この問題のポイント
絶対値の差が小さいもの、大きいもの両パターンの具体的な数をあてはめて考えよう!
まずは正負の数の計算(足し算、引き算、かけ算、割り算)について、基本的なルールを確認しましょう。
足し算・引き算…
正の数どうし、負の数どうしの場合は、絶対値の和に符号をつける
符号が異なるものどうしの場合は、絶対値の差を求め、それに絶対値が大きかったほうの符号をつける
※引き算は、足し算になおしてから計算する
(○-(+△) = ○+(-△) ○-(-△) = ○+(+△))
かけ算・割り算…
負の数が偶数個(2個、4個、6個、…)ならば符号は+
負の数が奇数個(1個、3個、5個、…)ならば符号は-
あとは絶対値どうしで計算するだけ
※割り算は、逆数にしてかけ算する
今回の問題では、$a$とか$b$のように文字が使われています。文字だけでは考えるのが難しいですから、この文字のところに具体的な数字を入れて考えてみましょう。
このとき、絶対値の差がある程度大きくなるような数を入れるのがポイントです。足し算や引き算では、絶対値によって計算結果の符号がちがいますから、この部分についてしっかり考えるためです。
(1)「$a$が正の数で$b$が負の数」「$a$の絶対値より、$b$の絶対値の方が大きい」とあるので、たとえば、この組み合わせの数を入れて考えてみます。
絶対値の差がある程度大きい
…\( a = 10 \)、\( b = -100 \)
絶対値の差がある程度小さい
…\( a = 5 \)、\( b = -10 \)
これを使って考えると、下に示したパターンで負の数になることがあります。
ア…そもそも正の数と負の数のかけ算なので、絶対負の数になります
イ…\( a = 10 \)、\( b = -100 \)だと、
\( a+b = 10+(-100) = -90 \)
エ…\( a = 10 \)、\( b = -100 \)だと、
\( -a+b = -10+(-100) = -110 \)
オ…\( a = 10 \)、\( b = -100 \)だと、
\( a^2-b^2 \)
\( = 10^2-(-100)^2 = 100-10000 = -9900 \)
でも、ウとカについては、さっきの2つの組み合わせの数どちらを使って考えても、ちゃんと正の数になります。よって、ウとカが正解となります。
参考
なぜ、ウとカはちゃんと正の数になるんでしょうか?
ウについて考えてみましょう。$a$は正の数なので○、$b$は負の数なので-□とあらわしましょう。すると、
$a-b$ = ○-(-□) = ○+(+□)
となります。ということは、正の数どうしの足し算といっしょということになるから、必ず正の数になるわけですね。
カについてはどうでしょう?
$-a-b$ = -○-(-□) = -○+(+□)
です。さっきのように、正の数どうしの計算ではないですから、正の数になるかもしれないし、負の数になるかもしれないという感じになっています。
この計算では、どっちの絶対値が大きいかで、正の数になるか負の数になるかが決まります。でも、この問題では、$b$の方が絶対値が大きいんですから、□のほうが大きい数になります。だから、計算すると正の数になります。
(2)「$a$が正の数,$b$が負の数」という条件は(1)と同じですが、どっちの絶対値のほうが大きいかということは書いていません。ですから、下のように、$a$の絶対値のほうが大きいパターンと、$b$の絶対値のほうが大きいパターンを考えておく必要があります。
絶対値の差がある程度大きい
…\( a = 10 \)、\( b = -100 \)と、\( a = 100 \)、\( b = -10 \)
絶対値の差がある程度小さい
…\( a = 5 \)、\( b = -10 \)と、\( a = 10 \)、\( b = -5 \)
さっきのように考えると、
ア…\( a = 10 \)、\( b = -100 \)だと、
\( a+b = 10+(-100) = -90 \)
ウ…そもそも正の数と負の数のかけ算なので、絶対負の数になります
エ…そもそも正の数と負の数の割り算なので、絶対負の数になります
イについては、どの組み合わせの数を使っても、ちゃんと正の数になりますから、これが答えです。
参考
なぜ、イがちゃんと正の数になるかというのは、(1)と同じように考えれば説明がつきますね?$a$ = ○、$b$ = -□とすると、
$a-b$ = ○-(-□) = ○+(+□)
となるからです。
答え.
(1) ウ,カ
(2) ㋑