この問題でおさえておきたいこと
位置エネルギーは重力×高さで求まる!
位置エネルギーと運動エネルギーの和(=力学的エネルギー)は外部から力を受けないかぎり一定!
解答
(1)H点
(2)3倍
(3)①…カ ②…ク
(4)\( \displaystyle \frac{1}{6} \)倍
重要事項のまとめ
・エネルギーとは
高い位置にある物体や運動している物体が、ほかの物体を動かしたり、変形させたりする能力のこと。
単位はJ(ジュール)を使う。
・位置エネルギー
高い位置にある物体がもつエネルギーを位置エネルギーという。
位置エネルギーは重さ(N)×高さ(m)で求まる(=物体の重さにも高さにも比例する)。
・運動エネルギー
運動している物体がもつエネルギーを運動エネルギーという。
運動エネルギーは重さに比例し、速さの2乗に比例する。
・力学的エネルギー保存の法則
位置エネルギーと運動エネルギーの和を力学的エネルギーという。
力学的エネルギーは外部から力を受けないかぎり必ず一定であり、これを力学的エネルギー保存の法則という。
解説
(1)「重要事項のまとめ」にあるとおり、位置エネルギーは物体の重さと高さによって、値が決まります。この問題については、A点からH点まで同じ物体が転がりますから、どの地点でも重さは一定です。よって、位置エネルギーが等しいところは、高さが等しいところを探すということになります。
C点と同じ高さの点はH点だけなので、位置エネルギーがC点と同じなのはH点を通過するときです。
(2)運動エネルギーを考えるには速さがどれほどかということが必要になりますが、この問題文には速さについての説明がありません。その場合は、(力学的エネルギー)=(位置エネルギー)+(運動エネルギー)という関係を利用し、位置エネルギーを求めながら考えてみましょう。
物体の重さを$a$とし、C点の高さを1とします。すると、B点の高さは2,A点の高さは3とおけます。すると、それぞれの点における位置エネルギーはこのように求まります。
A点の位置エネルギー…\( a×3 = 3a \)
B点の位置エネルギー…\( a×2 = 2a \)
C点の位置エネルギー…\( a×1 = a \)
D点の位置エネルギー…\( a×0 = 0 \)
そして、A点では物体は静止しているので運動エネルギーは0ですから、A点での力学的エネルギーは\( 3a+0 = 3a \)です。ということは、それぞれの点での運動エネルギーは、
B点の運動エネルギー…\( 3a-2a = a \)
C点の運動エネルギー…\( 3a-a = 2a \)
D点の運動エネルギー…\( 3a-0 = 3a \)
これより、D点での運動エネルギーは、B点での運動エネルギーの3倍です。
(3)EF間では摩擦力がはたらきますから速さが落ちますので、運動エネルギーは減少します。そして、EF間では高さは変わりませんので、位置エネルギーは変化しません。よって、①の正解はカです。
FG間については摩擦力ははたらきませんし、空気の抵抗は考えなくてもよいので、速さが落ちることはありません。よって、運動エネルギーは変化しません。そして、FG間についても高さは変わりませんので、位置エネルギーは変化しません。よって、②の正解はクです。
(4)D点での運動エネルギーは(2)の解説にあるとおり、$3a$です。そして、摩擦力がはたらくEFを通った後にG点に来ますが、運動エネルギーは半分になっているので、G点での運動エネルギーは$1.5a$とおけます。
そして、H点に行くと、高さはC点と同じになります。ということは、H点とC点の位置エネルギーは同じですから、H点での位置エネルギーは(2)の解説より、$a$とおけます。位置エネルギーが増えてしまいますので、H点での運動エネルギーは\( 1.5a-a = 0.5a \)となります。
A点での位置エネルギーは(2)の解説より$3a$なので、H点での運動エネルギーは、
\( \displaystyle 0.5a÷3a = \frac{1}{6} \)倍です。