この問題のポイント
はしごや棒を立てかけた問題では、水平方向と鉛直方向の合力が0ということと、力のモーメントの和が0ということを利用しよう!
$g$ = 9.8m/s2,$m$ = 2.0kg,$l$ = 2.0mとします。
![高校 物理 問題演習 最大摩擦力の図(解答)](masaturyokuans.gif)
(1)点$B$から受ける静止摩擦力を$F$とすると、棒には右図のような力がはたらきます。棒は動いておらず、つりあってるわけですから、次の3つの条件が成り立ってることになります。
Ⅰ 水平方向の合力が0である
水平方向にはたらく力、今回の問題なら$N_A$と$F$ですね。これらのどちらかのほうが強かったら、棒はその力の方向に倒れちゃいます。実際は倒れてないということは、
\( N_A = F \)…①
Ⅱ 鉛直方向の合力が0である
鉛直方向にはたらく力は今回の問題なら$N_B$と$mg$です。これもさっきと同じように考えれば、
\( N_B = mg \)…②
Ⅲ 力のモーメントの和が0である
壁や床を無いものとみなして棒だけ切り取ってみると、この棒が倒れる様子は、棒が回転するときの運動の様子とそっくりになります。回転運動を考えるときに欠かせないのがモーメントですが、棒は実際は倒れてないので、モーメントの和は0になるはずです。
点$A$、棒の中心、点$B$のうち、一番矢印、つまり力を出しているのは点$B$ですから、点$B$のまわりで力のモーメントを計算しましょう。このように矢印が一番多く出ている点のまわりで計算すると、計算で使う力の個数が少なくなり、解きやすくなります。
ここでは、点$B$のまわりで考えたら、計算に使うのは$N_A$と$mg$だけになります。式を立てると、
\( \displaystyle mg×\frac{1}{2}l\cos60°-N_A×l\sin60° = 0 \)…③
ここで②より、
\( N_B = mg \) = 2.0×9.8 = 19.6 ≒ 20N
となりますね。
そして、$N_A$については、③を使えば求まりそうです。
\( \displaystyle N_A×l\sin60° = mg×\frac{1}{2}l\cos60° \)
\( \displaystyle N_A×\sin60° = mg×\frac{1}{2}\cos60° \)
両辺を\( \sin60° \)で割ると、
\( \displaystyle N_A = \frac{mg}{2\tan60°} \)
\( \displaystyle = \frac{2.0×9.8}{2\sqrt{3}} \)
\( \displaystyle = \frac{9.8}{\sqrt{3}} \)
\( \displaystyle = \frac{9.8\sqrt{3}}{3} \)
\( \displaystyle ≒ \frac{9.8×1.73}{3} \)
これを計算すると、近似値は5.65となりますが、小数第2位を四捨五入しますから、5.7となりますね。
(2)45°ですべりだす直前のとき、$B$からの静止摩擦力が最大摩擦力$μN_B$になると考えればいいです。すると、①の式はこう書き換えたらいいということになります。
\( N_A = μN_B \)…④
②の式は変わりません。そして、③の式では60°を45°にすればいいのですから、
\( \displaystyle mg×\frac{1}{2}l\cos45°-N_A×l\sin45° = 0 \)
そして、さっきと同じように計算していけば、
\( \displaystyle N_A = \frac{mg}{2\tan45°} \)
\( \displaystyle = \frac{mg}{2×1} \)
\( \displaystyle = \frac{mg}{2} \)…⑤
②、④、⑤の3つより、
\( \displaystyle μmg = \frac{mg}{2} \)
両辺を$mg$でわると、\( \displaystyle μ = \frac{1}{2} = 0.50 \)
答え. (1)$N_A$ = 5.7N,$N_B$ = 19.6N (2)0.50