この問題のポイント
直線の傾きは速さをあらわす!
追いつくときや追い越されたときは交点であらわされる!
(1)$x$軸に時間、$y$軸に距離をとって、どれぐらいの時間でどれぐらい移動をしたかをグラフで示したものをダイヤグラムといいます。速さは距離÷時間で求まりますが、どれぐらいの時間がたったかは$x$の値がいくら増えたかでわかります。また、どれぐらいの距離を進んだかは$y$の値がいくら増えたかでわかります。
ということは、距離÷時間というのは、\( \displaystyle \frac{yの増加量}{xの増加量} \)と同じことになりますが、これは直線の傾きを求めているのと同じですね?よって、ダイヤグラムの直線の傾きは速さと等しいということになります。
C君の速さを毎時$a$kmとすると、A君,B君,C君の速さの比は5:3:1なので、A君の速さは毎時$5a$km,B君の速さは毎時$3a$kmとなります。なので、Ⓐ地とⒷ地の間が$b$kmより、3人の移動をあらわすダイヤグラムの方程式は、このようにおけます。
A君…\( y = 5ax \)
B君…\( y = 3ax+b \)
C君…\( y = ax+b+32 \)
また、グラフが交わっている点は、2人が出会ったり追いついたりしている点です。ということは、その点では2直線の$x$座標や$y$座標は等しいことになりますね?よって、午後2時の点でA君とB君のグラフが交わっているので、$x = 2$を代入したときの値は等しいはずなので、
\( 5a×2 = 3a×2+b \)
\( 10a = 6a+b \)…①
同様に、午後5時の点でA君とC君のグラフが交わっているので、$x = 5$を代入したときの値は等しいので、
\( 5a×5 = 5a+b+32 \)
\( 25a = 5a+b+32 \)…②
①より、\( b = 4a \)なので、これを②に代入すると、
\( 25a = 5a+4a+32 \)
\( 16a = 32 \)
\( a = 2 \)
\( b = 4a \)でしたから、\( b = 4×2 = 8 \)
(2)さっきの(1)で\( a = 2 \),\( b = 8 \)と求まりましたから、A君,B君,C君の移動をあらわす直線の方程式はこのようになります。
A君…\( y = 10x \)
B君…\( y = 6x+8 \)
C君…\( y = 2x+40 \)
B君の位置とC君の位置のちょうど真ん中の位置にくるということは、B君の位置とC君の位置のちょうど平均になっているということです。よって、このような方程式が成り立つことになります。
\( \displaystyle 10x = \frac{6x+8+2x+40}{2} \)
これを解くと、\( \displaystyle 10x = \frac{8x+48}{2} \)
\( 20x = 8x+48 \)
\( 12x = 48 \)
\( x = 4 \)
つまり、求める時刻は午後4時ちょうどということになります。
(3)午後5時にⒹ地に着いたことはわかっているんですから、C君が何分間休んだかを知るには、何時から同じ道を戻り始めたか、つまり平らだったダイヤグラムが折れ曲がり始めたのは何時からかを知る必要があります。それを知るために、戻っているダイヤグラムの直線の方程式を求めてみましょう。
戻っているときの速度は毎時8kmですから、\( y = -8x+p \)とおけます。この直線がB君のグラフと$x = 6$で交わっています。
B君のグラフの方程式は\( y = 6x+8 \)なので、$x = 6$のとき、\( y = 6×6+8 = 44 \)
よって、\( y = -8x+p \)は(6,44)を通るので、
\( 44 = -8×6+p \)となり、\( p = 92 \)
これより、C君が戻っているダイヤグラムの方程式は\( y = -8x+92 \)です。
この直線はⒹ地までの距離のところから始まっていて、その始まりのタイミングのときに平らだったダイヤグラムが折れ曲がり始めています。そこで、Ⓓ地までの距離は何kmかを求めていきます。
Ⓓ地はA君が5時間かかって着いたところで、A君のダイヤグラムの方程式は\( y = 10x \)なので、Ⓓ地までの距離は10×5 = 50kmです。
\( y = -8x+92 \)に\( y = 50 \)を代入すると、
\( 50 = -8x+92 \)で、これを解くと、
\( 8x = 42 \)
\( \displaystyle x = \frac{21}{4} \)
この時間がⒹ地までの距離のところから戻り始めた時間ですから、C君がⒹ地で休んでいたのは
\( \displaystyle \frac{21}{4}-5 = \frac{1}{4} \)時間です。
これを分になおすと、\( \displaystyle 60×\frac{1}{4} \) = 15分間ですね。
答え.
(1)\( a = 2 \),\( b = 8 \)
(2)午後4時
(3)15分間