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この問題のポイント

原料から炭酸水素ナトリウムをつくり、そこから炭酸ナトリウムをつくるという過程と反応式をおさえよう!

(1)アンモニアソーダ法とは、$\ce{NH3}$を飽和食塩水に溶かして、$\ce{CO2}$($\ce{H2CO3}$)と$\ce{NH3}$を中和させて$\ce{NaHCO3}$をつくり、これを加熱分解して$\ce{Na2CO3}$にする方法のことで、ソルベーが開発しました。

化学反応式の説明とてらしあわせながら読むと、どの空欄に何の化学式が入るかがわかるはずです。

(2)①まず、$\ce{CO2}$が$\ce{H2O}$に溶けて$\ce{H2CO3}$になり、それが$\ce{NH3}$と中和します。すると、陽イオンと陰イオンに分かれるので、

$\ce{NH3 + CO2 + H2O -> NH4+ + HCO3- }$

となります。そこに、もう一つの原料である食塩水($\ce{NaCl}$)を両辺に加えると、食塩水なので、$\ce{Na+}$と$\ce{Cl-}$に分かれているので、

\( \small{\ce{NaCl + NH3 + CO2 + H2O -> NH4Cl + NaHCO3 }} \)

という反応式になります。これで、①の反応式が完成です。

②$\ce{NaHCO3}$を熱分解して$\ce{Na2CO3}$を作る際に、$\ce{CO2}$が発生します。また、$\ce{NaHCO3}$の$\ce{H}$原子は、酸素と結びついて$\ce{H2O}$となります。
すなわち、熱分解してできるのは、$\ce{Na2CO3}$,$\ce{CO2}$,$\ce{H2O}$の3つです。そして、それを化学反応式にするので、係数も合わせていくと

$\ce{2NaHCO3 -> Na2CO3 + H2O + CO2 }$

ちなみに、ここで発生した$\ce{CO2}$は、リサイクルして、アンモニアソーダ法の原料としてまた使うことができるのです。

(3)いきなりキログラムを求めるのは難しそうですから、化学でよく使われるモル数を使って考えることにしましょう。すると、$\ce{Na}$に注目すると、(2)でつくった反応式より、$\ce{NaCl}$のモル数は、$\ce{Na2CO3}$のモル数の2倍必要であることがわかります。

問題文では、炭酸ナトリウムの質量が与えられていますから、それをモル数に置き換えてみましょう。$\ce{Na2CO3}$の物質量は、
23×2+12+16×3 = 106
そして、実際は0.53×1000 = 530gあるのですから、
530÷106 = 5molあるわけです。

ということは、必要な$\ce{NaCl}$は10molのはずです。$\ce{NaCl}$の物質量は、23+35.5 = 58.5なので、必要な$\ce{NaCl}$を$x$グラムとすると、
\( \displaystyle x×\frac{20}{100}×\frac{1}{58.5} = 10 \)
解くと、\( x = 2925 \)

2925gと求まりましたが、問題文では、何kgかと聞かれているので、答えは、2.925kgですね。

答え.
(1)

$\ce{Na2CO3}$

$\ce{NaHCO3}$

$\ce{NH4Cl}$

ソルベー
(2)

\( \small{\ce{NaCl + NH3 + CO2 + H2O -> NH4Cl + NaHCO3 }} \)

$\ce{2NaHCO3 -> Na2CO3 + H2O + CO2 }$
(3)
2.925kg