この問題でおさえておきたいこと
濃度の問題では「溶けている物質は何gか」「溶液全体の質量は何gか」を考えること!
何gが再結晶するかの問題のパターンもおさえよう!
解答
(1)イ,ウ (2)イ (3)ウ
重要事項のまとめ
・水溶液についての用語
- 溶質…溶けている物質
- 溶媒…溶かしている液体
- 溶液…溶媒に溶質を溶かしたもの
・質量パーセント濃度
溶質の質量(g) | ×100 |
溶液全体の質量(=溶質の質量+溶媒の質量)(g) |
・溶解度について
溶解度…
100gの水に溶かすことができる限界の質量
物質によって異なるが、一般的には水の温度が高くなるほどたくさん溶けるようになる
(塩化ナトリウム(食塩)などは水の温度が変化しても溶ける量はさほど変わらない)
飽和水溶液…
物質を溶解度まで溶かした水溶液
(=限界まで溶かしたのでこれ以上溶かすことはできない)
・再結晶
一度溶かした物質を再び結晶として取り出すこと
方法1:溶解度の差を利用し、高温の水に溶かしたものを冷やすことで溶けきれなくなった分を取り出す
方法2:加熱して水を蒸発させて取り出す
解説
(1)「重要事項のまとめ」の公式にあるように、濃度の問題では溶けている物質が何gか、水溶液全体では何gかがわからないと、公式を使うことができません。この2点を軸に考えていくようにしましょう。この問題では、ア~エまですべて、それを軸に考えていくと…
ア…
溶かす物質:10g
水溶液全体:10+100 = 110g
濃度:\( \displaystyle \frac{10}{110}×100 ≒ 9.09 \)%
イ…
溶かす物質:
10%の硝酸カリウム水溶液100gに含まれる硝酸カリウムは100×0.1 = 10g
20%の硝酸カリウム水溶液100gに含まれる硝酸カリウムは100×0.2 = 20g
なので、混合すると10+20 = 30g
水溶液全体:100+100 = 200g
濃度:\( \displaystyle \frac{30}{200}×100 = 15 \)%
ウ…
溶かす物質:
20%の硝酸カリウム水溶液100gに含まれる硝酸カリウムは100×0.2 = 20g
水溶液全体:水溶液100gに水をさらに加えたので、100+100 = 200g
濃度:\( \displaystyle \frac{20}{200}×100 = 10 \)%
エ…
溶かす物質:
10%の硝酸カリウム水溶液100gに含まれる硝酸カリウムは100×0.1 = 10g
そこに硝酸カリウム10gをさらに加えたので、10+10 = 20g
水溶液全体:水溶液100gに硝酸カリウム10gを追加したわけだから、100+10 = 110g
濃度:\( \displaystyle \frac{10}{110}×100 ≒ 9.09 \)%
よって、正しいのはイとウだとわかります。
(2)30℃のときの溶解度は45gです。実際に溶けているのは70gなので、70-45 = 25gが溶けきれずに出てきます。
ちなみに、85gという数値は50℃のときの溶解度を示しているだけで、実際はそこまで溶かしているわけではありません。ですから、この数値を計算に使う必要はありません。
(3)上ずみ液というのは、溶けきれなかった分が底に沈んだ状態の液体部分のことをいいます。ここでも、「溶けている物質が何gか」「水溶液全体では何gか」を軸に考えます。
その液体部分には、30℃で溶かすことのできる限界まで溶けているはずですから、溶けている物質は、溶解度である45g溶けているはずです。
一方、溶液全体ですが、100gの水に硝酸カリウムを溶かして水溶液を作ったはずですから、全体では100+45 = 145gとなります。
よって濃度は、\( \displaystyle \frac{45}{145}×100 ≒ 31.03 \)%
小数点以下を四捨五入すると、31%ですね。