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この問題のポイント

弦の長さを変えた条件で、振動数を求める問題があれば、弦の固有振動数を求める公式を利用してみよう!

この問題では、弦のある部分を指でおさえているため、弦の長さが変わってしまっています。このような問題で、振動数を考えるときに、弦の固有振動数の公式を使うことを考えましょう。

長さ$l$(m)の弦で腹が$n$個の定常波において、弦を伝わる波の速さを$v$(m/s)とすると、振動数$f$(Hz)は、

\( \displaystyle f = \frac{nv}{2l} \)

(1)弦の長さの\( \displaystyle \frac{1}{4} \)のところでおさえ、その長いほうを使うので、弦の長さは$l$の\( \displaystyle \frac{3}{4} \)と考えましょう。このときの音の振動数$f'$は、この長さの弦の基本振動数に等しいですね。

この$f'$の弦の音と440Hzのおんさを同時に鳴らしたとき、毎秒4回のうなりが出て、弦の音のほうが低い音ですから、
$f'$ = 440-4 = 436Hz

よって、$f'$ = 436Hzということと、弦がもとの長さ$l$のときの基本振動数の2点は、上の公式を使ってあらわすと、
\( \displaystyle 436 = v÷\left(2×\frac{3}{4}l\right) \)…①
\( f = v÷2l \)…②

①の式の\( \displaystyle \frac{3}{4} \)だけが消えれば、右辺は②と同じになりますから、①の両辺に\( \displaystyle \frac{3}{4} \)をかけて$f$を求めると、
\( \displaystyle f = 436×\frac{3}{4} \)
= 327Hz

(2)弦を張る力を強くしたので、波の速さが$v'$に変わったとします。うなりはもう聞こえなくなりました。弦の長さは$l$の\( \displaystyle \frac{3}{4} \)のときだったはずなので、この長さのときは、基本振動数はちょうど440Hzになったと考えられます。よって、上の公式を利用すると、
\( \displaystyle 440 = v'÷\left(2×\frac{3}{4}l\right) \)
\( \displaystyle 440 = v'÷\frac{3}{2}l \)…③

指を軽く触れて弦をはじいたときは、指のところで節となる図のような3倍振動となります。

高校 物理 問題演習 3倍振動の図

よって、この振動数を$f$とすると
\( f = 3v'÷2l \)…④

③、④式より、
\( \displaystyle f = \frac{3}{2}×\frac{v'}{l} \)
\( \displaystyle = \frac{3}{2}×\frac{3}{2}×440 \)
= 990Hz

この弦の振動で出る音の振動数も$f$に等しいので、これが答えになります。

答え. (1)327Hz   (2)990Hz