この問題のポイント
もとの式を簡単にしたり、何かの2乗の形をつくったり、x+y,x-y,xyのみが使われた形に変形してから代入する!
(1)5乗や4乗などの累乗がいっぱいあるので、そのまま代入して計算すると大変なことになりそうです。この問題の式は割り算となっていて、しかも計算ができそうですね?代入して式の値を求める問題では、計算などをしてできるだけ簡単な形にしてから代入するというのが鉄則です。
\( 15a^5b^4÷5a^3b^2 \)も簡単にしていきましょう。
\( \displaystyle \frac{15a^5b^4}{5a^3b^2} = 3a^2b^2 \)と計算できます。
\( a^2b^2 = (ab)^2 \)であり、
\( \displaystyle ab = \frac{\sqrt{3}+1}{\sqrt{2}}×\frac{\sqrt{3}-1}{\sqrt{2}} \)
\( \displaystyle = \frac{(\sqrt{3}+1)(\sqrt{3}-1)}{2} \)
\( \displaystyle = \frac{(\sqrt{3})^2-1^2}{2} \)
\( \displaystyle = \frac{3-1}{2} \)
\( \displaystyle = \frac{2}{2} = 1 \)
よって、\( 3a^2b^2 \)は\( 3×(ab)^2 \)とおけますから、\( 3×1^2 \)より、3と計算できます。
(2)この問題の式は、これ以上因数分解できませんし、展開してももっとややこしい式になりそうですから、これ以上簡単にすることができません。
代入する$x$の値には\( \sqrt{2} \)という無理数がありますが、無理数を代入する場合、できるだけ何かの2乗の形になおしてから代入すると計算がラクになる場合があります。ルートの値は2乗すればルートをはずすことができるからです。
この問題の場合なら、\( (x-1)^2(x^2-2x-1) \)ですから、\( x^2-2x-1 \)でできるだけ2乗の形がつくれないか考えましょう。もしこれが\( x^2-2x+1 \)なら、\( (x-1)^2 \)とすることができます。
ここで、-1は1から2を引いて得られる値、つまり-1 = 1-2と考えてみましょう。すると、
\( x^2-2x-1 \)
\( = x^2-2x+1-2 \)
\( = (x-1)^2-2 \)
よって、\( (x-1)^2(x^2-2x-1) \)は\( (x-1)^2\{(x-1)^2-2\} \)です。
これに$x$の値を代入すると、
\( (\sqrt{2}+1-1)^2\{(\sqrt{2}+1-1)^2-2\} \)
\( = (\sqrt{2})^2\{(\sqrt{2})^2-2\} \)
= 2×(2-2)
= 2×0 = 0
(3)この問題で与えられた式も、これ以上計算することができません。そこで何かの2乗の形をつくってみます。この式の最初のほうは\( x^2+4xy \)とありますが、これが\( x^2+4xy+4y^2 \)となっていれば\( (x+2y)^2 \)と因数分解できます。
しかし、式の\( x^2+4xy \)の後にあるのは$+5y^2$です。そこで、この$+5y^2$を\( +4y^2+y^2 \)としてみましょう。すると、\( x^2+4xy+5y^2+2y+1 \)は、
\( x^2+4xy+4y^2+y^2+2y+1 \)
\( = (x+2y)^2+y^2+2y+1 \)
とできます。
すると、この変形した式を見ると、後半もこのような形で2乗をつくることができますね?
