この問題のポイント
順番を気にしないといけない場合と、同時にとるなど順番を気にしなくてもいい場合とでは、何通りかの計算のしかたは異なる!
(1)① まずくじの引きかたが全部で何通りあるかを考えましょう。くじや玉を取り出す方法について考えるとき、すべてのくじや玉は区別しないといけません。この問題では、5本中3本が当たりくじなので、「当たり①」「当たり②」「当たり③」「はずれ①」「はずれ②」のように区別する必要があります。
くじは同時に引きますから、たとえば「当たり①」「はずれ②」の2本を引いたということについて、「左手は当たり①、右手ははずれ②」「左手ははずれ②、右手は当たり①」というのは、結局引いた内容は同じです。つまり、同時に取り出すなど、順番の区別をする必要がない選び方をした場合は、同じ組み合わせのものを重複して数えあげないよう注意する必要があります。
そのように考えると、くじの引きかたを数えあげると(当たり①,当たり②),(当たり①,当たり③),(当たり①,はずれ①),(当たり①,はずれ②),(当たり②,当たり③),(当たり②,はずれ①),(当たり②,はずれ②),(当たり③,はずれ①),(当たり③,はずれ②),(はずれ①,はずれ②)の10通りです。
そのうち、2本とも当たりくじというのは(当たり①,当たり②),(当たり①,当たり③),(当たり②,当たり③)という組み合わせの3通りです。よって、求める確率は\( \displaystyle \frac{3}{10} \)です。
② Aさんが先にくじを引くので、Aさんは5本のうちからくじを引くことができます。BさんはAさんが引いた後にくじを引きますから、1本減って4本のうちから取り出すことになります。そのため、2人のくじの引きかたは5×4 = 20通りあります。
この問題の場合、「当たり①」「はずれ②」の2本を引いたということについて、「Aさんが当たり①、Bさんがはずれ②」ということと「Aさんがはずれ②、Bさんが当たり①」ということは異なりますから、さっきのように重複を気にする必要はありません。
AさんがはずれBさんが当たるという引きかたは、Aさんが当たりの3本のうちから、Bさんがはずれの2本のうちから引くので、3×2 = 6通りあります。これについても順番の区別をしないといけませんから、割り算はしなくて大丈夫です。
求める確率は\( \displaystyle \frac{6}{20} \)、約分すると\( \displaystyle \frac{3}{10} \)です。
(2)まず2個の玉の数字の積が正となる確率を考えます。1回目の玉の取り出し方は5種類の玉から1個を取り出すので5通りです。取り出した後、玉を袋に戻すので、2回目の取り出し方も5種類の玉から1個を取り出すから5通りあります。
そして、この問題については同時に2つの玉を取り出すわけではないので、重複を気にしなくていいですから、玉の取り出し方は全部で5×5 = 25通りです。
2個の玉の数字が積になる取り出し方は、〈1回目の玉に書かれた数,2回目の玉に書かれた数〉という書きかたで表すと、〈-1,-1〉,〈1,1〉,〈1,2〉,〈1,3〉,〈2,1〉,〈2,2〉,〈2,3〉,〈3,1〉,〈3,2〉,〈3,3〉の10通りがあります。
よって、2個の玉の数字の積が正になる確率は\( \displaystyle \frac{10}{25} = \frac{2}{5} \)です。
次に、2個の玉の数字の積が負となる確率です。これについては、同時に玉を取り出すわけなので、重複を気にしないといけません。2個の玉を取り出す組み合わせは、(1)の書きかたのように数えあげると次のようになります。
(-1,0),(-1,1),(-1,2),(-1,3),(0,1),(0,2),(0,3),(1,2),(1,3),(2,3)
つまり、10通りあるということですね。そのうち、数字の積が負となる組み合わせは(-1,1),(-1,2),(-1,3)の3通りですから、2個の玉の数字の積が負となる確率は\( \displaystyle \frac{3}{10} \)です。
