この問題のポイント
解が代入できる場合は解を代入して新たにできた連立方程式を解いていく!
代入できない場合はいったんその連立方程式をxやyについてまず解くことから始める!
(1)連立方程式で使われている係数($x$や$y$などについている数字)を求める問題では、ふつう解がいくらかというのが与えられているはずです。その場合はその解を$x$や$y$に代入してみましょう。
ただし、この問題では「(i)の解$x$,$y$にそれぞれ1を加えたものが(ii)の解」という条件しか書いてありません。そこで、代入ができるようにするために、いったん(i)の解を\( x = m \),\( y = n \)とおきます。すると、(ii)の解は\( x = m+1 \),\( y = n+1 \)となりますね。これらを代入しましょう。すると(i)は、
\(\left\{\begin{array}{l}9bm-2n = -6a …①\\5m+3n = -1 …②\end{array}\right.\)
そして(ii)は、
\(\left\{\begin{array}{l}3(m+1)+4(n+1) = 13\\a(m+1)-3b(n+1) = -6\end{array}\right.\)
整理すると、
\(\left\{\begin{array}{l}3m+3+4n+4 = 13\\am+a-3bn-3b = -6\end{array}\right.\)
\(\left\{\begin{array}{l}3m+4n = 6 …③\\am-3bn = -6-a+3b …④\end{array}\right.\)
このようになります。ここで、②と③を組み合わせると、$m$と$n$だけの連立方程式になりますね?ということは、これを解くと$m$と$n$が求まりますから、解いてみましょう。
\(\left\{\begin{array}{l}5m+3n = -1\\3m+4n = 6\end{array}\right.\)
\(\left\{\begin{array}{l}20m+12n = -4 …A\\9m+12n = 18 …B\end{array}\right.\)
\( A-B \)より、\( 11m = -22 \)
よって、\( m = -2 \)
これを\( 5m+3n = -1 \)に代入すると、\( 5×(-2)+3n = -1 \)
\( -10+3n = -1 \)
\( 3n = 9 \)より、\( n = 3 \)
これを①と④に代入すると、①は、
\( 9b×(-2)-2×3 = -6a \)
\( -18b-6 = -6a \)
\( 6a-18b = 6 \)
④は、
\( a×(-2)-3b×3 = -6-a+3b \)
\( -2a+a-9b-3b = -6 \)
\( -a-12b = -6 \)
この2つの式を連立方程式にして解くと、
\(\left\{\begin{array}{l}6a-18b = 6\\-a-12b = -6\end{array}\right.\)
\(\left\{\begin{array}{l}6a-18b = 6 …C\\-6a-72b = -36 …D\end{array}\right.\)
\( C+D \)より、\( -90b = -30 \)
\( \displaystyle b = \frac{1}{3} \)
これを$C$に代入すると、
\( \displaystyle 6a-18×\frac{1}{3} = 6 \)
\( 6a-6 = 6 \)
\( 6a = 12 \)
\( a = 2 \)
これで$a$,$b$の値が求まりました。
(2)この問題の1番目の連立方程式をⅠ、2番目の連立方程式をⅡとおきます。解についての具体的な数が書いているわけではないので、(1)と同じようにⅠの解を\( x = m \),\( y = n \)とおいてみましょう。すると、Ⅱの解は\( x = n \),\( y = m \)となります。Ⅰは代入すると、
\(\left\{\begin{array}{l}3m+4n = 2 …⑤\\am+bn = 1 …⑥\end{array}\right.\)
となります。Ⅱは、
\(\left\{\begin{array}{l}3n+m = -1 …⑦\\an-bm = 1 …⑧\end{array}\right.\)
⑤と⑦を組み合わせると、$m$と$n$だけの連立方程式になりますから、さっきと同じように$m$と$n$が求まるはずです。求めていくと、
\(\left\{\begin{array}{l}3m+4n = 2\\m+3n = -1\end{array}\right.\)
\(\left\{\begin{array}{l}3m+4n = 2 …E\\3m+9n = -3 …F\end{array}\right.\)
\( E-F \)より、\( -5n = 5 \)
よって、\( n = -1 \)
これを\( 3n+m = -1 \)に代入すると、\( 3×(-1)+m = -1 \)
\( -3+m = -1 \)より、\( m = 2 \)
これを⑥と⑧に代入すると、⑥は、
\( 2a-b = 1 \)
⑧は、
\( -a-2b = 1 \)
この2つの式を連立方程式にして解くと、
\(\left\{\begin{array}{l}2a-b = 1\\-a-2b = 1\end{array}\right.\)
\(\left\{\begin{array}{l}2a-b = 1 …G\\-2a-4b = 2 …H\end{array}\right.\)
\( G+H \)より、\( -5b = 3 \)
\( \displaystyle b = -\frac{3}{5} \)
これを$G$に代入すると、
\( \displaystyle 2a+\frac{3}{5} = 1 \)
\( 10a+3 = 5 \)
\( 10a = 2 \)
\( \displaystyle a = \frac{1}{5} \)
(3)この問題では、解の具体的な数が書かれていないのは今までと同じですが、\( x = m \),\( y = n \)とおいてもそれ以上の考えが進みません($m$や$n$だけで正の整数をあらわす何かの式をつくれないので)。この場合は代入をしても問題を解く手がかりになりませんので、いったんこの連立方程式を$x$ = …とか$y$ = …のようにふつうに解いてみましょう。
\(\left\{\begin{array}{l}3x-2y = 17\\ax-4y = 45\end{array}\right.\)
\(\left\{\begin{array}{l}6x-4y = 34 …I\\ax-4y = 45 …J\end{array}\right.\)
\( I-J \)より、\( (6-a)x = -11 \)
\( \displaystyle x = -\frac{11}{6-a} …K \)
これを見ると$x$の解にマイナスの記号がついていますが、$x$は正の整数だったはずですから、$6-a$は負の数にならないといけませんね。そして、整数ということは答えが分数のままになってはダメなはずですから、$6-a$は-1か-11のどちらかでないと正の整数にならないですね?
-1か-11のどちらになるかは、まだわかりませんから、その2つの場合両方について考えていきます。
[1]\( 6-a = -1 \)のとき
つまり、\( a = 7 \)のとき
$K$にそれを代入すると、
\( \displaystyle x = -\frac{11}{6-7} = -\frac{11}{-1} = 11 \)
この値を\( 3x-2y = 17 \)に代入すると、
\( 3×11-2y = 17 \)
\( 33-2y = 17 \)
\( -2y = -16 \)
\( y = 8 \)
\( x = 11 \),\( y = 8 \)は両方とも正の整数ですから、問題文の条件に合致していますね。
[1]\( 6-a = -11 \)のとき
つまり、\( a = 17 \)のとき
$K$にそれを代入すると、
\( \displaystyle x = -\frac{11}{6-17} = -\frac{11}{-11} = 1 \)
この値を\( 3x-2y = 17 \)に代入すると、
\( 3×1-2y = 17 \)
\( 3-2y = 17 \)
\( -2y = 14 \)
\( y = -7 \)
でも、\( x = 1 \),\( y = -7 \)だと$y$が正の整数になりません。なので、[2]の場合になることはありえないということになるので、答えは[1]の場合のみとなります。
答え.
(1)\( \displaystyle a = 2,b = \frac{1}{3} \)
(2)\( \displaystyle a = \frac{1}{5},b = -\frac{3}{5} \)
(3)(1)…11 (2)…8 (3)…7