この問題でおさえておきたいこと
H+とOH-の反応で水ができる中和の過程と、塩となるイオンの様子を確認しよう!
解答
(1)
ア 1 イ 2
ウ アルカリ エ ナトリウム
(2)
$\ce{H+ + OH- -> H2O}$
(3)
$\ce{NaCl}$
重要事項のまとめ
・酸性とアルカリ性
酸性…水素イオン($\ce{H+}$が含まれている)
アルカリ性…水酸化物イオン($\ce{OH-}$が含まれている)
中和…水素イオンと水酸化物イオンが反応しあって水になること
解説
(1)まず、この実験の様子を3回目の塩酸を加えるまでの過程を、イオンをつかいながら考えましょう。
塩酸を入れていない段階
水溶液中は、$\ce{Na+}$と$\ce{OH-}$のみ
↓
1回目の塩酸を加えたとき
$\ce{Na+}$―量は変わらず
$\ce{OH-}$―水素イオンとの中和で少し減る
$\ce{H+}$―水酸化物イオンとの中和でまったく残っていない
$\ce{Cl-}$―少しの量が加えられる
↓
2回目の塩酸を加えたとき
$\ce{Na+}$―量は変わらず
$\ce{OH-}$―水素イオンとの中和でさらに減る
$\ce{H+}$―水酸化物イオンとの中和でまったく残っていない
$\ce{Cl-}$―さらに量が増える
↓
3回目の塩酸を加えたとき…フェノールフタレイン液が無色に=中性になった
$\ce{Na+}$―量は変わらず
$\ce{OH-}$―水素イオンとの中和でなくなる
$\ce{H+}$―水酸化物イオンとの中和で残っていない
$\ce{Cl-}$―さらに量が増える
よって、2回目の塩酸を加え終わった段階では、まだ水溶液はアルカリ性で、含まれているイオンは、$\ce{Na+}$、$\ce{OH-}$、$\ce{Cl-}$の3種類ということになります。
そして、まだアルカリ性ということは、水酸化ナトリウム水溶液から作られるイオンの影響がまだ強いはずであり、中和で数が減ることもない$\ce{Na+}$が最も多いことになります。
(3)5回目の塩酸を入れ終わった際には、含まれているイオンは、$\ce{Na+}$、$\ce{H+}$、$\ce{Cl-}$の3つになっているはずです。よって、水分を蒸発させると、$\ce{Na+}$と$\ce{Cl-}$が結合して$\ce{NaCl}$(塩化ナトリウム)ができあがることになります。
このように、$\ce{H+}$と$\ce{OH-}$が結合して中和されているときに、酸とアルカリそれぞれの残ったイオン(たとえば今回の問題なら$\ce{Na+}$と$\ce{Cl-}$)が結びついてできる物質を塩(「えん」と読みます)といいます。