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この問題でおさえておきたいこと

有機物の化学反応をもとに炭素・水素・酸素の原子数の比を求める方法をおさえよう!

解答
(1)4.0g
(2)1.5g
(3)$\ce{2C2H6 + 7O2 -> 4CO2 + 6H2O}$
(4)27g
(5)エ
(6)ア

解説

(1)メタンが関係している実験2において、メタン4.0gを完全燃焼させると、水と二酸化炭素が合計9.0+11 = 20g発生しています。化学反応では、反応前と反応後では総重量は変化しないという質量保存の法則がありましたから、メタンの完全燃焼で必要とされた酸素は20-4.0 = 16gです。

メタン4.0gの反応に酸素が16g必要だったわけですから、メタン1.0gについては16÷4 = 4.0gの酸素が必要ということになります。

(2)エタンの化学式は$\ce{C2H6}$なので、炭素と水素だけでできています。ということは、エタンの中に炭素が何gあるかわかれば、それ以外の残りは水素になるということになります。なので、炭素が何gあるのかを考えてみましょう。

その炭素が関係する実験1にて、炭素3.0gを完全燃焼させると二酸化炭素11gが発生しました。エタンを完全燃焼させた実験3では、二酸化炭素は22g発生しています。発生した二酸化炭素が2倍になっていますから、実験3で燃焼された炭素は実験1の2倍、つまり3.0×2 = 6.0gだと求まります。

これがエタンに含まれている炭素の量ということになります。炭素の量が求まりましたから、水素は7.5-6.0 = 1.5gとわかります。

(3)エタンを燃焼させる、つまり酸素と結合させることで、水と二酸化炭素が得られるので、まずいったんこのように化学反応式を書くことができます。
$\ce{C2H6 + O2 -> CO2 + H2O}$

ここで$\ce{C2H6}$の係数を1、つまり分子1個とおくと、炭素原子が2個、水素原子が6個あることになります。化学反応式の左側と右側でそれぞれの原子の個数は等しいので、化学反応式の右側の$\ce{CO2}$は2個,$\ce{H2O}$は3個できることになるので、
$\ce{C2H6 + O2 -> 2CO2 + 3H2O}$

すると、化学反応式の右側にある酸素原子は$\ce{2CO2}$の4個と$\ce{3H2O}$の3個で合計7個だから、化学反応式の左側にある$\ce{O2}$は\( \displaystyle \frac{7}{2} \)個という形にしないと、左右の原子数が等しくなりません。すると、化学反応式は、
$\ce{\displaystyle C2H6 + \frac{7}{2}O2 -> 2CO2 + 3H2O}$

しかし、分子が\( \displaystyle \frac{7}{2} \)個あるなど分数の数で存在することはありませんから、分母をはらうために、この式にあるそれぞれの分子を2倍すると、このような化学反応式になり、これが正解となります。
$\ce{2C2H6 + 7O2 -> 4CO2 + 6H2O}$

(4)エタノールを燃焼させる、つまり酸素と結合させたときの化学反応式は、
$\ce{C2H6O + 3O2 -> 2CO2 + 3H2O}$

そして、さっきの(3)で求めたとおり、エタンを燃焼させたときの化学反応式は、
$\ce{2C2H6 + 7O2 -> 4CO2 + 6H2O}$

この2つの式を比べてみると、得られる二酸化炭素と水の分子の数の比は、どちらも2:3で等しいです。
実験3のエタン7.5gから二酸化炭素が22g発生したのに対し、実験4のエタノール23gから二酸化炭素は44gと2倍の量が発生していますね?

実験3と実験4両方とも二酸化炭素と水の分子の数の比は同じですから、水についてもエタノールからはエタンの2倍の量が発生することになりますね?よって、求める水の質量は、
13.5×2 = 27g

(5)化学式がわかるには、炭素原子や水素原子が何個あるかがわからないといけませんが、問題文には、それぞれの物質が何gあるかしか示されていません。炭素原子や水素原子は小さすぎるので1個あたり何gかを計算することはできませんから、質量を比でなおすとどうなるかを考えることから始めましょう。

さっきの(2)で実験3のエタンには1.5gの水素があると求めましたが、これはすべて化学反応で水に変わっています。よって、実験3の水素13.5gのうち1.5gが水素、13.5-1.5 = 12gが酸素ということになります。ただし、水は$\ce{H2O}$で、水素原子が2個、酸素原子が1個だから、水素原子と酸素原子の質量比は、

$\ce{\displaystyle H:O = \frac{1.5}{2}:12}$
= 1.5:24
= 15:240
= 1:16

また、実験1より、二酸化炭素11gのうち3.0gが炭素、11-3.0 = 8.0gが酸素ということになります。ただし、二酸化炭素は$\ce{CO2}$で、炭素原子が1個、酸素原子が2個という形なので、炭素原子と酸素原子の質量比は、

$\ce{\displaystyle C:O = 3:\frac{8}{2}}$
= 3:4
= 12:16

よって、$\ce{H}$:$\ce{C}$:$\ce{O}$ = 1:12:16とわかりました。では、次に実験5でできた物質のうち、水素や炭素は何gあるのかをつかみましょう。実験5では、水は5.4g発生しました。実験3では13.5gの水のうち1.5gが水素でしたから、同じ割合で水素が含まれているとすれば、実験5の水素は、
\( \displaystyle 5.4×\frac{1.5}{13.5} \) = 0.6g

実験1では11gの二酸化炭素のうち3.0gが炭素でしたから、同じ割合で炭素が含まれているとすれば、実験5の二酸化炭素11gのうち炭素は、
\( \displaystyle 11×\frac{3}{11} \) = 3.0g

この重さを、さっき求めた1個あたりの炭素原子や水素原子の質量比を使って割り算すれば、炭素原子や水素原子の個数比がわかります。
$\ce{\displaystyle H:C = \frac{0.6}{1}:\frac{3.0}{12}}$
= 7.2:3.0
= 72:30
= 12:5

つまり、有機物Aには炭素原子が5個、水素原子が12個あるということになるので、$\ce{C5H_{12}}$という化学式のエが正解となります。

このように、有機物の化学式を考える問題では、①与えられた化学反応から炭素や水素の原子の質量比を求める、②炭素や水素が実際に含まれている質量を求める、③質量比を使って割り算して炭素原子や水素原子の個数を求めるという手順で考えます。高校化学でも使える方法なので、特に難関高校を受験するという人はぜひマスターしましょう。

(6)さっきの(5)と同じ方法で考えていきましょう。実験6の水1.8gのうち、水素は、
\( \displaystyle 1.8×\frac{1.5}{13.5} \) = 0.2g
実験6の二酸化炭素4.4gのうち、炭素は、
\( \displaystyle 4.4×\frac{3}{11} \) = 1.2g

有機物Bではこのほかに酸素も含まれていますから、この点だけ注意が必要ですね。有機物Bの質量は3.0gなので、有機物Bに含まれる酸素は、
3.0-(0.2+1.2) = 1.6g

よって、炭素原子、水素原子、酸素原子の個数比は、
$\ce{\displaystyle H:C:O = \frac{0.2}{1}:\frac{1.2}{12}:\frac{1.6}{16}}$
= 0.2:0.1:0.1
= 2:1:1

つまり、有機物Bには炭素原子が1個、水素原子が2個、酸素原子が1個あるということになるので、$\ce{CH2O}$という化学式のアが正解となります。