この問題のポイント
二等辺三角形であることの証明で多いのは、2つの等しい角を見つけて「底角が等しい」ことを導くパターン!
「二等辺三角形であることを証明しなさい」という問題でよく利用する定理に、こういうものがあります。
1.二等辺三角形とは2辺が等しい三角形である。
2.二等辺三角形では、底角が等しい。
逆に、次のうちどれかが成り立つ三角形は二等辺三角形である。
1.2つの辺が等しい。
2.2つの角が等しい。
2つの辺が等しいなら二等辺三角形といえることについては、納得がいきやすいと思いますが、2つの角が等しい三角形も、それらを底角にすればきちんと二等辺三角形となりますね。
さて、今回の問題では、図を見た感じでは、$AB$と$AC$が等しい二等辺三角形になってそうですね?そこで\( AB = AC \)を証明できればいいのですが、合同になりそうな三角形がなさそうなので、辺の長さについて証明していくのは難しそうです。
そこで、$∠BAC$と$∠BCA$の2つの角が等しいことを証明して、二等辺三角形であることを証明するという作戦に切り替えましょう。そこで、まず、図の中で等しい角がないかを考えてみると、\( EC = EF \)なんですから、$△CEF$は二等辺三角形といえます。ということは、底角は等しいんですから、$∠ECF$と$∠EFC$は等しいです。
ただ、この図からはこれ以上は等しい角を見つけることができません。その場合は、等しいと証明している角が、それぞれどの他の図形の一部となっているかという点から考えるようにしてみましょう。
たとえば、$∠BAC$は$△ABC$の一部ですが、同時に$△ADF$の一部にもなってますね?ということは、$△ADF$の内角の和は180°より、
\( ∠BAC = 180°-∠ADF-∠EFC \)
$∠ADF$ = 90°ですから、結局、
$∠BAC$
\( = 180°-90°-∠EFC = 90°-∠EFC \)
一方、$∠BCA$は直線$AF$上にある一部の角になっています。直線の角度は180°ですから、
\( ∠BCA = 180°-∠BCE-∠ECF \)
これについても、$∠BCE$ = 90°なんですから、
$∠BCA$
\( = 180°-90°-∠ECF = 90°-∠ECF \)
ただし、さっき$△CEF$は二等辺三角形で$∠ECF$と$∠EFC$は等しいと言いましたから、結局、\( 90°-∠EFC \)も\( 90°-∠ECF \)も同じだということになりますね。これで2つの角が等しいことが示せました。
解答のチェックポイント
- 「2つの角が等しい」ということを示して二等辺三角形であることを証明しているか
- $△CEF$が二等辺三角形であることを利用しているか
- $∠BAC$は90°から$∠EFC$を、$∠BCA$は90°から$∠ECF$をひいた角であることを利用しているか
答え(解答例).
\( EC = EF \)より、$△CEF$は二等辺三角形なので、$∠ECF$ = $∠EFC$…①
$∠BAC$において、$∠ADF$ = 90°なので、
$∠BAC$
\( = 180°-∠ADF-∠EFC \)
\( = 180°-90°-∠EFC = 90°-∠EFC \)…②
$∠BCA$において、$∠BCE$ = 90°なので、
$∠BCA$
\( = 180°-∠BCE-∠ECF \)
\( = 180°-90°-∠ECF = 90°-∠ECF \)…③
①,②,③より、$∠BAC$ = $∠BCA$
$△ABC$で底角が等しいので、$△ABC$は二等辺三角形である。