この問題でおさえておきたいこと
磁石から出る磁力線の向きを確認しよう!
直線の導線やコイルに電流を流したときにどんな磁界ができるかを理解する!
解答
(1)
ウ
(2)
① A…イ B…エ
② B
③ ウ
(3)
ウ<イ<ア
重要事項のまとめ
・磁石がつくる磁界
磁石について、N極とN極やS極とS極どうしではしりぞけあい、N極とS極どうしでは引き合う力がはたらくが、このような磁石の力を磁力といい、磁力のはたらく空間のことを磁界という。
磁界の向きは方位磁針をおいたときにN極が指す向きのことであり、それを線で表したものを磁力線という。方位磁針をおいたときにN極が指す向きをあらわすことになるので、右の図のように、磁力線はすべてN極から出てS極に入る形になる。また、磁力線が密になっているほど磁界が強い(=磁力が強い)。
・まっすぐな導線に流れる電流がつくる磁界
電流も磁界をつくることができる。右の図のように、まっすぐな導線に電流を流すと、円状の磁界が発生する。上から下へ電流を流すと、左回りの円の磁界になる。ちょうど、ねじを回すとねじが進んでいく方向との関係と同じなので、この法則を右ねじの法則という。
導線に流す電流が大きくなるほど、磁界が強くなり、また、導線に近いところほど磁界が強くなる。
・コイルに流れる電流がつくる磁界
コイルに電流を流すと、右の図のような磁界が発生する。右手の親指以外の4本を電流の向きに合わせると、右手の親指を立てた方向が磁界の向きになる。この法則を右手の法則という。
解説
(1)「重要事項のまとめ」にあるとおり、磁力線はN極から出てS極に入る形になるので、右から左へと矢印が描けることになります。これが方位磁針をおいたときにN極が指す向きとなるなんですから、その方向にN極が向いているウが正解となります。
(2)① 点Aの近辺では磁力線が右から左へと矢印が描かれています。よって、方位磁針のN極は左方向を向くはずなのでイの方向を向きます。一方、点Bでは磁力線は左から右へと矢印が描かれていますから、方位磁針のN極は右方向、つまりエの方向を向きます。
② 「重要事項のまとめ」にもあるとおり、磁力線が密になっているほど磁界が強いわけなので、そのようになっている点Bの磁界が最も強いです。
③ 「重要事項のまとめ」にて説明されている右手の法則を利用すれば、コイルの磁界は右向きになっているので、電流の向きはbの向きとわかります。
そして、コイルの磁界を強くする方法としては、鉄しんを入れる、流す電流を大きくする、巻数を多くするという方法があります。以上より、ウが正しい文といえます。
(3)まっすぐな電線に電流を流したわけなので磁界が発生します。「重要事項のまとめ」にある右ねじの法則を使って考えると、2本の電線とア,イ,ウの3つの点、そして2本の電線に発生した磁界の状況は、上から見た図だとこのような状況になります。黒線で描かれた円が電線aで発生した磁界、青線で描かれた円が電線bで発生した磁界です。
たとえば、点ウについて、黒線と青線の両方の磁界の影響を受けますが、両方の電線から2.0cmと同じ距離だけ離れています。よって、黒線と青線それぞれの磁界から受ける強さは同じです。しかし、点ウでは黒線の磁界と青線の磁界の向きは反対になるので、結果として打ち消されることになり、磁界は0となります。
点イについても、黒線の磁界と青線の磁界の向きは反対なので、磁界の打ち消し合いが起こります。ただ、点イは電線aのほうに近いので、黒線の磁界のほうが強いです。よって、青線の磁界の影響を多少は受けますが、黒線の磁界が点ウより強く残ることになります。
一方、点アの位置だと黒線と青線の磁界の向きは同じになります。なので、点アでは磁界の打ち消し合いは起こらず、より強まることになります。点アは電線bから一番遠いので青線の磁界はかなり弱いですが、それでも磁界はその分強まったことになるので、3つの点のなかで一番強い磁界があることになります。