この問題のポイント
食塩水の濃度についての問題は、含まれる食塩の量について方程式をたてる!
食塩水の問題は、濃度などで少し難しいように思えますが、考えるコツは含まれる食塩の量に着目することです。濃度が〇%ということは、この食塩水の〇%は食塩でできていますよ、ということです。たとえば、200gの食塩水の濃度が3%であれば、\( \displaystyle 200×\frac{3}{100} \)、つまり6gの食塩が含まれているということです。
ということは、問題文にある濃度$x$%の食塩水100gについては、\( \displaystyle 100×\frac{x}{100} \)、つまり$x$gの食塩が含まれているということですね。そして、濃度10%の食塩水50gについては、\( \displaystyle 50×\frac{10}{100} \)、つまり5gの食塩が含まれているということです。この数値を使いながら考えていきましょう。
(1)容器Aから取り出した50gを①とし、容器Aに残ったほうの50gを②とします。どちらも濃度は$x$%ですから、①,②それぞれに含まれる食塩の量は
\( \displaystyle 50×\frac{x}{100} = \frac{x}{2} \)gです。
①の食塩水に濃度10%の食塩水50gが加わりますから、食塩は5g加わることになります。①と濃度10%の食塩水50gを混ぜたので、全体で100g、含まれる食塩は\( \displaystyle \left(\frac{x}{2}+5\right) \)gの食塩水ができあがったわけです。
そこからさらに50gを取り出しますから、半分を取り出すことになりますね。そこに含まれる食塩の量も半分になります。それを②と混ぜ合わせるわけですが、②に含まれる食塩の量は\( \displaystyle \frac{x}{2} \)gでしたから、この2つを合わせた食塩のグラム数は、このようになります。
\begin{eqnarray} &&\frac{x}{2}+\frac{1}{2}\left(\frac{x}{2}+5\right)\\ &&= \frac{x}{2}+\frac{x}{4}+\frac{5}{2}\\ &&= \frac{2x+x+10}{4}\\ &&= \frac{3x+10}{4} \end{eqnarray}
1回の操作後にできた食塩水全体の重さは100gで、ここに\( \displaystyle \frac{3x+10}{4} \)gの食塩が含まれていることになります。理科で学習したとおり、濃度は溶かしたものの量を溶液全体の量で割って100をかければ求まりますから、濃度は\( \displaystyle \frac{3x+10}{4}÷100×100 = \frac{3x+10}{4} \)%です。
(2)2回目の操作をするために容器Aから取り出した50gを③,容器Aに残ったほうの50gを④とします。(1)で求めたとおり、濃度は\( \displaystyle \frac{3x+10}{4} \)%ですから、③,④それぞれに含まれる食塩の量は
\( \displaystyle 50×\frac{\frac{3x+10}{4}}{100} \)
\( \displaystyle = \frac{\frac{3x+10}{4}}{2} \)
\( \displaystyle = \frac{3x+10}{4}×\frac{1}{2} \)
\( \displaystyle = \frac{3x+10}{8} \)g
あとは(1)と同じように考えればいいでしょう。③に濃度10%の食塩水50gが加わることによって、食塩が5g増えますから、全体で100g、その中に\( \displaystyle \left(\frac{3x+10}{8}+5\right) \)gの食塩が含まれる食塩水ができました。
そこから半分を取り出して④と混ぜ合わせます。④に含まれる食塩の量は\( \displaystyle \frac{3x+10}{8} \)gでしたから、混ぜ合わせてできた食塩のグラム数は、
\begin{eqnarray} &&\frac{3x+10}{8}+\frac{1}{2}\left(\frac{3x+10}{8}+5\right)\\ &&= \frac{3x+10}{8}+\frac{3x+10}{16}+\frac{5}{2}\\ &&= \frac{6x+20+3x+10+40}{16}\\ &&= \frac{9x+70}{16} \end{eqnarray}
この操作後にできた食塩水全体の重さは(1)のときと同様に100gなので、濃度は
\( \displaystyle \frac{9x+70}{16}÷100×100 = \frac{9x+70}{16} \)%です。
(3)3回目の操作後にできた食塩水の濃度を$x$を使って表すのは、(1)や(2)と同じように考えればいいでしょう。3回目の操作をするために容器Aから取り出した50gを⑤,容器Aに残ったほうの50gを⑥とすると、それぞれに含まれる食塩の量は
\( \displaystyle 50×\frac{\frac{9x+70}{16}}{100} \)
\( \displaystyle = \frac{\frac{9x+70}{16}}{2} \)
\( \displaystyle = \frac{9x+70}{16}×\frac{1}{2} \)
\( \displaystyle = \frac{9x+70}{32} \)g
⑤と濃度10%の食塩水50gを混ぜ合わせると、そこに含まれる食塩のグラム数は\( \displaystyle \left(\frac{9x+70}{32}+5\right) \)gとなります。そして半分取り出して⑥と混ぜ合わせてできる食塩水に含まれる食塩のグラム数は、
\begin{eqnarray} &&\frac{9x+70}{32}+\frac{1}{2}\left(\frac{9x+70}{32}+5\right)\\ &&= \frac{9x+70}{32}+\frac{9x+70}{64}+\frac{5}{2}\\ &&= \frac{18x+140+9x+70+160}{64}\\ &&= \frac{27x+370}{64} \end{eqnarray}
この操作後にできた食塩水全体の重さはこれまでと同様に100gなので、濃度は
\( \displaystyle \frac{27x+370}{64}÷100×100 = \frac{27x+370}{64} \)%です。
この数値が8.5となればいいわけです。8.5は\( \displaystyle \frac{17}{2} \)ですから、
\( \displaystyle \frac{27x+370}{64} = \frac{17}{2} \)
式の両側に64をかけて\( 27x+370 = 544 \)
\( 27x = 174 \)
\( \displaystyle x = \frac{174}{27} = \frac{58}{9} \)
答え.
(1)\( \displaystyle \frac{3x+10}{4} \)% (2)\( \displaystyle \frac{9x+70}{16} \)%
(3)\( \displaystyle x = \frac{58}{9} \)