この問題のポイント
K殻、L殻、M殻に電子が何個存在できるかをつかみ、陽イオンと陰イオンができる仕組みを理解しよう!
(1)K殻には2個、L殻には8個、M殻には8個の電子が入る、つまり電子殻の最大容量ということになります。そして、一番外の電子殻にあと1~3個入ればちょうど最大容量になる原子が陰イオンになる原子となります。
その考えで、(ア)~(オ)の原子を見ていくと、
(ア)…K殻にはすでに最大容量の電子がある
(イ)…L殻にはあと7個電子が入る
(ウ)…L殻にはあと4個電子が入る
(エ)…M殻にはあと7個電子が入る
(オ)…M殻にはあと1個電子が入る
よって、(オ)の原子が一番陰イオンになりやすいといえます。(オ)には、全部で、2+8+7 = 17個の電子があります。
これはイオンではなく、ふつうの原子なので、電子と陽子の数は同じと思われるので、陽子も17個と考えられます。陽子の数は原子番号と同じなので、(オ)は原子番号17の$\ce{Cl}$(塩素)となります。
また、原子が1個電子を受け取って1価の陰イオンになるエネルギーを電子親和力といいますが、電子を放出して陽イオンになるエネルギーをイオン化エネルギーといいます。
(2)原子の中心にある原子核には、陽子と中性子があり、陽子と中性子の数の合計を質量数といいます。
さっきの(1)での説明にもあったとおり、陽子と電子の数は同じなので、(ウ)の陽子の数は、2+4 = 6となります。
質量数は13とあるので、中性子の数は 13-6 = 7とわかりますね。
(3)(エ)はM殻に電子が1個しかないので、イオンになるにはその1個を手放したほうが、7個電子をもらうより早いですね。このように、一番外の電子殻の電子を1~3個手放せば早くイオンになれる原子が陽イオンになる原子です。
電子を手放せば、(エ)の電子は10個となります。原子番号が10の原子は$\ce{Ne}$(ネオン)です。この価電子を考えればいいということになりますね。
価電子というのは、一番外の電子殻にある電子で、イオンになるためなどの反応にかかわる電子のことです。しかし、$\ce{Ne}$は周期表で一番右側にある希ガスの原子です。希ガスは、電子配置が非常に安定していてイオンになることはありません。そのため、希ガスの価電子の数は0となります。よって、答えは0となります。
(4)(エ)は、もともと電子が 2+8+1 = 11なので、これは原子番号11である$\ce{Na}$(ナトリウム)だと判断できます。そして一方、(オ)は(1)で見たとおり、$\ce{Cl}$でした。
$\ce{Na}$は、イオンになると$\ce{Na+}$に、$\ce{Cl}$は、イオンになると$\ce{Cl-}$になりますので、この2つはイオン結合をします。それによってできるのは、$\ce{NaCl}$、すなわち塩化ナトリウムですね。
答え.
(1)陰イオンになりやすいのは$\ce{Cl}$、エネルギーの名称は電子親和力
(2)7
(3)0
(4)$\ce{NaCl}$