(3)すべての玉は区別する必要がありますから、「赤玉A」「赤玉B」「赤玉C」「白玉A」「白玉B」などのように考えます。そして袋から玉を同時に取り出すので、数えあげかたに注意です。全部書きだして数えあげてもOKですが、数えあげるのがかなり多くなってくると大変になります。
そこで、ここでは計算で求める方法を紹介します。たとえば、右手で1個、次に左手で1個順番に取り出すとしたら何通りになるでしょう?右手は上に書いた5個のうちから取り出し、左手は1個減ってしまっているので4個のうちから取り出すことになるので、5×4 = 20通りと考えることができます。
しかし、実際は(1)の解説でもふれたとおり、たとえば「右手は赤玉、左手は白玉」「右手は白玉、左手は赤玉」というのは、どちらも「赤玉と白玉を1個ずつ選んだ」ということで結果としては同じですよね?このように、同時に取り出すなど、順番の区別をする必要がない選び方では、重複して数えているものがあるのでその分を割り算して計算する必要があります。
さっきの計算だと、たとえば「赤玉A」「白玉B」の2個を取り出したということについて、「右手は赤玉A、左手は白玉B」「右手は白玉B、左手は赤玉A」というように、同じものを2回数えてしまっているわけです。その重複分を割り算しないといけないので、すべての玉の取り出しかたは5×4÷2 = 10通りです。
2個とも同じ色である取り出しかたを考えましょう。さっきのように考えると、2個とも赤玉である取り出しかたは、右手は3個のうちから、左手はそれが1個減って2個のうちから取り出すといったんみなせますね。しかし、これだと重複があるはずですから、2個とも赤玉となるのは3×2÷2 = 3通りです。
そして2個とも白玉である取り出しかたについてですが、白玉は2個ありますから、同様にして計算すると2×1÷2 = 1通りです。
よって、2個とも同じ色である取り出しかたは3+1 = 4通りなので、求める確率は\( \displaystyle \frac{4}{10} = \frac{2}{5} \)ですね。
(4)まず、取り出しかたが全部で何通りあるかを考えます。この問題では、各色の玉に数字が書かれていますから、区別して考えやすいですね。取り出した後は袋に戻すため、1回目の玉の取り出し方は6個の玉から1個を取り出すので6通り、2回目の玉の取り出し方も6個の玉から1個を取り出すので6通りです。
そして、同時に2つの玉を取り出すわけではなく、1回目に取り出したか2回目に取り出したかの区別があります。なので、重複を気にしなくて大丈夫ですから、割り算をする必要はありません。玉の取り出し方は全部で6×6 = 36通りとわかります。
そして、色が異なり数字が一致する玉の取り出しかたですが、たとえば、数字が1で一致する取り出しかたを数えあげてみます。〈1回目の玉,2回目の玉〉という書きかたで表すと、
〈赤玉の1,青玉の1〉,〈赤玉の1,黄玉の1〉,〈青玉の1,赤玉の1〉,〈青玉の1,黄玉の1〉,〈黄玉の1,赤玉の1〉,〈黄玉の1,青玉の1〉
この6通りが考えられますね。そして、数字が2で一致する取り出しかたについても、これと同様に考えられますから6通りです。結局、色が異なり数字が一致する取り出しかたは全部で6+6 = 12通りです。
これより、求める確率は\( \displaystyle \frac{12}{36} = \frac{1}{3} \)です。
答え.
(1)
① \( \displaystyle \frac{3}{10} \)
② \( \displaystyle \frac{3}{10} \)
(2)
2個の玉の数字の積が正となる確率…\( \displaystyle \frac{2}{5} \)
2個の玉の数字の積が負となる確率…\( \displaystyle \frac{3}{10} \)
(3)
\( \displaystyle \frac{2}{5} \)
(4)
\( \displaystyle \frac{1}{3} \)