加速度運動の公式を使って、車間距離の式を導き出せているか(使う文字はなんでもOK)
- 自動車$A$がブレーキをかけ始めてから5秒後に2つの自動車は追突することにふれているか
答え.
(a)秒速30m
(b)制動時間…5秒 制動距離…75m
(c)3秒後
(d)車間距離…24m 相対速度…自動車$A$の進行方向に秒速6m
(e)(例)自動車$A$がブレーキをかけ始めてからの時間を$m$とすると、\( 0<m<1 \)のときは\( (27-3m^2) \)m、\( m≧1 \)のときは\( (30-6m) \)mとおけ、自動車$A$がブレーキをかけ始めてから5秒後に自動車$B$は自動車$A$に追突する。