\( (x+2y)^2+y^2+2y+1 \)
\( = (x+2y)^2+(y+1)^2 \)
\( x+2y \)
\( = 4-2\sqrt{3}+2(\sqrt{3}-1) \)
\( = 4-2\sqrt{3}+2\sqrt{3}-2 = 2 \)
\( y+1 \)
\( = \sqrt{3}-1+1 = \sqrt{3} \)
よって、\( (x+2y)^2+(y+1)^2 \)に代入すると、
\( 2^2+(\sqrt{3})^2 \)
= 4+3 = 7
(参考)
\( (x+a)^2 = x^2+2ax+a^2 \)です。$x$の係数である$2a$から$a^2$をつくるには、$2a$を半分にして$a$にしてからそれを2乗すればいいですね?さっきの(2)や(3)のように、何かの2乗の形をつくるときは、このように$x$の係数を半分にして2乗した数は何かを考え、その数ができるように式を変形させていくといいでしょう。
たとえば、(2)なら\( x^2-2x-1 \)の$x$の係数は-2より、その半分の2乗は1なので、その数ができるように\( x^2-2x+1-2 \)と変形していくといいでしょう。
また、(3)も\( x^2+4xy+5y^2+2y+1 \)の$x$の係数は$4y$で、その半分の2乗は$4y^2$より、その数ができるように\( x^2+4xy+4y^2+y^2+2y+1 \)と変形していくといいですね。
(4)\( x^{12}y^{10}-x^{10}y^{12} \)という式はこれ以上計算ができませんし、あまりにも短く、累乗の数も大きいので何かの2乗の形をつくるのも難しそうです。このような場合は、因数分解やその他の方法で、$x+y$,$x-y$,$xy$しか含まれていない形に式を変形していくことを考えましょう。
たとえばこの問題の場合なら、$x^{10}$以上、$y^{10}$以上の累乗がどっちにも含まれていますから、このように因数分解していくことができます。
\( x^{12}y^{10}-x^{10}y^{12} \)
\( = x^{10}y^{10}(x^2-y^2) \)
\( = x^{10}y^{10}(x+y)(x-y) \)
\( = (xy)^{10}(x+y)(x-y) \)
$x+y$,$x-y$,$xy$しか含まれていない形に変わりましたので、それぞれの値が何になるかを計算しましょう。
\( x+y \)
\( \displaystyle = \frac{2\sqrt{3}+\sqrt{7}}{\sqrt{5}}+\frac{2\sqrt{3}-\sqrt{7}}{\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{2\sqrt{3}+\sqrt{7}+2\sqrt{3}-\sqrt{7}}{\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{4\sqrt{3}}{\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{4\sqrt{3}×\sqrt{5}}{\sqrt{5}×\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{4\sqrt{15}}{5} \)
\( x-y \)
\( \displaystyle = \frac{2\sqrt{3}+\sqrt{7}}{\sqrt{5}}-\frac{2\sqrt{3}-\sqrt{7}}{\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{2\sqrt{3}+\sqrt{7}-(2\sqrt{3}-\sqrt{7})}{\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{2\sqrt{7}}{\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{2\sqrt{7}×\sqrt{5}}{\sqrt{5}×\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{2\sqrt{35}}{5} \)
\( xy \)
\( \displaystyle = \frac{2\sqrt{3}+\sqrt{7}}{\sqrt{5}}×\frac{2\sqrt{3}-\sqrt{7}}{\sqrt{5}} \)
\( \displaystyle = \frac{(2\sqrt{3}+\sqrt{7})(2\sqrt{3}-\sqrt{7})}{5} \)
\( \displaystyle = \frac{(2\sqrt{3})^2-(\sqrt{7})^2}{5} \)
\( \displaystyle = \frac{12-7}{5} \)
\( \displaystyle = \frac{5}{5} = 1 \)
よって、
\( (xy)^{10}(x+y)(x-y) \)
\( \displaystyle = 1^{10}×\frac{4\sqrt{15}}{5}×\frac{2\sqrt{35}}{5} \)
\( \displaystyle = \frac{8\sqrt{525}}{25} \)
\( \displaystyle = \frac{8×5\sqrt{21}}{25} \)
\( \displaystyle = \frac{8\sqrt{21}}{5} \)
答え.
(1)3 (2)0
(3)7 (4)\( \displaystyle \frac{8\sqrt{21}}{5} \)